タロットチートで生き残る!…ことが出来るかなあ

新和浜 優貴

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本編

25,キマイラ討伐戦Ⅰ

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「着いたっスよ!」

  マジマさんが言うと同時に、レベッカたちが飛び出していく。後を追う前にマジマさんに聞いてみる。

「この戦車でキマイラに攻撃はできる?」
「できるっスけどおすすめはできないっス。攻撃の余波で周りの人を巻き込むっス。あと確実に問い詰められるっスよ?  あの攻撃はなんなんだーって」
「うん、じゃあその案は無しで」

  今の時点でもとんでもなく目立ってるけど、これ以上目立ちたくはない。手遅れだとしてもこれ以上は嫌だ!

「心配しなくても今は隠蔽の魔法がかかってるんで外から見たらただの馬車っス」

  ナイス、マジマさん!  よかった、ならまだ気をつけてれば大丈夫なはず。

「怪我した人とか乗せたいので本当に馬車にしちゃってください。すぐ出られるような準備もお願いします」
「了解っス。お気をつけて、ご主人」
「行ってきます!」

  外に出ると、キマイラを十人くらいの人達が取り囲んでた。その外側に五人くらいの人がいる。ミリアさんがそこにいるし、外側の人達は魔法使いなのかな。取り囲むと言っても、キマイラは私たちの乗ってきた戦車と同じかそれ以上に大きい。どちらかというと近づけないと言った方が正しい気がする。
  キマイラはレベッカたちの言う通り、人の顔をしてた。すごく綺麗な女の人の顔で、でもひどく不気味だった。ぎょろぎょろ動いて私たちを見る目は、確かにこっちを見てるはずなのに、ガラス玉みたいに何も映してないみたいに見える。

「応援感謝する!  総員、気合を入れろ!  何としてもここでこいつを食い止めるぞ!」

  私の身長くらいありそうな大きな剣を持った男の人が叫ぶ。多分隊長みたいな人なんだろう。あの人が叫んだ途端、士気が高まったみたい。一番実力があるのは間違いないと思う。

「キャアァアアァァァ!」

  なにこれ、頭が気持ち悪い!  耳の穴から虫が入って頭の中で這い回られてるみたいな感じがする。……いや、私の想像の方が気持ち悪いな。そう思ったらなんだか平気な気がしてきた。
  周りを見ると、ほとんどの人が耳を押さえてうずくまってる。さっきの大剣の人とミリアさんは大丈夫みたいだけど、レベッカとギルさんは武器こそ手放してないけど、膝をついて明らかに戦える姿勢じゃない。

(レディ、あの叫び声は緊張と恐怖を撒き散らす叫びだ。抵抗出来なければしばらく動きが封じられる)

  なにその攻撃!?  物理攻撃だけで勝てそうなのにそんな状態異常まで使ってくるの!?  早くみんなを動けるようにしないと危ない!

太陽ザ・サン!」

  キマイラの上に黄色い光の玉が現れる。太陽のアルカナは、範囲内の私が味方だと思ってるものを助け、敵だと思っているものを弱体化させる。傷とかは治らないけど、恐怖をやわらげて元気と希望を与えてくれるはず!
  狙い通り、光が当たった人はすぐに態勢を立て直して身構えてる。反対にキマイラは叫びが聞かなかったことに少し動揺したのか、口元を歪めてる。

「氷柱よ我が敵を穿て、アイスニードル!」

  ミリアさんが杖を振りながら呪文を唱えると、氷のトゲがキマイラに向かって飛んでいく。
  キマイラは後ろに跳んでそれを避け、そのまま冒険者の一人に襲いかかった。なんとか盾で爪は防いだみたいだけど、受け止め切れなかったみたいでそのまま木に叩きつけられた。

「くらえっ!!」

  ギルさんがキマイラの体とヘビの境目目掛けて槍を振るう。けど、キマイラはギルさんの方も見ずに横に跳んでかわしてしまう。反撃とばかりのヘビの突進を、ギルさんは槍の柄で受ける。吹き飛ばされるけど、空中で回転して着地した。まだ戦えるみたい。

「くっそ、死角のはずなのになんで!」
「ヤギです!  ヤギの頭に見られてます!」
「なんだと!?  くそっ、特殊個体ってやつはそんなことも出来るのか!」

  思わず直感を口にしちゃったけど、合ってるかな。ギルさんが攻撃した時ヤギの目がぎょろっと動いたからそうだと思うんだけど。
  キマイラが猫の飛びかかる前みたいに態勢を低くして、尻尾のヘビを立てる。アドニスさんから聞いた通り、ヘビの頭の辺りが横に広く膨らんでてコブラみたいに見える。ん?  コブラ?
  ヘビが口を開くのが見えた。ギルさんが攻撃するために走って近づいてく。

「ギルさん!  避けて!」
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