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2.幽霊の噂
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休み時間も、次の授業のことで頭がいっぱいだ。宿題のノートを見返していると、他の子たちが話しかけてきた。
「ねえねえ、松永さんさあ、龍神坂の方から来てなかったっけ?」
顔をあげると、季穂も含めた女の子たちが、近くの机に集まっていた。季穂もその輪に加わっている。
「うん、龍神坂、通るよ」
私は伸びをして立ち上がった。
自分から声をかける余裕はないけれど、話題を振ってもらえると、少しほっとできる。
「あそこらへんでさ、幽霊見た子がいるらしくてさ」
声をかけてくれた和田さんという子がそんな風に続けた。ショートカットで小柄、いつも早口でテンションが高いおしゃべり好きな子だ。
「え、幽霊? こわ……どんな幽霊なの?」
話しの方向が思わぬホラーで、ぶわっと鳥肌が立った。
夕暮れ時の龍神坂の入口は、確かに鬱蒼としていて、爽やかな朝の風景からはかけ離れたものになる。
木々に囲まれた車道は街頭も少なく、普段だって、まるで洞窟に入っていくような勇気がいるのだ。
「二組の子なんだけど、剣道部でさ。神社のそばに道場があるんだけど。稽古の後、夜八時くらいに龍神坂の近くの橋を渡ってたら、河原にぼうっと白い人影が浮いてたんだって」
夜八時だと、橋の上の照明以外に光はない。夏には毎年、神社の例大祭があり、花火会場になる河原ではあるけれど、普段は犬の散歩の人がたまに通るくらいだ。
「剣道部の先輩も一緒に見たんだって。自転車停めて見てたら、すぐ消えたって言ってた」
「何もしない幽霊なんだ」
追いかけてくるとか、足を引っ張ってくるとかではないらしい。
「あそこの川ってさ、橋に人柱使ってたんだって。小学校のときの先生が言ってたよ」
和田さんの隣でそう言ったのは、神崎さん。サラサラの髪にぱっちりとした瞳が可愛らしい子だ。
「じゃあ出るね」
どっしりと季穂が断言した。
「出るね、じゃないよ~私、毎日あそこ通るんだよ」
放課後すぐに帰ればまだ明るいけれど、演劇部の活動がある日は七時頃になる。
あの坂は自転車を漕いでは登れない。
教科書の詰まったスクールバッグをかごに載せ、押していくのが精一杯だ。人ならぬものに追いかけられたらと思うと、なかなか鳥肌が引かない。
「部活ある日は、親に送ってもらったら?」
季穂に言われて、私はなんと説明しようか迷う。
まだ、季穂には私と母の関係については説明していない。
「あ~……」
言い淀んでいると、和田さんが人差し指を私に突きつけた。
「わかる! 言いにくいよね。『好きで部活やってるんだから頑張って帰ってこい!』とか言うもん、うちのママも」
和田さんの言葉に神崎さんが手を後ろに組み、体を左右に揺らしながら続けた。
「うちはお父《とう》なら送ってくれるかもしれないけど、お父《とう》は連絡付きにくくて待つんだよね~iPhoneの音、完全にサイレントにしててさ」
かわいい顔立ちの神崎さんだけれど、父親のことを『お父』と呼ぶ。
みんなそれぞれ違った家族関係があって、そういうのが垣間見える話が私は好きだ。テレビやマンガに出てくるような、『標準』の家なんてない、ということを実感できるからかもしれない。
「あっそういえば、お父が昨日買ってきたお菓子、季穂が絶対好きなヤツだったよ」
神崎さんがスナック菓子の説明を始め、季穂と和田さんが前のめりで食いつき、あっという間に休み時間が終わって幽霊の話題はそれきりになった。
放課後、私は季穂と演劇部の練習場所である、校舎の端の講堂に行く。
講堂は一年生から三年生の教室が並ぶメインの建物から、L字に分かれた分棟の突き当りにある。古めかしい木造の建物は、天井が低く、いまだに蛍光灯の照明しかない。
幽霊が出そうな場所という意味では負けていないこの廊下で、私はまた昼間とは違う緊張感に見舞われる。
講堂の手前には理科室があり、そこに放課後集まるのが、みっちゃんの所属する科学部なのだ。
みっちゃんと鉢合わせになりたいような、なりたくないような気持ちで、いつも床板の軋む廊下を歩いていく。
すると、理科室の扉がガラっと開き、中から二人の男子生徒が飛び出てきた。
「痛いっておまえ」
笑いながらじゃれあっているワイシャツ姿の男子生徒。
ネクタイをきちんと締めているほうがみっちゃんで、だらしなく襟をはだけているのが鳴田だった。二人とも、プラスチック製のパイプを手に、チャンバラのようなことをしていたらしい。
「珠月先輩、妹さんですよ」
ほらっ、と鳴田が私を手の平で示す。古い校舎を背景にした鳴田はタイムスリップしてきた未来人のような妙な違和感がある。
「なにやってんだか」
ふうっと、私はため息をついて二人を避けて行こうとした。
「あ、美味しかったですよ、スペシャルドリンク」
私と同じ速さで歩きながら、季穂が追い抜きざま、みっちゃんの方を向く。
「あれっ、季穂ちゃんも飲んだの?」
みっちゃんが問うので、季穂が足を止めた。仕方なく私も振り返る。
「うん、二人で分けっこして飲んだ」
朝は時間が無くなって、昼休みに二人で味見をした。レモンの酸味はフルーティでほんのり甘く、疲れが吹き飛ぶ味だった。
「そっか、じゃあ、明日は季穂ちゃんの分も作ろうか」
「おっ、じゃあ、オレもオレも! 作って先輩」
鳴田が肩をシェイクさせながらみっちゃんに近づくと、みっちゃんは悪霊を封じるように鳴田のおでこを押さえた。
「オマエは塩化ナトリウムでいいな?」
「いきなり廉価版になった」
季穂が吹きだす。
「オレも岩塩がいいです! いや、せめて食塩で!」
絡みはじめた鳴田とみっちゃんに手を振り、私と季穂は講堂へと入っていく。
演劇部の稽古が終わったのは午後六時頃。
私と季穂が校舎を出ると淡い夕焼け空が広がっていた。
夕陽の残光が西の空にたなびく雲に当たり、ラベンダー色の影ができている。
「おお、きれいじゃのう」
季穂が芝居がかった調子で額に手を翳した。まだムワっと暑い空気を透明な箒で掃き清めるように、ゆるやかな夕風が通り抜けていく。
駐輪スペースの端には、鳴田の乗ってきた自作自転車がまだ置いてあった。昼休みに雪村先生になんと言われたのだろう。
「鳴田、明日もこれに乗って来るのかな」
私がヘルメットを付けながらつぶやくと、もう準備のできていた季穂は首を傾げる。
「どうだろ。だって鳴田の家、ここからそんなに遠くないよね」
「そうなの?」
季穂は私よりも情報通だ。鳴田の家は、父親が変わっているらしく、倉庫のような建物に住んでいるとは聞いたことがある。
倉庫と聞いて、学校の近くではなく、自分と同じように離れた集落に暮らしているのかと勝手に思っていた。
季穂とはバス通りに出たところで別れ、いつも通り急な龍神坂を、自転車を押して歩く。
今日は車通りがあり、時折行き過ぎるヘッドライトに勇気づけられながら、薄暮の雑木林を上り詰めていく。
てっぺん辺りの傾斜がゆるやかになっていて、ラストスパートの力を出し切れない。
登りきるとあとは楽で、ペダルに足を軽くかけたまま、カーブでスピードを出し過ぎないようにだけ気を付けながら、重力に身を任せた。
「ねえねえ、松永さんさあ、龍神坂の方から来てなかったっけ?」
顔をあげると、季穂も含めた女の子たちが、近くの机に集まっていた。季穂もその輪に加わっている。
「うん、龍神坂、通るよ」
私は伸びをして立ち上がった。
自分から声をかける余裕はないけれど、話題を振ってもらえると、少しほっとできる。
「あそこらへんでさ、幽霊見た子がいるらしくてさ」
声をかけてくれた和田さんという子がそんな風に続けた。ショートカットで小柄、いつも早口でテンションが高いおしゃべり好きな子だ。
「え、幽霊? こわ……どんな幽霊なの?」
話しの方向が思わぬホラーで、ぶわっと鳥肌が立った。
夕暮れ時の龍神坂の入口は、確かに鬱蒼としていて、爽やかな朝の風景からはかけ離れたものになる。
木々に囲まれた車道は街頭も少なく、普段だって、まるで洞窟に入っていくような勇気がいるのだ。
「二組の子なんだけど、剣道部でさ。神社のそばに道場があるんだけど。稽古の後、夜八時くらいに龍神坂の近くの橋を渡ってたら、河原にぼうっと白い人影が浮いてたんだって」
夜八時だと、橋の上の照明以外に光はない。夏には毎年、神社の例大祭があり、花火会場になる河原ではあるけれど、普段は犬の散歩の人がたまに通るくらいだ。
「剣道部の先輩も一緒に見たんだって。自転車停めて見てたら、すぐ消えたって言ってた」
「何もしない幽霊なんだ」
追いかけてくるとか、足を引っ張ってくるとかではないらしい。
「あそこの川ってさ、橋に人柱使ってたんだって。小学校のときの先生が言ってたよ」
和田さんの隣でそう言ったのは、神崎さん。サラサラの髪にぱっちりとした瞳が可愛らしい子だ。
「じゃあ出るね」
どっしりと季穂が断言した。
「出るね、じゃないよ~私、毎日あそこ通るんだよ」
放課後すぐに帰ればまだ明るいけれど、演劇部の活動がある日は七時頃になる。
あの坂は自転車を漕いでは登れない。
教科書の詰まったスクールバッグをかごに載せ、押していくのが精一杯だ。人ならぬものに追いかけられたらと思うと、なかなか鳥肌が引かない。
「部活ある日は、親に送ってもらったら?」
季穂に言われて、私はなんと説明しようか迷う。
まだ、季穂には私と母の関係については説明していない。
「あ~……」
言い淀んでいると、和田さんが人差し指を私に突きつけた。
「わかる! 言いにくいよね。『好きで部活やってるんだから頑張って帰ってこい!』とか言うもん、うちのママも」
和田さんの言葉に神崎さんが手を後ろに組み、体を左右に揺らしながら続けた。
「うちはお父《とう》なら送ってくれるかもしれないけど、お父《とう》は連絡付きにくくて待つんだよね~iPhoneの音、完全にサイレントにしててさ」
かわいい顔立ちの神崎さんだけれど、父親のことを『お父』と呼ぶ。
みんなそれぞれ違った家族関係があって、そういうのが垣間見える話が私は好きだ。テレビやマンガに出てくるような、『標準』の家なんてない、ということを実感できるからかもしれない。
「あっそういえば、お父が昨日買ってきたお菓子、季穂が絶対好きなヤツだったよ」
神崎さんがスナック菓子の説明を始め、季穂と和田さんが前のめりで食いつき、あっという間に休み時間が終わって幽霊の話題はそれきりになった。
放課後、私は季穂と演劇部の練習場所である、校舎の端の講堂に行く。
講堂は一年生から三年生の教室が並ぶメインの建物から、L字に分かれた分棟の突き当りにある。古めかしい木造の建物は、天井が低く、いまだに蛍光灯の照明しかない。
幽霊が出そうな場所という意味では負けていないこの廊下で、私はまた昼間とは違う緊張感に見舞われる。
講堂の手前には理科室があり、そこに放課後集まるのが、みっちゃんの所属する科学部なのだ。
みっちゃんと鉢合わせになりたいような、なりたくないような気持ちで、いつも床板の軋む廊下を歩いていく。
すると、理科室の扉がガラっと開き、中から二人の男子生徒が飛び出てきた。
「痛いっておまえ」
笑いながらじゃれあっているワイシャツ姿の男子生徒。
ネクタイをきちんと締めているほうがみっちゃんで、だらしなく襟をはだけているのが鳴田だった。二人とも、プラスチック製のパイプを手に、チャンバラのようなことをしていたらしい。
「珠月先輩、妹さんですよ」
ほらっ、と鳴田が私を手の平で示す。古い校舎を背景にした鳴田はタイムスリップしてきた未来人のような妙な違和感がある。
「なにやってんだか」
ふうっと、私はため息をついて二人を避けて行こうとした。
「あ、美味しかったですよ、スペシャルドリンク」
私と同じ速さで歩きながら、季穂が追い抜きざま、みっちゃんの方を向く。
「あれっ、季穂ちゃんも飲んだの?」
みっちゃんが問うので、季穂が足を止めた。仕方なく私も振り返る。
「うん、二人で分けっこして飲んだ」
朝は時間が無くなって、昼休みに二人で味見をした。レモンの酸味はフルーティでほんのり甘く、疲れが吹き飛ぶ味だった。
「そっか、じゃあ、明日は季穂ちゃんの分も作ろうか」
「おっ、じゃあ、オレもオレも! 作って先輩」
鳴田が肩をシェイクさせながらみっちゃんに近づくと、みっちゃんは悪霊を封じるように鳴田のおでこを押さえた。
「オマエは塩化ナトリウムでいいな?」
「いきなり廉価版になった」
季穂が吹きだす。
「オレも岩塩がいいです! いや、せめて食塩で!」
絡みはじめた鳴田とみっちゃんに手を振り、私と季穂は講堂へと入っていく。
演劇部の稽古が終わったのは午後六時頃。
私と季穂が校舎を出ると淡い夕焼け空が広がっていた。
夕陽の残光が西の空にたなびく雲に当たり、ラベンダー色の影ができている。
「おお、きれいじゃのう」
季穂が芝居がかった調子で額に手を翳した。まだムワっと暑い空気を透明な箒で掃き清めるように、ゆるやかな夕風が通り抜けていく。
駐輪スペースの端には、鳴田の乗ってきた自作自転車がまだ置いてあった。昼休みに雪村先生になんと言われたのだろう。
「鳴田、明日もこれに乗って来るのかな」
私がヘルメットを付けながらつぶやくと、もう準備のできていた季穂は首を傾げる。
「どうだろ。だって鳴田の家、ここからそんなに遠くないよね」
「そうなの?」
季穂は私よりも情報通だ。鳴田の家は、父親が変わっているらしく、倉庫のような建物に住んでいるとは聞いたことがある。
倉庫と聞いて、学校の近くではなく、自分と同じように離れた集落に暮らしているのかと勝手に思っていた。
季穂とはバス通りに出たところで別れ、いつも通り急な龍神坂を、自転車を押して歩く。
今日は車通りがあり、時折行き過ぎるヘッドライトに勇気づけられながら、薄暮の雑木林を上り詰めていく。
てっぺん辺りの傾斜がゆるやかになっていて、ラストスパートの力を出し切れない。
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