タロットチートで生き残る!…ことが出来るかなあ

新和浜 優貴

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本編

19,教授ブエル

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  その後教授プロフェッサーは浮かび上がってミリアさんの前に行った。

「ふむ、酷い傷だ。レディ、頼み事とはこれかな?」
「はい、そうです。お願いできますか?」

  ふむふむ、と言いながら教授がミリアさんの周りを飛び回る。ミリアさんが怯えてるからなるべく観察するような感じはやめてあげて欲しいんだけど……。

「ああ、申し訳ない。淑女をじろじろと見るものではないな。先程あの紳士にも述べたが、私はブエル。お名前を伺っても?」
「は、はい。ミリアと申します」
「ふむ。ではミリアくん、楽にしたまえ。怪我を治そう」
「治るのか!?」

  ギルさんが教授に詰め寄る。詰め寄ると言っても、ぬいぐるみみたいに着飾ったヒトデに近づいてるって光景だから、ちょっと微笑ましい。

「治る。私の力はそういうものなのでね」

  教授が右の手……?  でミリアさんに触れると、ミリアさんの体が水色の光に包まれた。光がだんだんミリアさんの右顔と右肩に集まってく。肩に集まった光は少しずつ腕の形を作って、ゆっくりと光が弱くなってく。光が収まると、ミリアさんの右手はなにもなかったみたいに左手と一緒に足の上に添えられてた。

「これでよろしかったかな、レディ」
「はい、ありがとうございます教授」
「なに、レディの頼みだ。構わないさ」

  教授が肩をすくめる。……うん、多分すくめた。

「では私は帰るとしよう」
「お疲れ様でした教授」
「何かあったらまたいつでも呼んでくれたまえ」

  そう言って教授は黒い塊になって、私の影の中に、とぷん、と沈んでった。

「治った……?  治ったのか!?」

  ギルさんがミリアさんに駆け寄って右手を掴む。手を掴んだことでより実感が湧いたのかな、二人ともぼろぼろ涙を流し始めた。

「ギルさん、顔の包帯をとってあげてください」
「あ、ああ!」

  包帯の下は傷一つなく、ミリアさんが傷を負っていたことなんて嘘みたいだった。ギルさんが大慌てで手鏡を持ってきて、ミリアさんに見せる。ミリアさんは一瞬目を見開いたあと、ギルさんに抱きついた。そのままギルさんたちは大きな声でわんわん泣き始めた。
  とりあえず二人きりにさせてあげよう。そっとドアを開け、レベッカのいる部屋に戻る。

「アンジュ、二人はどうしたんだ?」

  騒いでるのは聞こえたみたいで、レベッカに怪訝な顔で訊かれた。うーん、サプライズというか、少しいじわるしてもいいよね。

「二人が出てきたら分かるよ」
「教えてくれてもいいだろう?」

  レベッカが私の言葉にちょっとむっとした感じで返してくる。話に来た私が部屋に呼ばれたのに、二人は部屋から出てくるって言ったからヒントは出したつもりだし。あんまりやりすぎるのもあれだけど、私が教えるんじゃなくて、実際に見て欲しいんだよな。

「とっても嬉しいことがあったんだよ」
「嬉しいこと……?」

  混乱し始めたレベッカを横目に、バッグから出したドライフルーツをつまむ。
  今からクエスト行くのは無理だよなあ。明日レベッカに頑張ってもらおう。討伐クエストに行きたいって張り切ってたし、今日の分を取り返すのは無理だけど、そこまで悲惨なことにはならないはず。
  ギルさんたちが出てくるまでのんびりと考えを巡らす私だった。

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