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本編
61,変わったこと
しおりを挟むセリゼの森での戦いから二週間。ゼーヴィスのこととか魔物のこととかをエリックさんに報告したり、 森が落ち着いたか確認のためにキオウ様を訪ねたり、色々と忙しい毎日が続いてる。当て布の女の人は結局どこにいるかわからなかったけど、ゼーヴィスと魔物が衝撃的すぎてどうでもよくなった。なんでこんなにあっさり気持ちが切れたのか分からないけど、スッキリしたしよしとしよう。
今回の件で私の冒険者ランクがCに上がった。いきなり上がりすぎな気がするけど、アリシアさん曰く、今回の功労者パーティの一人な上、怪我人を次々救い魔物に勇敢に立ち向かって行った召喚術士の少女として有名になってるから、これでも低いらしい。試験をパスさせてもっと上のランクに、なんて話も出たけど、他の冒険者に関してのこともあるって意見も出たことで流れたみたい。すごいありがたい、意見した人グッジョブ。
そんなこんなで色々な変化はあったけど、一番変わったと言えば――
「おう、召喚術の嬢ちゃん! 今日も綺麗な水色の髪だな! これからギルドか?」
「おはようございます。はい、今日は占いをしようと思って」
「そうか、頑張れよ。こいつ持ってきな!」
「わ、ありがとうございます!」
そう、私の髪は水色になった。正しくは、した、なんだけどね。考え無しに教授とかロゥさんとかを呼んだ結果、あんな強い力を持った召喚獣を呼び出したやつは誰だ、って話題になってしまった。うん、私が馬鹿だった。まあそうなってしまった以上、目立たないなんてことは無理なわけで。このままだと遅かれ早かれ王国に話が伝わっちゃうし、どうしようかってなってた。仕方ないから部屋にこもってた時ダンタリアンがふと――
(私の顔貸しましょうか?)
なんて言い出した。
とりあえず呼んでみて聞いてみる。
「どういうこと?」
「私は幾つも顔を持ってるのよ。一つ貸すくらいわけないわ」
うん、良くわかんない。
私が理解してないのを察したのか、ダンタリアンが仮面を外す。仮面の下は白人の男性だった。金髪碧眼のイケメンだ。ハリウッド映画とかで主人公してそう。でもこの顔でオネエ言葉話してたのか……。
「次はこれね」
ダンタリアンが仮面をもう一度つけてから外すと、今度は日本人っぽい美人の女性になった。顔だけじゃなくて体も女の人になってる。服も黒のパンツスーツになってる。はー、スタイルいいなあ。
「これで分かったでしょう? 私は幾つもの顔を持つ悪魔。そのうちの一つを貸せばアンちゃんは姿を変えられるってわけ」
「へー! そんなこと出来るんだ。どうやるの?」
「私の仮面を被るだけよ。そうしたらアンちゃんが望んだ姿になれるわ」
「分かった、やってみる」
手渡された仮面をつける。硬くてつるつるした感じの手触りだったのに、顔につけると肌にぴったり吸い付くような不思議な感覚だ。
「はい、こんな感じね」
「……おおー」
ダンタリアンがどこからともなく鏡を取り出して、私に向けてくる。私の髪の毛は少し透き通った水色になって、目の色も同じようになってた。顔は私の元々の顔に近いけど……、少し、リュウセン様に似てる? そう言えば髪の毛の色もリュウセン様と同じだ。え、なんか恥ずかしい。
「それを外すと元の顔に戻れるわ。外そうとすれば仮面として取れるから。それ以外は普通の肌と変わらずって感じよ。感覚もあるし、顔を洗えば元の顔を洗ってるのと同じことになるわよ」
「あ、うん」
思わず素っ気ない返事になってしまった。ごめん、割と慌ててるんだ。
ダンタリアンは望んだ姿になれると言ってたし、これがそうなんだよね。リュウセン様みたいな姿になりたいって思ってたのかなあ。うん、黙っとこ。
……うん? 望んだ姿ってことはもしかして。
「……ごめんね、アンちゃん。貸せるのは顔だけだから体までは変えられないわ」
「うん、大丈夫。辛いから気を使わないで……」
なんてことがあった。……ちょっと辛いことも思い出してしまったけど、忘れよう。
だから今の私は水色の髪の毛と目を持った召喚術士の冒険者アンジュ。ギルドで占いも請け負ってるっていうことになってる。最近は召喚獣の噂のおかげか占いを頼まれることも増えてきた。ちょっと忙しいけど充実してる感じがして楽しい。できればこのまま平和に過ごせるといいんだけど、ゼーヴィスも逃げちゃってるしそうはいかないんだろうなあ。
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