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僕のために

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再び司が目を開けると、そこには司を覗き込む恵の顔があった。

「ウワッ…!」
驚くほどに綺麗な顔が、自分の顔を見つめていたため、司は恥ずかしさで狼狽する。

「司…。よかった…。」

「ここは…?」

「ここはノルンの本部。安心して…。」

「イブッ…。レビ、デン爺…。それとルナは…!?」

「大丈夫。みんな無事よ。」

「司さん、お目覚め?」
ルナの声に、ガバッと司は上体を起こす。

司はその声に、あの出来事を思い出す。



夢?

「どうしたの司?」
急に飛び起きた司に、恵が心配そうに聞く。

「いや…。別に…。」
ふと、ルナの方を確認するが、特段変わった様子はない。

「目が覚めたって!」
会話が聞こえたのか、部屋が監視されていたのか、レビがすっとんできた。

「3日以上は寝込んでたぞ!まあ、おれも1日中寝込んだけどな!」
レビはそう言って太陽のように笑った。

「司!飯食ったら、少し様子見て、リハビリかねて俺と特訓やろうぜ!」

司は少し考えた。
ボールの少年とイブを助けた時の無意識の行動。

決して誰かのために、動いたんじゃない。

見捨てて生き残る自分に耐えられないのだろう。

あくまで、ボールの少年も、イブも救ったんだ。

この力で、少しでもみんなのためになりたい。それは結局、そうしたい。

「やります。」
司が決意を固めて返事をする。

「オッケー!」
レビが司の決意の言葉に軽いノリで答えた。
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