タロットチートで生き残る!…ことが出来るかなあ

新和浜 優貴

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本編

53,別個体

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「こいつは一体なんなんだ……?」

  冒険者の一人が倒れた魔物を見つめてつぶやく。確かに、この魔物は一体なんなんだろう。ギルドカードの図鑑の中にも、人の顔をした魔物がいるなんてのはなかった。それに、なんだか凄い嫌な感じがする。

「考えるのはあと。今は救援に向かう。ここに来たのは私たちだけ?」
「あ、ああ。あんたらだけだ」
「そうか……。アンジュ、これからもう一つの信号弾のとこに行くよ。あなた達もついてきて」
「わかった。教授とロゥさんも着いてきて」

  走り出してすぐ、別の信号弾のパーティが見つかった。既に助けは来てたみたいで、十人前後いるけど、まだ戦ってる最中だ。金属音や人の叫び声が聞こえる。

「アンジュ、さっきと同じように!」
「わかった!  二人ともお願い!」
「怪我人は任せたまえ。レディは魔物を」
「ご用命とあらば」

  枝や蔓を切り払いながら音のする方へ突き進む。すると、ばっ、と開けたところに出る。そこには戦ってる冒険者と、さっきと同じような魔物が
  驚いて一瞬足が止まってしまう。今は固まってる場合じゃない。まずは怪我した人から魔物を引き剥がさないと。一気に二体は無理。それなら、遠い方はロゥさんに任せて私は近い方を。

「行くよ、レベッカ!  ロゥさんは奥のをお願い!」
「はっ!」

  そのまま魔物に向かって走るけど、なんか、さっきの魔物とは違う。肌の色はさっきのと同じような灰色だけど、髪の毛が長くて胸の辺りが膨らんでる。もしかして、女の魔物……なのかな。魔物に男女があるのかはわからないけど。
  切り結んでた冒険者が弾かれて、尻もちを着いてしまう。その冒険者目掛けて振り下ろされた爪と冒険者の間に割り込ませるようにククリを振り上げる。  ギャリッ、という耳障りな音と一緒に火花が散った。本当に金属みたいな爪だ。

「だあっ!」

  レベッカが魔物に切りかかる。魔物は避けて私たちと距離を取った。

「今のうちに向こうに!」

  そう言って教授の方を指さす。この人もさっきので腕をやられたみたいだから、まずは怪我を直してもらおう。

「アハハ、ハハ?」

  魔物が首を傾げる。ちょっと滑稽にも見える動きを恐怖で固まった顔がやってるせいで、不気味というよりおぞましく感じてしまう。
  魔物は一瞬身を屈めると、こちらに飛びかかってきた。けど、どこからか現れた縄に縛られて、空中に磔になる。

「お待たせ致しました」
「ありがとう、ロゥさん!」

  お礼を言って、そのまま魔物の首を狙ってククリを振り抜く。魔物は首を深く切り裂かれて、ビクン、と痙攣すると、全身から力が抜けたみたいになって動かなくなった。

「ロゥさん、下ろしてあげて」
「御意」

  地面に横たえられた魔物の目を閉じてあげる。よくわからないけど、こうしてあげなきゃいけないって、そう思った。

「レディ、怪我人は皆治しておいた。命に及ぶ傷を負った者はいなかったようで死人は出ていない」
「わかった。ありがとう、教授」

  こっちはロゥさんのおかげでなんとかなったけど、ギルさんたちは大丈夫かな。この魔物たち、かなり強かったけど。ロゥさんがいなかったら結構危なかったと思う。

「レベッカ、ギルさんたちの所に向かおう。ここはもう大丈夫だと思うし」
「そうだね、合流してから探索を続けよう。もう戦いは終わってるだろうから、急ぎすぎない程度にね」
「あの魔物、強かったけど急がなくて大丈夫なの?」

  私がそう言うとレベッカがニヤリと笑う。

「大丈夫だよ、ギルは私より強いもの。それに、森の中のミリアは強いよ」
「レベッカがそう言うなら大丈夫なんだろうけど……」

  心配なものは心配だなあ。逸る気持ちをレベッカに抑えられながら、私たちはギルさんたちと合流しようと森の中を歩いて行った。
  
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