タロットチートで生き残る!…ことが出来るかなあ

新和浜 優貴

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本編

56,運命の輪

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「ははっ……。なんとなく予想はついてたが、実際見るときついな……」

  ギルさんが絞り出すような声で言う。レベッカもミリアさんも、白い顔をして額に脂汗を浮かべてる。
  でも、私は妙に落ち着いた気持ちだった。なんだか、テレビとかの画面の向こう側を見てる感じで。恐ろしいとか、関わりたくないとか、確かにそういう気持ちはあるんだけど、妙に冷静な私がいた。
  だから真っ先に反応できたのかもしれない。魔人がこちらへ手を向けてることに。

「バレてる!」

  私が叫びながら茂みを飛び出すと、三人は一瞬だけ遅れて茂みから飛び出してきた。みんなすぐに武器を構えて戦おうとするけど、魔人が攻撃してくる方が早い。魔人の手のひらから、黒い炎が矢みたいに撃ち出された。
  距離もあるし余裕を持って躱せるけど、避けちゃいけない気がする。今は悩んでられない、自分を信じるんだ。

運命の輪ホイールオブフォーチュン!」

  そう叫ぶと、水色の光が私の前に集まってくる。光が弾けると、赤銅色の大きな円盤が私の目の前に浮かんでいた。

「いけっ!」

  円盤は私の思い通りに、まっすぐ炎の矢に向かって行って盾のように受け止めた。黒い炎は円盤に当たった瞬間に弾けて、無数の火の粉になって魔人の方へ飛んでく。魔人は慌てた様子で水の盾みたいなのを作り出して火の粉を防ぐ。

「何をした、小娘!」

  魔人は焦ってるのか、驚いてるのか、苦虫を噛み潰したような顔で叫ぶ。

「見たままですよ」

  私は答える。

「何っ!?」

  だめだ、浅い。腕の一本でも、と思ってククリを振るったけど寸前で避けられた。腕を少し切り裂いた程度だし、戦うのに支障はないだろうなあ。
  魔人は距離を取って私を睨みつけてくる。傷跡を押さえてるけど、もう血が止まりかけてるように見える。

「アンジュ!」
「こっちは大丈夫!」

  こっちに来そうになったレベッカを声で止める。この魔神はかなり強い、と思う。けど、魔物ももちろん小さい方の人影、人間の女性みたいだけどその人も充分強く感じる。ギルさんとミリアさんだけでも大丈夫だとは思うけど、レベッカには向こうで戦ってて欲しい。

「大丈夫、助けを呼ぶから」
「……わかった。無茶しないでね!」

  そう言うとレベッカはギルさんたちの方に戻って行った。
  助けを呼ぶとは言ったけど、どうしよう。戦える人って考えて真っ先に頭に浮かぶのはマジマさんだ。これって絶対キマイラの時のあれが影響してるよね……。いいや!  呼んじゃえ!  撃たせなければいいんだしね。

戦車チャリオット!」

  ぶわっ、と風が巻き起こって思わず顔を腕でおおってしまう。風が止んで前を見ると、私と魔人の間にマジマさんが立ってた。だけど、いつものマジマさんとは全然違う。服装は黒いライダースーツで、肩から腕にかけてと脇腹から足首にかけて赤と青のラインが入ってる。

「やっとこっちの役目で呼ばれたっスね」
「マジマさん、いける?」
「余裕っスよ。こっちのが得意っス」

  パン、とマジマさんが手のひらに拳をぶつける。予想と少し違ったけど頼りになりそう。

「それじゃあまずは一発」

  そう言うとマジマさんの姿が消えた。そう思うくらいの速さで魔人に近づいたみたい。そのまま魔人を殴り飛ばす。

「戦車の突進力味わってくださいっス」
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