タロットチートで生き残る!…ことが出来るかなあ

新和浜 優貴

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本編

91,決定

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「と、いうことですので、条件を飲んでくれるのであれば私たちは魔導王国に行きます」
「ありがとうございます。……その条件とはなんでしょうか」

  凄く真面目な、というか思い詰めたような表情でルルリカさんが聞いてくる。そんなにとんでもないことを言うつもりはないから、そこまで深刻そうな顔しなくてもいいんだけど。

「まず一つは私たちの身の安全です。少しでも危ないとか、怪しいと感じたらすぐに帰ります。こうなった場合は二度と魔導王国に向かうことはないです」
「分かりました。それは当然だと思います」
「次に、私たちが魔導王国に行くのを秘密にすること。もちろん、ダンタリアンと同じような力を持ってる人には伝えておいて欲しいですが、あまり多くの人には伝えないように。そうですね……、国を動かす権限がある人に限定します」
「分かりました、そのようにします。人数は六人となりますがよろしいですか?」
「はい、大丈夫です」

  六人か。思ったより少ない?  あ、でもそうか。国会とかじゃなくて、王様が政治とか決めるんだもんね。そう考えると多いのかな?  どうなんだろ。

「そして、魔導王国が持つゼーヴィスの情報を全て教えてください。これから調べてわかったことも含めてです」
「それはっ……!」
「無理であれば私たちは行きません。これは絶対条件です」

  これだけは譲れない。前の二つは私たちの安全を保証させるためのものだ。わざわざ危険を冒すんだもの、なんの見返りもないなんて虫が良すぎるよ。ダンタリアンも頷いてるし、間違ってはないはず。……悪魔の保証だから微妙に複雑だけど。

「……分かりました。ゼーヴィスの情報を教えます。ですが、流石にこの場では出来ません。アンジュさんに話して頂いてから、教えるという形でよろしいですか?」
「ええ、それで大丈夫です。私からの条件は以上です。みんなは何かある?」

  振り向いてみんなに聞いてみるけど、特にないみたいだ。ダンタリアンにも目を向けるけど、ぱたぱたと手を振られた。無いってことだね、多分。

「じゃあ、条件はこれで以上です」
「分かりました。なるべく早く来ていただきたいのですが、いつ頃であれば可能でしょうか」
「私はいつでもいいんだけど……」

  レベッカたちはどうなんだろう。

「私たちもいつでもいいよ。あ、でもせっかくだし、通り道のクエストで良さそうなものがあったら受けていこう。だから最速で明日の昼辺りかな」
「あ、そんなに早く行けるんだ」
「うん、丁度暇になったところだからね」
「では、明日の昼にお願いしてもよろしいでしょうか」
「あ、はい。大丈夫です」

  レベッカたちもだけど、ルルリカさんもフットワーク軽すぎない?  今日決まったばかりだよ?

「では、明日の昼。ここの前に馬車を用意しておきます」
「あ、それは……」
(アンちゃん、駄目よ)

  断ろうとした瞬間にダンタリアンに止められた。

「どうかしましたか?」
「あ、いや、なんでもないです」
「そうですか……?  何かありましたらすぐに言ってください。客人として呼ぶのは私なのですから」
「はい、分かりました」
「では、私は連絡を取りますのでここで失礼します。また明日の昼に」

   そう言うとルルリカさんは宿を出ていった。

「ダンタリアン、なんで止めたの?  マジマさんに頼んだ方が速いよね?」
「アンちゃん……。マジマちゃんは脱出手段にするんでしょう?  秘密にしておかないでどうするの」
「そうだけど、マジマさんなら大丈夫じゃない?」
「大丈夫、大丈夫の話じゃないの。マジマちゃんの馬車は他のより早くて丈夫なんだから、そんな移動手段欲しがられるに決まってるでしょぉ?  ただでさえ何かに利用しようと企んでるみたいなんだから」
「え、そうなの?」
「そうなの。ほんとに気をつけてよねぇ。妙に鋭い時があるのに、普段は抜けてるんだから」
「ひどいなあ」

  レベッカたちはどう思うか訊こうと振り向いたけど、みんな私と目を合わせずに微妙な顔をしてた。味方はいなかったか……。
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