覚悟はありますか?

翔王(とわ)

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こんなはずじゃなかった

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今日は私の帰国報告と王太子妃教育の開始を発表する日です。ここまで長かったけど、やっと王太子妃の道が見えてきて私は浮かれっぱなしです。

大広間に着き、両陛下や王太子様が来るまでヒソヒソと噂されました。
「リリス嬢は帰国したのか……留学生活から逃げ出すと思ってたのにな。」
逃げ出すと思われていたとは心外ですわ。まぁ見ていなさいよ……私が王太子妃になるんだからね。

両陛下や王太子様、宰相がやって来て話しを始めました。
「リリス嬢も王太子妃教育を受けるための留学生活も終えて帰国したし、近く王太子妃教育を開始しようと思う。」

ざわついたけど、宰相の一言で静かになりました。
「それでだな、王太子妃教育をアリス嬢にもしてもらおうと思ってる。」

「アリス様、私も王太子妃になりたいのでいろいろ教えてください。一緒に王太子様を支えましょうね。」
「そうだな、アリスもこれまで王太子妃教育を受けてきたんだし、無駄にならずに済むから良かったじゃないか。」

そうだよね……アリス様も王太子妃教育を頑張ってきたんだしね。
「あーははははは。」
「何がそんなにおかしいんだ?」

「はぁ……つくづく王太子様やリリス様には呆れましたわ。そんなに私を馬鹿にしたいのですか?リリス様は王太子妃教育をするのは構いませんが、どうして私が教えないといけないのでしょうか?我が国は一夫一妻でしょうに、リリス様が王太子妃になればよろしいじゃありませんか。」

アリス様は王太子妃になりたくないのかしら?

「そうだが、アリス嬢は王太子妃教育を終了してるし、国家機密を知ってるから王太子妃になるしかないのだ。」

「リリス様は王太子妃教育をうけて、王太子妃になる覚悟はありますか?」

「もちろんあります。」

「なら、私が消えれば問題ありませんね、リリス様も覚悟して王太子妃教育頑張ってくださいね。何があっても頑張ってくださいね。」

そう言ってからアリス様は胸元から小瓶を取り出し、何かを飲み干していました。
「……ごふっ……私は…いなく……なります……っ……。」

え?なんなの?アリス様は何を飲んだの?毒?

「いやああぁぁぁぁぁぁ……。」
「アリス姉っ……どうして……。」
エラン様とアリスのお母様が駆け寄り、息を引き取ったアリス様を抱きしめてました。
「どうしてアリス姉が死ななければならないんだ!!リリス嬢が王太子妃になりたいとか言わなければ良かったんだ!!」
「アリス姉を犠牲にしたんだからちゃんと王太子妃になれよ!!」

「こんなこと望んでないのに……どうして……。」
「これから、リリス嬢やら王太子妃になって苦労しても、我が家は支援しないし、王家にはつかないからな!!アリス姉も連れて帰りたいし葬儀があるからもう失礼させてもらう。」

大広間は静まり返り、呆然状態です。
「あー、今日はこれで解散とする。また追って知らせる。」

こんなこと望んでないのに……どうして……アリス様が亡くなるなんて……こんなはずじゃなかったのに……。
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