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本編
20,質問攻めにされまして
しおりを挟む部屋から出てきた元気なミリアさんを見てレベッカがとんでもない勢いで泣いたり、ギルさんが私に一生の忠誠を捧げるとか言い出したり、混沌とした状況になった。なんとか落ち着いてきたところで、レベッカが訊いてくる。
「アンジュ、もしかして君がミリアを治してくれたの?」
「うーん、私というか私の知り合い? かな」
教授は悪魔のアルカナで呼ぶことが出来る悪魔だから、私が治したっていうと少し違う。
それにしても、大抵のアルカナの効果が正位置の時の意味に関係してるものだったけど、ちょっとずれたというか、リュウセン様が都合よく作り替えてくれたから、悪魔のアルカナはとっても使い勝手がいい。まあ、新たな出会いって意味も回復って意味も逆位置ではあるから、都合いいというと少し違うかな。
「アンジュさん、さっきのことレベッカには……」
「ああ、別に話しても構いませんよ」
他言無用ってことを守ってくれようとしてるんだろう。ミリアさんが確認をしてきた。多分私が教授のことを知り合いって表現したからだと思う。
「それなら訊いてもいいかしら。アンジュさんは召喚術士なの?」
「いえ、違いますよ。私はサポーターです」
「サポーター!? 戦える力を持つ魔物と契約してないということ?」
「いや、戦える力を持っている人も呼べますよ」
私がそういうと、呼ばれると思ったのか影がざわざわと動き出した。呼ばないから落ち着いて! 心の叫びが通じたのかすぐに影は大人しくなる。悪魔の説明をしていたリュウセン様が言った、少し賑やかになる、っていうのはこのことか……。確かに賑やかになりそう……。
「じゃあなぜ召喚術士を名乗らないの? あんな力を持った魔物を使役できるなら王宮に仕えることも夢じゃないと思うのだけれど……」
「その王宮に目を付けられたくないんです。あと、魔物じゃなくて悪魔なんですよね、彼ら……」
「悪魔!? そんな、大丈夫なの!?」
悪魔と聞いて三人の空気が変わる。やっぱり悪魔ってやばいよねえ。私の世界でもいいイメージというか、危ないイメージしかなかったのに、こんなファンタジー世界じゃ余計に危ないイメージがありそう。
「アンジュ、体はなんともないの?」
「うん、大丈夫だよ」
心配そうに訊いてくるレベッカに笑顔で答える。本当に大丈夫だから変に気にさせないようにしたいんだけど、これで納得してくれるかな。
「ということはアンジュは……」
レベッカが途端に泣きそうな顔になる。レベッカだけじゃなく、ミリアさんやギルさんもが悲痛な顔になってる。
「え、なに、私がどうかしたの?」
「体が無事で、誰かを助ける善行を行える。悪魔と契約してるのにそんなことが出来るなんて、自分の寿命を削って悪魔と契約した人間しかいないのよ。あなたもそういうこと……なのよね」
なんだそれ!? 私そんなことしてないよ。教授はタロットカードの力で呼べるようになったわけだし、ある意味リュウセン様が契約をしたってことになるのかな? それだと申し訳ないな。ん? でも神様って寿命あるのかな? んー?
「やっぱり、そうなのね……」
ミリアさんが頭を抱える私を、本当だから話しづらいのだと勘違いして目の端に涙をためる。慌てて否定する。
「いや、違いますよ! 私は契約してません。なんていうか……、他の人が契約したのを借りてるというか……そんな感じだと思います」
「そんなこと出来んのか?」
ギルさんが聞いてくる。さっきやったし、出来てるから出来るとしか言えないんだけど……。
「もしかして、あの大魔道士様が仰っていたアンジュに会いたがっていた方か?」
「そうそう! 色々な力を貸してくれたの」
「ということはあの鑑定能力も?」
「うん、そういうこと」
なるほど、と一人で納得するレベッカ。当たり前だけど、ギルさんたちはどういうことか分からないみたい。まずキオウ様たちの話からしなきゃかなあ。
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