タロットチートで生き残る!…ことが出来るかなあ

新和浜 優貴

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本編

18,悪魔の力

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  ギルさんに連れてこられたのは、ギルドから少しお城寄りの、綺麗な街並みの中にある家だった。

「ミリア、今帰った」

  ギルさんが声をかけながら入るけど、返事はない。

「入ってそこの椅子に座ってろ。ミリアに話してくる」

  そう言ってギルさんは奥の部屋に入っていった。立ってても仕方ないしありがたく座らせてもらおう。

「レベッカはどうする?  話す?」
「私は、いいよ」
「そっか」

  合わせる顔がない、そんなことを思ってるんだろうなあ。このまま会わない方が性格的に後悔しそうなのに。
  絶対会わせる。というかミリアさんを冒険者として復帰できるようにする。せっかくできた異世界の友達なんだ。ずっと代わりとして見られるのは嫌だ。ミリアさんを助けたいって気持ちはあることはあるけど、やっぱりこっちの気持ちの方が大きい。嫌な子だなあとは思うけど、顔も分からない人をなんの理由もなく全力で助けたい、って考えられるほど私はいい人じゃないからなあ。
  そんなことを考えてると、ギルさんが扉を開けてこちらに手招きしてくる。

「ミリアが会うって言ってる。入ってくれ」

  部屋はベッドとテーブルが置いてあるくらいの簡素な部屋だった。そのベッドには、顔に包帯を巻いた女の人がいた。顔はほとんど包帯で巻かれてて、左半分が見えるくらい。服は長袖を着てる。左手は足の上に添えてるけど、右の袖は何も入ってない。力なくぶら下がってるだけだ。

「はじめまして。アンジュさん……で良かったかしら?  ミリア・ストリッツです」
「はい、アンジュ・イリエです。はじめましてミリアさん」

  丸い木の椅子をギルさんがベッドの横に置いてくれる。ギルさんは壁に寄りかかるみたいだ。遠慮なく座って、ミリアさんに話しかける。

「ギルさんとレベッカから事情は聞いてます。私は少し縁があって、今レベッカとパーティを組ませてもらってます」
「ええ、ギルから聞いたわ。レベッカは普段は頼りになるんだけど、たまに周りが見えなくなる時があって危ないから気にしてあげてね」
「あはは、分かります。ちょっと思い込みが激しいというか、一生懸命になりすぎるようなところがありますよね」
「そうなの!  レベッカの新しい仲間がちゃんと彼女のことを分かってて安心したわ」

  柔らかく笑うミリアさん。この人、強い人だなあ。どれくらい辛いかは想像出来ないけど、自分が大変な時にこんな風に他の人のことを心配して、安心したって笑顔を浮かべるのはなかなか出来ることじゃないと思う。
  実際に見てみてわかったけど、私には、というより私のもらった力ならミリアさんを治せる。早速やってしまいたいけど……。

「ミリアさん、ギルさん。今から私がすることを誰にも言わないって約束してもらえますか」
「ええ、わかったわ。約束する」
「あん?  別に構わんが……何をする気だ?」
「ミリアさんを治します」

  私が何を言ったのか理解できなかったみたいで、二人が固まる。まあ眉唾物に頼ろうとするレベルの怪我を治すだなんて、何を言ってるんだこいつは状態だろうなあ。
  いいや、言わないって言ってたしやっちゃおう。

悪魔デビル

  私がそう呟くと、ぐにゃり、と私の影が歪む。影はどんどん形が歪になって、やがて裂けるように二つに別れた。完全に私から離れた影が、タールみたいに真っ黒でどろどろとした塊になって浮かび上がった。塊は粘土がこねられてるみたいにぐにぐに動いたあと、一瞬だけ黒く光って私の膝の上に降り立った。

「お呼びかな、レディ?」
「はい、教授プロフェッサー。お願いしたいことがありまして」

  私の膝の上には、妙に渋い声で話すタキシードを着たヒトデがいた。

「アンジュ、そいつは……一体なんだ?」

  ギルさんが訊いてくる。答えようとしたら、教授がギルさんにおじぎ……だと思う。体を少し折り曲げて自己紹介を始めた。

「はじめまして、私はブエル。見ての通り、君たち人間とは違う存在だ。好きなことは人間の精神について考えることだ。教授プロフェッサーと呼んでくれたまえ。以後お見知りおきを」
「お、おお……。よろしくな」

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