タロットチートで生き残る!…ことが出来るかなあ

新和浜 優貴

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本編

27,戦いのあと

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  キマイラを倒した後、みんなの様子を教授と確認すると、命に関わる傷を負った人はいないみたいだった。それでも怪我はしてるから、治療のためポーションを取ってこようとマジマさんのところに行ったら、いつの間にか救護テントが出来てた。
  テントの中には何人もの冒険者が寝かされてた。でもみんな綺麗な包帯を巻いて、顔色もいい。命に関わるような傷を負ってる人はいなさそう。

「あ、ご主人。お疲れ様っス」

  冒険者の人たちの様子を見てると、マジマさんがポーションの入った鞄を抱えてテントに入ってきた。なぜかナース服で。

「マジマさん何してるの……?」
「え、看病っスよ。とりあえず重体の人以外は歩けるくらいになってもらうっス。さすがに馬車には乗りきらないっスから」

  なるほど、それはそうだ。多分二十人近くいるもんね。でも。

「その格好は……?」
「これっスか?  趣味っス」
「そっかー……」

  ツッコむべきなのかな。まあ、うん、それはそれとしておこう。

「向こうにも怪我した人がいるからポーションをもらってっていいかな」
「どうぞっス。ここの人たちの容態は安定したっスから。申し訳ないっスけど、持ってってもらっていいっスかね?  一応この人たちの面倒見なきゃっスから」
「わかった、ありがとう。みんなをよろしくね」
「了解っス」
  
  そのあとポーションを使うと、一人また一人と目を覚まし始めた。目を覚ました人には自分の仲間の身を案じて少し錯乱気味になる人もいたけど、みんな無事だってこととテントの場所を教えると、テントに走っていった。
  みんなには、森の大魔道士様がキマイラを倒してくれたって説明した。最初は信じてもらえなかったけど、レベッカの指輪と、呪文なしに転移魔法を使ったって話とで一応信じてくれたみたいだった。まあ大きなクレーターができちゃってたから、それ以外だと説明つけられないし、倒せたならいいやってとこだろうけど。

「君らのおかげで助かった。討伐隊の隊長をしていたパーティ『破城槌』のドランだ」

  大剣の人はドランさんっていうらしい。白髪混じりの、深い緑色の髪を短く整えてる四十代後半くらいに見えるおじさんだ。

「俺たちはなにもしてねえさ。キオウ様が全部やってくれたみたいだからな。俺は『金の竪琴』のギルだ」

  ドランさんとギルさんが握手をする。

「いやいや、犠牲者が出なかったのは君らのおかげだ。前線はほとんど傷をつけられずにやられてしまってな。後方まで攻め込まれてしまったんだが、君らの助力で立て直せたんだ。本当に助かった」

  ああ、やっぱり後方ってここだったんだ。本当に強かったんだなあ、あのキマイラ。

「それで、報酬の件なんだが……」
「ああ、俺たちはギルドから別枠で報酬がもらえるはずだから魔石を売った金は討伐隊で分けてくれ。武器とか防具とかに使うだろ」
「すまん、恩に着る」

  そうそう、キマイラはあとかたもなく消えちゃったんだけど、クレーターの真ん中には赤黒い石が残ってた。魔石っていう、強い魔物の体内にできる石らしい。

「では、帰るぞみんな!  凱旋だ!」

  おおおぉぉぉ!! と冒険者から雄叫びが上がった。
  はー、どうなるかと思ったけど、誰も亡くならなくってよかった。キオウ様の名前出しちゃったし、今度ご挨拶に行かなきゃなあ。
  ……なんで私はあのキマイラにお礼を言われたような気がしたんだろう。もやもやした気持ちのまま、私は街に向かって歩いていった。
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