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プロローグ
10話 きたいはずれ
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「ありがとうございました。」
「ありがとうございました!また来てくださいね!!」
「はーいっ、またね海老名ちゃん!智登くん!」
「ばいばいえびなっち~!!」
長居をして話をし終えた三人。
二人は店を後にした。
「会わないと思ってたいとこ二人が会うの、なんだか面白かった。」
「むーっ、智登くんもお姉ちゃんに教えてくれれば良かったのに。同い年にいとこがいるって。」
「だって姉ちゃん達違う学校だし。」
「そりゃぁ…そうですけど…」
智登としては、知ってる者同士ではあるものの、その二人が知らない者同士だったので、
面白く見ていたらしい。全く表情に出なかったが。
海老名に勇樹を教えなかった智登。学校が違うからという理由だ。
確かに、この小さい国の小さい地区の中、海老名と勇樹は一度も同じ学校に通っていない。
だからこそ、紹介してもなぁ、という事でずっと黙っていたそうだ。
気を取り直して、ガラガラの店内を片付け始めた二人。
朝や昼は人が多いが、夕方はあまり来ない。
それが分かっている二人はカウンターに突っ伏していると…
「まだやってたりするー?」
一人の客が来た。
「いらっしゃいませ、やってますよ。」
すぐに姿勢を戻した智登は、何事もなく接客に入った。
「…あ、ここパン屋か。何買お。」
店の内容を確認せず入ってきた素振りを見せて、
並ぶパンをじっくり眺めている。
すると、店の扉がまた開いた。
「いらっしゃいませ。…海老名姉ちゃん、カウンターお願い。」
「あぁ、はいはい!」
お客さんがまた入ってきたので、智登が接客にまわり、
カウンターを海老名に任せた。
しばらくして、最初に入ってきた客がカウンターに来た。
「これお願い。」
「はいっ!ありがとうございま……す…」
商品を見て元気よくお礼を言う海老名だったが、
客の顔を見て少し止まった。
「…?」
客は不思議そうに首をかしげた。
レジに商品名を打ち込んで、値段を出した所で海老名がこう言った。
「もしかして…挙流…?」
海老名の直感ではあるが、挙流だと気付いたのだ。
聞いてみた海老名。
「すごいな、俺の名前分かるんだ。」
が、挙流の反応はある意味予想の遥か斜めをいっていた。
「……扶蓮 海老名って覚えてますか?」
「海老名か、懐かしいな。髪ボッサボサの。」
「う¨っ……」
一応覚えているか聞いたところ、
なんと挙流は覚えていた。髪を。
今は短いハーフアップで綺麗な髪をしている海老名だが、
昔は手入れもうまくできずボサボサの髪が特徴だった。
海老名にとっては黒歴史なため、ダメージを受けた。
「あのですね…その人…私なんですが…」
「へぇー、成長したね。以前より全然可愛いわ。」
「そっ…!?そうですか…!?」
先ほど同様に予想を越える反応を見せる挙流。
昔の海老名しか頭に無い挙流が、目の前の成長した海老名を見て、
大きく驚きもせず、ただただ可愛いと言った。
その瞬間、海老名の顔が少し赤くなった。
「じゃどもー」
「えっ!?あ…うん、ありがとうございました……」
が、挙流は全く気にもせずカウンターから去っていった…
「ありがとうございました!また来てくださいね!!」
「はーいっ、またね海老名ちゃん!智登くん!」
「ばいばいえびなっち~!!」
長居をして話をし終えた三人。
二人は店を後にした。
「会わないと思ってたいとこ二人が会うの、なんだか面白かった。」
「むーっ、智登くんもお姉ちゃんに教えてくれれば良かったのに。同い年にいとこがいるって。」
「だって姉ちゃん達違う学校だし。」
「そりゃぁ…そうですけど…」
智登としては、知ってる者同士ではあるものの、その二人が知らない者同士だったので、
面白く見ていたらしい。全く表情に出なかったが。
海老名に勇樹を教えなかった智登。学校が違うからという理由だ。
確かに、この小さい国の小さい地区の中、海老名と勇樹は一度も同じ学校に通っていない。
だからこそ、紹介してもなぁ、という事でずっと黙っていたそうだ。
気を取り直して、ガラガラの店内を片付け始めた二人。
朝や昼は人が多いが、夕方はあまり来ない。
それが分かっている二人はカウンターに突っ伏していると…
「まだやってたりするー?」
一人の客が来た。
「いらっしゃいませ、やってますよ。」
すぐに姿勢を戻した智登は、何事もなく接客に入った。
「…あ、ここパン屋か。何買お。」
店の内容を確認せず入ってきた素振りを見せて、
並ぶパンをじっくり眺めている。
すると、店の扉がまた開いた。
「いらっしゃいませ。…海老名姉ちゃん、カウンターお願い。」
「あぁ、はいはい!」
お客さんがまた入ってきたので、智登が接客にまわり、
カウンターを海老名に任せた。
しばらくして、最初に入ってきた客がカウンターに来た。
「これお願い。」
「はいっ!ありがとうございま……す…」
商品を見て元気よくお礼を言う海老名だったが、
客の顔を見て少し止まった。
「…?」
客は不思議そうに首をかしげた。
レジに商品名を打ち込んで、値段を出した所で海老名がこう言った。
「もしかして…挙流…?」
海老名の直感ではあるが、挙流だと気付いたのだ。
聞いてみた海老名。
「すごいな、俺の名前分かるんだ。」
が、挙流の反応はある意味予想の遥か斜めをいっていた。
「……扶蓮 海老名って覚えてますか?」
「海老名か、懐かしいな。髪ボッサボサの。」
「う¨っ……」
一応覚えているか聞いたところ、
なんと挙流は覚えていた。髪を。
今は短いハーフアップで綺麗な髪をしている海老名だが、
昔は手入れもうまくできずボサボサの髪が特徴だった。
海老名にとっては黒歴史なため、ダメージを受けた。
「あのですね…その人…私なんですが…」
「へぇー、成長したね。以前より全然可愛いわ。」
「そっ…!?そうですか…!?」
先ほど同様に予想を越える反応を見せる挙流。
昔の海老名しか頭に無い挙流が、目の前の成長した海老名を見て、
大きく驚きもせず、ただただ可愛いと言った。
その瞬間、海老名の顔が少し赤くなった。
「じゃどもー」
「えっ!?あ…うん、ありがとうございました……」
が、挙流は全く気にもせずカウンターから去っていった…
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