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本編
77,宮廷占術官
しおりを挟む皇女様とのある意味頭が痛くなるお話から開放されたと思ったら、パーティー会場に戻った途端テレジアさんたちに捕まった。そうだったよ、こっちにはこの人達がいるんだよ。
「アンジュ様、皇女様とのお話はもういいのですか?」
「ええ、皇女様からはパーティーを楽しむようにと言われました」
「アンジュ様は皇女様と何をお話していたのですか?」
アンナさんが無邪気に訊ねてくる。流石に皇女様と話したことをぺらぺらと喋るわけにはいかないよね。占いのお客さんでもあるし。
「流石にそれはちょっとお話出来ません」
「そうですか……残念です……」
見るからにしゅんとするアンナさん。ちょっと申し訳ない気持ちになる。占いをしたことくらいは言ってもいいかな。
「内容はお話出来ませんが、一つ占いをしてきたんです」
「まあ、本当ですか? さすがアンジュ様ですねいずれは宮廷占術官でしょうか」
「宮廷占術官ってなんですか?」
私がそう訊ねると三人がびっくりしたように固まった。
「アンジュ様は占い師なのですよね?」
恐る恐るといった感じでマリアさんが聞いてくる。
「まあ、そうですね。趣味ですけど」
「それで宮廷占術官のことを知らないのですか?」
「し、仕方ないわ。アンジュ様たちは王国から来たのです。宮廷占術官のことを知らなくても無理はないわ」
狼狽える姉妹をテレジアさんがなだめる。そんなに知らないことがおかしいか。仕方ないじゃん、そんなの初耳だよ。言葉的に想像は出来るけど分からないって。
「宮廷占術官は簡単に言ってしまえば言葉通り、帝国のお抱え占い師です。ですが、宮廷魔導師や宮廷神官ほどの権力はありません。本当にただの占い師として雇用されています。基本的な仕事は文官と同じですね。なので、文官の役職の一つと考えた方が分かりやすい知れません」
「なるほど、部長とか課長とかと同じ感じですね」
実際の権力はそこまでじゃないらしいから少し違うかもしれないけどね。
「ブチョー……ですか?」
「ああ、いや、こっちの話です。続きをお願いします」
「は、はい。文官として登用されますが、宮廷占術官は占いの実力のみが重視されます。過去には孤児で十二歳の女の子が登用されたこともあるそうです」
へー、占い師重視なんだ。文官だから頭がいい人が雇用されるのかと思った。その中で占い師として優秀な人が選ばれるわけじゃないんだね。宮廷なんて、特に産まれとか歳とか重視しそうなものなのに。
「権力こそ普通の宮廷仕えの方と同じものの、宮廷に仕えること自体が素晴らしいことですから、密かに目指している占い師の方も多いと聞きます」
ミリアが言ってたのと少し違う? 王国と帝国の違いかな。王国じゃあんな扱いだったけど、帝国だと宮廷に雇われるくらいなんだもの、そりゃ違うか。
「そうなんですね。丁寧に教えてくださってありがとうございます」
「いえいえ、この程度でよろしければいくらでも」
お礼を言うと、照れくさそうにほんのりと頬を染めるテレジアさん。うーん、反応が乙女だ。なんだか今日はいろんな意味で乙女な人と関わるなあ。誰かに恋してたり、感謝されたことに照れたり、あと普通に年齢的に乙女だったり。自分で言うのもなんだけど、私も一応乙女って年齢だ。けど……、うん。魔物に全力で切りかかってるのを乙女とは言えないよなあ、この人達と比べたら。
そんなことを考えていると、バスカルヴィーさんが最初に挨拶したところに現れた。
「ああ、もう終わりなのですね。まだお話したいことがありますのに……」
「仕方ないわ、アンナ。また今度の楽しみに取っておきましょう」
「マリアの言う通りよ。アンジュ様、今度お茶会を開くので是非参加してくださいね。今日のパーティーほど固いものではないので気軽に」
「はい。機会があればぜひ」
テレジアさんたちと約束をして、バスカルヴィーさんの挨拶を聞く。挨拶が終わると、バスカルヴィーさんが近づいてきて、今日のお礼と帰りの話をしてくれた。帰りはアルフレッドさんがまた馬車を出してくれるとのこと。
今日は色々と疲れたから早く帰ろうと思ってレベッカたちを探すと、妙にげんなりしたギルと笑いを堪えてるようなレベッカたちがいた。何があったのか聞いても。
「すまん、今は聞かないでくれ……」
と言うばかりで、何も話してくれない。レベッカたちに聞いても本人から聞く方が良いってはぐらかされるし。まあいいや、今日はさっさと帰って寝よう。ギルの話は後で聞けばいいや。
宿屋に戻ったらすぐにベッドに潜り込んだ。ゆっくり休んで、明日もまた一日頑張ろう。
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