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二章
42.おまえか?
しおりを挟むあれ上手くいかないな。その『羊』はぴくりともせずただこちらを見ている。ただ見られているというよりは見定められているや睨まれていると言ったのが正しいか。あの羊や山羊に見られる特有の横長の瞳孔が無性に恐怖感を駆り立てる。なに自分で想像しておいて勝手に怖がっているんだ。
『…‥』
だがあちらも一向に動くつもりはないらしい。ここで立ち往生しているわけにもいかない。これ以上、光も心配させたくないし怒られたくもない。
(……くそ、どうすれば)
気づくと俺は頭を地面につけていた。まるでそれが自然なことのように頭と地面が磁力を帯びているかのようにくっついていた。焦りからきた咄嗟の行動なのだろう、俺はそのよくわからない『羊』に土下座をしていた。
するとその『羊』はやれやれと言わんばかりに動き出し柵を超えた。その瞬間その見た目にはそぐわない翼のようなものが見えたは気のせいだろうか。無数の羽に覆われているようにも見えた。
何はともあれやっと動いてくれた。このまま数を数えればいいんだろうか。
「羊が1匹、羊が2匹、羊が3匹、、、」
よかった。俺の言葉に合わせて『羊』が柵を飛び越えてくれる。ただ、右から左に向かって飛び越えて行ってるのはいいんだが右にはずっと一体しかいないのに気づくとその『羊』が柵を飛び越え左に溜まって行っている。こういうのって飛んだ時点で退場するもんじゃないのか。まぁ、でも眠気も徐々に出てきて寝れることを確信する。
(……いい感じだ。どうやら明日は遅刻せずにすみそうだ、)
「羊が50匹、羊が51匹、、」
あれ?何かおかしいぞ。
「羊が300匹、羊が301匹、羊が302匹、」
(…….あっこれは、)
「羊が999匹、羊が1000、、寝ぇれねぇぇぇぇ!!!」
眠気はあるはずにいくら羊を数えても寝れない。普通は遅くても百匹ぐらいで寝れるもんだろう。途中から左に飛び終えた『羊』が溜まりすぎて気持ち悪いことになってた。集合体恐怖症なら確実に気絶していただろう。
目を閉じてるからわからないが体感的には1時間ぐらいすぎてる気がする。まずい、このままだと絶対明日起きれない。
「ん?」
なんだかすごく眩しい。目を閉じてるのに瞼を貫通してくる明るさだ。
「あれ、電気消し忘れたっけ?」
「あー、おはよー」
電気を消そうと起き上がるとそばから聞き覚えのする声が聞こえてくる。
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