タロットチートで生き残る!…ことが出来るかなあ

新和浜 優貴

文字の大きさ
62 / 97
本編

61,変わったこと

しおりを挟む

  セリゼの森での戦いから二週間。ゼーヴィスのこととか魔物のこととかをエリックさんに報告したり、 森が落ち着いたか確認のためにキオウ様を訪ねたり、色々と忙しい毎日が続いてる。当て布の女の人は結局どこにいるかわからなかったけど、ゼーヴィスと魔物が衝撃的すぎてどうでもよくなった。なんでこんなにあっさり気持ちが切れたのか分からないけど、スッキリしたしよしとしよう。
  今回の件で私の冒険者ランクがCに上がった。いきなり上がりすぎな気がするけど、アリシアさん曰く、今回の功労者パーティの一人な上、怪我人を次々救い魔物に勇敢に立ち向かって行った召喚術士の少女として有名になってるから、これでも低いらしい。試験をパスさせてもっと上のランクに、なんて話も出たけど、他の冒険者に関してのこともあるって意見も出たことで流れたみたい。すごいありがたい、意見した人グッジョブ。
  そんなこんなで色々な変化はあったけど、一番変わったと言えば――

「おう、召喚術の嬢ちゃん!  今日も綺麗な髪だな!  これからギルドか?」
「おはようございます。はい、今日は占いをしようと思って」
「そうか、頑張れよ。こいつ持ってきな!」
「わ、ありがとうございます!」

  そう、私の髪は水色になった。正しくは、した、なんだけどね。考え無しに教授とかロゥさんとかを呼んだ結果、あんな強い力を持った召喚獣を呼び出したやつは誰だ、って話題になってしまった。うん、私が馬鹿だった。まあそうなってしまった以上、目立たないなんてことは無理なわけで。このままだと遅かれ早かれ王国に話が伝わっちゃうし、どうしようかってなってた。仕方ないから部屋にこもってた時ダンタリアンがふと――

(私の顔貸しましょうか?)

  なんて言い出した。
  とりあえず呼んでみて聞いてみる。

「どういうこと?」
「私は幾つも顔を持ってるのよ。一つ貸すくらいわけないわ」

  うん、良くわかんない。
  私が理解してないのを察したのか、ダンタリアンが仮面を外す。仮面の下は白人の男性だった。金髪碧眼のイケメンだ。ハリウッド映画とかで主人公してそう。でもこの顔でオネエ言葉話してたのか……。

「次はこれね」

  ダンタリアンが仮面をもう一度つけてから外すと、今度は日本人っぽい美人の女性になった。顔だけじゃなくて体も女の人になってる。服も黒のパンツスーツになってる。はー、スタイルいいなあ。

「これで分かったでしょう?  私は幾つもの顔を持つ悪魔。そのうちの一つを貸せばアンちゃんは姿を変えられるってわけ」
「へー!  そんなこと出来るんだ。どうやるの?」
「私の仮面を被るだけよ。そうしたらアンちゃんが望んだ姿になれるわ」
「分かった、やってみる」

  手渡された仮面をつける。硬くてつるつるした感じの手触りだったのに、顔につけると肌にぴったり吸い付くような不思議な感覚だ。

「はい、こんな感じね」
「……おおー」

  ダンタリアンがどこからともなく鏡を取り出して、私に向けてくる。私の髪の毛は少し透き通った水色になって、目の色も同じようになってた。顔は私の元々の顔に近いけど……、少し、リュウセン様に似てる?  そう言えば髪の毛の色もリュウセン様と同じだ。え、なんか恥ずかしい。

「それを外すと元の顔に戻れるわ。外そうとすれば仮面として取れるから。それ以外は普通の肌と変わらずって感じよ。感覚もあるし、顔を洗えば元の顔を洗ってるのと同じことになるわよ」
「あ、うん」

  思わず素っ気ない返事になってしまった。ごめん、割と慌ててるんだ。
  ダンタリアンは望んだ姿になれると言ってたし、これがそうなんだよね。リュウセン様みたいな姿になりたいって思ってたのかなあ。うん、黙っとこ。
  ……うん?  望んだ姿ってことはもしかして。

「……ごめんね、アンちゃん。貸せるのは顔だけだから体までは変えられないわ」
「うん、大丈夫。辛いから気を使わないで……」

  なんてことがあった。……ちょっと辛いことも思い出してしまったけど、忘れよう。
  だから今の私は水色の髪の毛と目を持った召喚術士の冒険者アンジュ。ギルドで占いも請け負ってるっていうことになってる。最近は召喚獣の噂のおかげか占いを頼まれることも増えてきた。ちょっと忙しいけど充実してる感じがして楽しい。できればこのまま平和に過ごせるといいんだけど、ゼーヴィスも逃げちゃってるしそうはいかないんだろうなあ。
しおりを挟む
感想 88

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

処理中です...