タロットチートで生き残る!…ことが出来るかなあ

新和浜 優貴

文字の大きさ
69 / 97
本編

68,大盛況?

しおりを挟む

  次の日、私は朝ご飯を食べた後、張り切ってギルドに向かった。占い師の部分を強調するために。でも、正直もう帰りたい。まだお昼前だけど。
  いや、お客さんが来ないと占いは出来ないって確かに思ったけどさ、これはさすがに来すぎだと思うんだよ!

「ありがとうございました。また何がありましたらよろしくお願いします」
「いえいえ、お力になれたならよかったです」

  今の人で十二人目?  いや、十三だっけ?  もうあやふやになってる。

「次の方、お待たせしました」
「いえいえ。今日はよろしくお願いします」

  そして、この後にもまだまだ順番待ちしてる人がたくさんいる。ギルドに着いた時占い師用の貸出スペースのほとんどが人で埋まってたから、私以外にも借り始めたのかと思ったらまさかの全員私のお客さんでした。しかも座りきれないから知り合い同士で集まって立ってる人もいるらしいし。全く人が減る気配がない。むしろ増えてるんじゃないかなこれ。
  いくら多いとはいえ、お客さんな上占いをするんだから手を抜くわけにはいかない。こうなったらもうとことんやりきってやる!



  ……なーんて思ってたんだけどね。何人やっても人がいなくなる気配がない。もう数えるのも億劫になって、今が何人目なのかも分からない。でもまだまだいっぱい待ってる人がいる。なんでこんなにいるのよ……。

「うわ、ほんとにとんでもないことになってる。アンジュ、大丈夫?」

  次の人を呼ぼうとした時、後ろから声をかけられた。振り返るとレベッカが立ってた。

「あ、レベッカ……。どうしたの……?」
「ギルに面白いことになってるって聞いて来たんだけど……見事にお疲れだね。サンドイッチ持ってきたけど、食べる?」
「食べたいけど、まだ待ってる人いるし……」
「一旦休憩にしなよ。そんな状態で占いできないでしょ?」

  そう言うとレベッカは順番待ちをしてる人たちに事情を説明して回ってくれた。あれだけいた人が次々にいなくなってく。なんだか申し訳ないような、ほっとしたような。

「一度休憩にするって伝えたら、みんな今日は帰ることにするってさ。向こうで順番とかも決めてくれるらしい」
「え、本当に?  申し訳ないことしちゃったな……。というか、向こう?」
「ああ、お客さんはほとんどが商人みたいでね。商人同士で順番を決めて、人数も絞るってさ。少なくとも今日みたいな状態にはならないよ」

  ほとんどが商人?  もしかしてこんなに人が増えたのって……。

「まあ、あのバスカルヴィー商会が絶賛する占い師なんだもの。商人だったら占ってもらいたいだろうね」
「やっぱりあの人の仕業か……!」

  思わず頭を抱えてしまう。まさかとは思うけど、これも感謝の一部とかじゃないよね?  私はただ細々とやっていけたらよかったのに!

「それだけじゃないだろうけどね。アンジュの占いはとんでもなく早いし、何より分かりやすい。商人には好まれると思うよ」
「何それ……」
「私も前に占ってもらったことがあるけど、昼過ぎに行ったはずなのに終わったのは空が赤くなり始めたころだった。それなのに結果は妙に遠回しで抽象的な言葉ばかりで、半分も理解出来なかったしね。なんとなく分かったのは……、暗雲立ち込めし時一筋の光が刃となりて切り裂くだろう、だったかな。いつにその暗雲が来るのかとかも分からないから、できることは心の準備くらいだよ」

  こっちの占いってそういうものなのか。私の知ってるのとは違うみたいだ。いや、そこまで違うわけじゃないけどさ。ファンタジーっぽい言い回しというか、そんな感じ。それに、占いというより予言めいてる。私のは占いだからそんなこと出来ないし、何より言葉が出てこないからそのまま話してるけど、それが気に入られちゃう理由になるなんて思わないよ……。

「まあ、しばらくは大変だろうけど頑張るしかないね。あと、そのバスカルヴィーさんから連絡があったよ。三日後に屋敷に招きたいってことだけど、どうする?」
「屋敷に招くって……。え、バスカルヴィーさんの家にってこと?」
「うん、私達も一緒にどうぞってさ。簡単なパーティーを開いて、その時に紹介するって」

  なんだろう、行ったら絶対めんどくさいことになる気しかしない。占うだけなんだからパーティーなんて必要ないはずだよね。

「断ったりとかは……」
「しない方がいいだろうね。絶対面倒なことになるし。何よりギルがもう行くって返事しちゃったよ」
「なんで!?」
「食べ物に釣られた。まあ、諦める他ないよ」

  なんてことしてくれたのギル……。後でミリアに説教してもらうから覚悟しろ……。
しおりを挟む
感想 88

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

処理中です...