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本編
22,リーダー決定
しおりを挟む「それでだ。一つ提案があるんだがいいか?」
みんなが少し落ち着いてきて、ギルさんが口を開く。提案ってなんだろう。
「レベッカ、アンジュさん、俺とパーティを組んでくれないか」
「あら、ギルにしてはいい提案ね。私もパーティを組んで欲しいわ」
ギルさんたちとパーティを組む!? 私はいいけど、レベッカはどうだろう。いや、きっといいって言うよね。もともと組んでた人たちだし。ちらりとレベッカの方を見る。
「私はアンジュに任せるよ」
任せられてしまった。まあ、多分組みたいんだろうなあ。断る理由もないしオッケーしてしまおう。
「正直、こちらの得ばかりの話だとは思う。こちらから提供できるのはほとんどない。せいぜいこれから有名になった時の隠れ蓑となれるくらいだ」
「今の話詳しく」
「お、おう」
隠れ蓑の話に食い付いた私にギルさんが少し戸惑う。いや、隠れ蓑は大事だよ。お風呂付きの家を買う目標があるんだもの、お金は稼がなくちゃいけない。それも早く入りたいから、荒稼ぎになるレベルで。それだけお金を稼げば当然有名になるけど、私は目立ちたくない。目立たなくなる方法はいくらあってもいいのだ。
「アンジュさんはサポーターだろ? それならパーティが有名になっても俺やミリア、レベッカの名前が知れるだけで、アンジュさんはそこまで有名になることはないと思う。すでに剣葉草を高く売ったことで有名になってるし、目立って王宮に目を付けられたくないなら損はないと思う」
損どころか得だ。そう、私はサポーター。戦いは専門外なんだ。そんな私とレベッカのパーティが有名になったら、必然的に私も有名になる。あのレベッカのサポーターだぞ、みたいな感じに。それがパーティなら、あのパーティのサポーターだぞ、でも名前なんだっけ、くらいにはなれるかもしれない。これはパーティを組むしかないな。
「これからよろしくお願いします。ギルさん、ミリアさん」
「ええ、よろしくね」
「話を受けてくれてありがとう。よろしく頼む」
ギルさんは緊張してたみたいで、ふう、とため息をつくと椅子にもたれかかった。
「おじさんくさいわよ、ギル」
「うるせえな、色々と疲れたんだよ」
気が抜けたみたいで、ぐったりというかだらりというか、体の力を抜いてるギルさん。まあ冒険者を続けてるレベッカに会ったのも、ミリアさんの傷が治ったのも一大事だっただろうし疲れるのは仕方ないよね。私もリュウセン様たちに会った日はそんな感じだったし。
「そうだ、パーティ名はどうする?」
思い出したようにレベッカが言う。
「お前らのパーティ名をそのまま使えばいいんじゃねえか?」
「私たちはパーティ名決めてないですよ?」
「名乗ることがないと思ってたからね。特に気にしてなかったよ」
ごまかすように笑うレベッカ。まあそうだよね。冒険者なりたてでサポーターの私と2人だけのパーティじゃ名乗るもなにもね。
「パーティ名はあった方がいいぞ。無い方が目立つ」
「そうよね……。アンジュさん、なにかないかしら?」
「えっ、私!?」
ミリアさんがキラーパスを飛ばしてくる。パーティ名と言われても、さっぱりなんだけど。ファンタジーの命名センスがわからないし、もともとセンスなんてないし。というかなんで私が考えることになってるの!?
「こういうのはリーダーが決めた方がいいと思います」
なんとかそれだけ言うと、三人から何を言ってるんだ? みたいな顔をされた。リーダーってレベッカかギルさんだよね?
「だからアンジュさんだろ?」
「ええ、そうよね?」
「だな。私と二人の時もアンジュがリーダーだったし」
なんで!? 特にレベッカ! 二人の時リードしてくれてたのレベッカじゃん! 明らかにベテランの冒険者三人を差し置いて駆け出しの、しかもサポーターの私がリーダーやるのおかしいよね!?
「リーダーって普通新米の私じゃなくてベテランの人がやりません?」
「俺は恩人に命令したりするのはごめんだ」
「私もそうね。それに実力的にもアンジュさんの方が数段上だから」
「もともとアンジュがリーダーだったしね。それに私には作戦指揮はできない」
「私だって無理だよ!」
叫んでリーダー就任を拒否する私を、三人がかりでなだめすかしてきて、最終的に私が折れました。というか、最終的に同じ言葉しか言わなくなったミリアさんが怖かったからリーダーになりました。
笑顔で延々と同じ言葉をリピートされるのってあんなに怖いんだね……。
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