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第23話 またかよ
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はあ、どうしてこうなった。俺は心の中でそう呟かずにはいられなかった。
昼前に大学についた俺はいつものように対して興味もない講義を窓際の席を陣取ってボケッと聞いていた。講義の内容は哲学チック内容が濃く、雄弁に語っている教授は白い髭を生やしたいかにもなおじいちゃんだ。見えているのかどうかわからない小さな眼鏡をしきりに上に上げる動作が気になっていた。そんなにずれるような眼鏡をかけなければいいのに、いやもしかしたら幾度も眼鏡を直すことでボケ防止でもしているのかもしれない。しかしもはや無意識にやっているようにしか見えないその動作にそれほどの効果があるとも思えないしかえってボケそうだとも思った。なんとか居眠りすることなく聞いていた講義も終盤に差し掛かったころに講義室の後ろの扉が開かれた。比較的前にいる私でも十分気がつく程堂々とそいつらは入ってきた。一人はチャラついた格好をした金髪の男だ。その男を取り巻く残りの4人は見た目は普通だが明らかにその男に怖気付いているように背筋を殺して背中を丸くして歩いていた。今時こんなにわかりやすい上下関係があるものだろうか。連中は特に騒ぐわけでもなく大人しく1番後ろの席に座った。そのおかげか、おじいちゃん教授は特に気に留めることもなく講義を続けていた。俺はああいう連中とは関わらないようにして生きてきた。関わるメリットがひとつも思いつかなかったからだ。だからあいつらとも関わりたくはない。しかしそうは問屋が卸さない。まずいことに俺はあいつらを知っている。なんなら顔を合わせたこともある。昨晩の癇癪玉の愉快犯(仮)はあいつらで間違いないだろう。こうしてみると一目で問題児だとわかる。人を外見や噂で判断しない私だが今回に限っては悪いイメージしかできなかった。実はいい奴、なんて想像ができなかった。よく今まで気がつかなかったと言いたくなるほど奴らのオーラはこの場に似つかわしくなかった。ではなぜ、今奴らがこの講義室にいるのだろうか。この講義をとっていたが今まで受けていなかった?いやそれはない。このおじいちゃん教授の講義は出席しなければ絶対に単位を取ることはできない。いわゆる出席点というやつに重点が置かれている。なんだよ出席点って、出席してるだけで点数がもらえる意味がわからない。まあ今は置いておこう。つまり、あいつらがなぜここにきているのか、その答えは十中八九俺にあるのだ。
「おい、小口小吉だろ、お前」
講義が終わって荷物をまとめている俺に奴らが近づいてきた。そしてその親玉であろう男が俺にそう声をかけてきた。
「さあ、どうだろうね、生憎知らない人には名前と誕生日は教えない主義なんだ。」
「しらばっくれても無駄だ、これを見たら何も言い返せなくなるだろう?」
男はそう言って見覚えのあるカードを俺に見せてきた。それは紛れもなく俺の面長の顔がプリントされた俺の学生証だった。
「はぁ、またかよ。お前はよく俺から離れるな」
「何ぶつぶつ言ってんだよ」
俺はその連中に講義室から連れ出された。連れ出され歩いている間、心の中で呟いた。
はあ、どうしてこうなった。
昼前に大学についた俺はいつものように対して興味もない講義を窓際の席を陣取ってボケッと聞いていた。講義の内容は哲学チック内容が濃く、雄弁に語っている教授は白い髭を生やしたいかにもなおじいちゃんだ。見えているのかどうかわからない小さな眼鏡をしきりに上に上げる動作が気になっていた。そんなにずれるような眼鏡をかけなければいいのに、いやもしかしたら幾度も眼鏡を直すことでボケ防止でもしているのかもしれない。しかしもはや無意識にやっているようにしか見えないその動作にそれほどの効果があるとも思えないしかえってボケそうだとも思った。なんとか居眠りすることなく聞いていた講義も終盤に差し掛かったころに講義室の後ろの扉が開かれた。比較的前にいる私でも十分気がつく程堂々とそいつらは入ってきた。一人はチャラついた格好をした金髪の男だ。その男を取り巻く残りの4人は見た目は普通だが明らかにその男に怖気付いているように背筋を殺して背中を丸くして歩いていた。今時こんなにわかりやすい上下関係があるものだろうか。連中は特に騒ぐわけでもなく大人しく1番後ろの席に座った。そのおかげか、おじいちゃん教授は特に気に留めることもなく講義を続けていた。俺はああいう連中とは関わらないようにして生きてきた。関わるメリットがひとつも思いつかなかったからだ。だからあいつらとも関わりたくはない。しかしそうは問屋が卸さない。まずいことに俺はあいつらを知っている。なんなら顔を合わせたこともある。昨晩の癇癪玉の愉快犯(仮)はあいつらで間違いないだろう。こうしてみると一目で問題児だとわかる。人を外見や噂で判断しない私だが今回に限っては悪いイメージしかできなかった。実はいい奴、なんて想像ができなかった。よく今まで気がつかなかったと言いたくなるほど奴らのオーラはこの場に似つかわしくなかった。ではなぜ、今奴らがこの講義室にいるのだろうか。この講義をとっていたが今まで受けていなかった?いやそれはない。このおじいちゃん教授の講義は出席しなければ絶対に単位を取ることはできない。いわゆる出席点というやつに重点が置かれている。なんだよ出席点って、出席してるだけで点数がもらえる意味がわからない。まあ今は置いておこう。つまり、あいつらがなぜここにきているのか、その答えは十中八九俺にあるのだ。
「おい、小口小吉だろ、お前」
講義が終わって荷物をまとめている俺に奴らが近づいてきた。そしてその親玉であろう男が俺にそう声をかけてきた。
「さあ、どうだろうね、生憎知らない人には名前と誕生日は教えない主義なんだ。」
「しらばっくれても無駄だ、これを見たら何も言い返せなくなるだろう?」
男はそう言って見覚えのあるカードを俺に見せてきた。それは紛れもなく俺の面長の顔がプリントされた俺の学生証だった。
「はぁ、またかよ。お前はよく俺から離れるな」
「何ぶつぶつ言ってんだよ」
俺はその連中に講義室から連れ出された。連れ出され歩いている間、心の中で呟いた。
はあ、どうしてこうなった。
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