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本編
68,大盛況?
しおりを挟む次の日、私は朝ご飯を食べた後、張り切ってギルドに向かった。占い師の部分を強調するために。でも、正直もう帰りたい。まだお昼前だけど。
いや、お客さんが来ないと占いは出来ないって確かに思ったけどさ、これはさすがに来すぎだと思うんだよ!
「ありがとうございました。また何がありましたらよろしくお願いします」
「いえいえ、お力になれたならよかったです」
今の人で十二人目? いや、十三だっけ? もうあやふやになってる。
「次の方、お待たせしました」
「いえいえ。今日はよろしくお願いします」
そして、この後にもまだまだ順番待ちしてる人がたくさんいる。ギルドに着いた時占い師用の貸出スペースのほとんどが人で埋まってたから、私以外にも借り始めたのかと思ったらまさかの全員私のお客さんでした。しかも座りきれないから知り合い同士で集まって立ってる人もいるらしいし。全く人が減る気配がない。むしろ増えてるんじゃないかなこれ。
いくら多いとはいえ、お客さんな上占いをするんだから手を抜くわけにはいかない。こうなったらもうとことんやりきってやる!
……なーんて思ってたんだけどね。何人やっても人がいなくなる気配がない。もう数えるのも億劫になって、今が何人目なのかも分からない。でもまだまだいっぱい待ってる人がいる。なんでこんなにいるのよ……。
「うわ、ほんとにとんでもないことになってる。アンジュ、大丈夫?」
次の人を呼ぼうとした時、後ろから声をかけられた。振り返るとレベッカが立ってた。
「あ、レベッカ……。どうしたの……?」
「ギルに面白いことになってるって聞いて来たんだけど……見事にお疲れだね。サンドイッチ持ってきたけど、食べる?」
「食べたいけど、まだ待ってる人いるし……」
「一旦休憩にしなよ。そんな状態で占いできないでしょ?」
そう言うとレベッカは順番待ちをしてる人たちに事情を説明して回ってくれた。あれだけいた人が次々にいなくなってく。なんだか申し訳ないような、ほっとしたような。
「一度休憩にするって伝えたら、みんな今日は帰ることにするってさ。向こうで順番とかも決めてくれるらしい」
「え、本当に? 申し訳ないことしちゃったな……。というか、向こう?」
「ああ、お客さんはほとんどが商人みたいでね。商人同士で順番を決めて、人数も絞るってさ。少なくとも今日みたいな状態にはならないよ」
ほとんどが商人? もしかしてこんなに人が増えたのって……。
「まあ、あのバスカルヴィー商会が絶賛する占い師なんだもの。商人だったら占ってもらいたいだろうね」
「やっぱりあの人の仕業か……!」
思わず頭を抱えてしまう。まさかとは思うけど、これも感謝の一部とかじゃないよね? 私はただ細々とやっていけたらよかったのに!
「それだけじゃないだろうけどね。アンジュの占いはとんでもなく早いし、何より分かりやすい。商人には好まれると思うよ」
「何それ……」
「私も前に占ってもらったことがあるけど、昼過ぎに行ったはずなのに終わったのは空が赤くなり始めたころだった。それなのに結果は妙に遠回しで抽象的な言葉ばかりで、半分も理解出来なかったしね。なんとなく分かったのは……、暗雲立ち込めし時一筋の光が刃となりて切り裂くだろう、だったかな。いつにその暗雲が来るのかとかも分からないから、できることは心の準備くらいだよ」
こっちの占いってそういうものなのか。私の知ってるのとは違うみたいだ。いや、そこまで違うわけじゃないけどさ。ファンタジーっぽい言い回しというか、そんな感じ。それに、占いというより予言めいてる。私のは占いだからそんなこと出来ないし、何より言葉が出てこないからそのまま話してるけど、それが気に入られちゃう理由になるなんて思わないよ……。
「まあ、しばらくは大変だろうけど頑張るしかないね。あと、そのバスカルヴィーさんから連絡があったよ。三日後に屋敷に招きたいってことだけど、どうする?」
「屋敷に招くって……。え、バスカルヴィーさんの家にってこと?」
「うん、私達も一緒にどうぞってさ。簡単なパーティーを開いて、その時に紹介するって」
なんだろう、行ったら絶対めんどくさいことになる気しかしない。占うだけなんだからパーティーなんて必要ないはずだよね。
「断ったりとかは……」
「しない方がいいだろうね。絶対面倒なことになるし。何よりギルがもう行くって返事しちゃったよ」
「なんで!?」
「食べ物に釣られた。まあ、諦める他ないよ」
なんてことしてくれたのギル……。後でミリアに説教してもらうから覚悟しろ……。
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