47 / 97
本編
46,一体何があるの?
しおりを挟む次の日、私はまたギルドに来た。またと言っても中央街のだけど。宿で占いをしていいか聞こうと思ったけど、昨日の食堂での混み具合からしても占いの場所は借りられなさそうだったから、ギルドに申請しに来たのだ。
と言っても、詳しい決まり事とか知らないから、とりあえず説明を聞きに来たんだけどね。
中央街のギルドも人街と特に変わらず、色んな手続きをカウンターでする形だった。
「十六番の方」
「あ、はーい」
おお、担当の人は獣人だ。兎かな? 長い耳が頭の上に二つ伸びてる。
「今回担当しますフレミーです。よろしくお願いします。今日はどうしましたか?」
「あ、はい。私はアンジュといいます。今日は占いの話を聞きたくて。場所を貸してもらえるって聞いたんですけど、そこでの決まりとか色々質問したくて」
そう言うと、ざわっ、とギルドの中が揺れた。ギルドの中にいる人たちがみんな私を見てひそひそ話してる。え、なに、占いするのって変なことじゃないよね。ミリアさんとも話したし。
「アンジュさん、占いはどなたがなさるんですか」
すっごい引きつった笑顔でフレミーさんが聞いてくる。
「私です」
そう言うと一瞬静かになって、またひそひそ話が始まる。というか、もうひそひそじゃない。何を考えてるんだ、とか、大丈夫なのかあの子、とか、色々聞こえてくる。そんなふうに言われるようなことなの……?
「すいません、占いするのに何か問題があるんですか?」
「いえ、占い自体に問題はないと言いますか……」
聞いてみると歯切れの悪い返事が返ってくる。占い自体に問題がないってことは、別の問題があるってことなんだろうけどなんだろう? あそこに人が寄り付かないのとなにか関係あるのかな?
「えっと……。アンジュさんは占い場所の代金のお話は聞いていますか?」
「あ、はい。一月銀貨五枚って聞いてます」
「ではその他の決まり事を説明させていただきます。料金は先払いです。使えるスペースは一つのテーブルです。使用した後はテーブルの上と周りを掃除すること。テーブルの上での飲食は可能ですが、テーブルに染みなどがつかないよう、極力気をつけること。以上が占い場所の貸出についての決まり事です」
え、それだけ? なんか市民センターとかにある共有スペースのルールみたいな感じだなあ。すごい普通の注意だ。
「他に禁止事項とかは特に?」
「そうですね、あまり匂いのきつい香を炊いていたりすると、注意が入る時もあります。基本的にはトラブルが起きない範囲ないであれば大丈夫ですよ」
トラブルが起きない範囲って言う時だけ目を逸らしたのはなんでなんですか。
これほんとに大丈夫かな? 少し不安ではあるけど、とりあえず一ヶ月だけ借りてみようかな。ダメだったらやめればいいし、あくまで趣味だからね。
「じゃあとりあえず一月分お願いします」
「本当によろしいんですね……?」
「え、はい」
「……かしこまりました」
すごい悲痛な顔でフレミーさんが書類とかを用意してくれる。正直ここまで来ると、一体何が問題なのか見てみたくなってくるよね怖いもの見たさみたいな。……でも少し早まったかなあ?
10
あなたにおすすめの小説
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
狼になっちゃった!
家具屋ふふみに
ファンタジー
登山中に足を滑らせて滑落した私。気が付けば何処かの洞窟に倒れていた。……しかも狼の姿となって。うん、なんで?
色々と試していたらなんか魔法みたいな力も使えたし、此処ってもしや異世界!?
……なら、なんで私の目の前を通る人間の手にはスマホがあるんでしょう?
これはなんやかんやあって狼になってしまった私が、気まぐれに人間を助けたりして勝手にワッショイされるお話である。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる