タロットチートで生き残る!…ことが出来るかなあ

新和浜 優貴

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本編

78,セリゼの森にて:御影

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「一度休憩にする。各自、食事と水分を取っておくように!」

  兵士長の命令に従って兵士たちと同じように地べたに座る。腰にぶら下げてた袋から干し肉を取り出して齧る。大して空腹を感じてはないが、いつ戦闘になるかも分からない中で時間を取れるんだから、少しでも腹に入れとくべきだ。

「ソータ、隣いいか?」

  顔を上げると知り合いの兵士の一人、キースが立っていた。赤茶の髪に焦げ茶の瞳。飛び抜けて整ってる訳じゃなく、これだという特徴があるわけでもないが、人にいい印象を与えやすい顔。営業向きの顔だ、なんて思ったりもした。

「おう、座れよキース」

  スッ、と鎧を着ているのにほとんど音を立てずにキースが座る。いつも思うが、俺の弓神の加護みたいな気配を消したりできるような加護がないのに、よくこんな動きができるな。キースは臆病者の技だ、なんて言うが自分の努力だけでこんな芸当ができるなんて、誇るべきだと思う。

「他の勇者は?」
「沙夜香は騎士の坊ちゃんどものお守り。光一はやる事があるとかでどっか行ったよ」
「相変わらず勇者たちはバラバラに動いてるのか。しかし、サヤカ様も大変だな。救国の女神だー、なんて持ち上げられて」
「本人は満更でもなさそうだけどな」

  ふーん、と相槌を打ちながらキースも干し肉を齧る。やっぱりキースは他の兵士ほど勇者を特別視してないな。だからこそこうやって気軽に話せるんだが。

「それで、わざわざ隣にくるなんて何の用だ?」
「何の用って、お前が調べてくれって言ったんだろう?」
「もう調べ終わったのか?」
「まあ、ある意味調べ終わったのかな。アンズ・イリエなんて少女は帝国にいない。これが調べた結果だ」
「なんだって?  それは確かなのか?」
「ああ。宿屋に泊まるのなら名前を書く必要があるが、そんな名前の人はどこにも泊まってない。念の為裏街に繋がってるやつにも聞いたが、心当たりはないらしい」

  入江さんが帝国にいない?  どういうことだ?  光一が嘘を言ったとは考えにくい。入江さんのため、ってだけではなさそうだが、あいつが入江さんを心配してるのは本当だ。じゃあ光一にそれを伝えた使用人とやらが嘘を?  ……いや、嘘をつく理由がない。その使用人が本当はあのじいさんの手下だったとかならわかるが、それもキースに調べてもらって違うことは分かってる。

「どうする?  調査は止めるか?」
「いや、続けてくれ。偶然話に上がってないだけかも知れないしな」
「分かった。何か気になることがあったら報告するよ」
「頼む」

  丁度兵士長から休憩終了の号令がかかり、キースは自分の持ち場へ戻って行った。
  にしても、妙な話だな。光一の話はおそらく本当だ。だが入江さんは帝国にはいないという。なら帝国に行く途中にどこか別の場所に向かったと考えるのが妥当か?  だとしたらどこに……。セリゼの森を通るのであれば帝国は必ず通るはずだし……。考えたくはないが、まさかな……。
  駄目だ、今考えるには材料が足らない。仕方ない、後で光一たちと共有して考えるしかないな。何か情報が掴めてるといいんだが。
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