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1章 合同球技大会
13話 異常速球
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ある日のパン屋…
今日はお客さんもあまりおらず、落ち着いている。
「そういえば…」
カウンターテーブルに体を乗せる智登は、あることを思い出した。
「もうすぐ球技大会か…」
気を落としたように見える智登。
もうすぐ球技大会。
林檎台学園と梨山高等学校の合同大会である。
ちなみに、梨山高等学校は、菜羅や模子が通う学校だ。
「ご主人様、球技の競技は苦手なんですか?」
落ち込む様子を見た流卵は聞いてみる。
「どんだけ下手と思ってんだー…」
「大丈夫ですって…!」
よほど苦手なのか、顔をふせてしまった智登。
「秋花様はどうなんですか?」
「球技大会の事?…バレーなら得意よ。」
秋花は中学の頃はバレー部に入っていて、無理難題なボールをも拾う最強守備だったらしい。
「じゃぁ流卵は?」
「私ですか…?」
秋花は流卵に話をふった。
「私はバスケですかねー」
「へぇ…!意外ね。」
流卵は、部活には入っていないものの、中学の体育で行われたバスケの授業で驚きの才能を発揮した。
小さい体から放たれる、高いジャンプシュートは、ほぼ全て入った。
特技がバスケ、これには秋花も驚いた。
しかし、困ったことがある。
「でも…バスケは入っていないんですよねー…」
「あー…そうね。残念。」
球技体育の競技は、
男子 ベースボール 卓球 ドッジボール。
女子 バレー バドミントン ドッジボール。
である。
秋花はもうバレーのメンバーに入っているが、流卵はまだ決まっていない。
「どれも苦手なんですよねー」
全部苦手な流卵はまだ決めていなかった。
「じゃぁバレー来る?歓迎するわ。」
「本当ですか!挑戦したいです!」
秋花に誘われて、流卵もバレーをすることになった。
「…で?扶蓮はどうすんの?」
「…今ベースボール。」
智登は適当に話を流していたらいつのまにかベースボールになっていた。
しかし、ベースボールは苦手らしい。
「はぁ…もう店が閉まるから、ちょっと練習しましょ、二人共。」
そういって秋花は自分の荷物がある部屋へ戻っていった。
「まだ1年だし…別にいいんじゃのーて…」
全く乗り気では無い智登だが、仕方なくすることにした。
「ベースボールね…一回ボール投げてみて。」
「あー」
秋花は智登にボールを渡した。
軽いおもちゃのボールだが。
「いくぞー」
智登は秋花に向かってボールを投げる。
ビュンッ…
「っ…!?」
ボールは姿を消し、風を切るように秋花の横を通った。
「ぎゃぁぁっ!?」
そのボールは勢い良く流卵に当たった。
智登は何食わぬ顔でガッツポーズを決めた。
「何でガッツポーズ…?」
「人に当たったら嬉しいじゃん。」
「ただのデッドボールじゃないの…」
智登に呆れる秋花、
二人は何かを忘れそうになった。
「こっひはひっとも嬉しくにゃいでしゅよーっ!」
当たった部分を押さえる流卵が大声を出した。
良く見る半泣きの顔だった。
「じゃ、やってみ、嬉しいよ。」
余裕そうな智登は煽りをいれた。
「ふふふ…私も出来ますよ…?」
それに対し乗り気の流卵。
流卵は勢い良くボールを投げた。
智登と同じように消え、風を切るボールはまた秋花の隣を走った。
バス…ッ!
「だが、残念。」
智登はグローブも何もしていない手で速球の流卵のボールを止めた。
「なかなかやりますねご主人様…!」
悔しそうな顔を浮かべる流卵。
「ははは…」
「ふふふ…」
「何なのこれ?」
二人からなぞの威圧を感じ、奇妙に思う秋花であった…
その後、バットを使ってみたが…
「何で早いボールは取れるのにバットに当たらないのよ…」
「知らん。」
智登に向かうボールはちっともバットに当たらなかった。
「はぁ…扶蓮、明日頼んでドッジボールに代えなさい。」
「あっハイ。」
今日はお客さんもあまりおらず、落ち着いている。
「そういえば…」
カウンターテーブルに体を乗せる智登は、あることを思い出した。
「もうすぐ球技大会か…」
気を落としたように見える智登。
もうすぐ球技大会。
林檎台学園と梨山高等学校の合同大会である。
ちなみに、梨山高等学校は、菜羅や模子が通う学校だ。
「ご主人様、球技の競技は苦手なんですか?」
落ち込む様子を見た流卵は聞いてみる。
「どんだけ下手と思ってんだー…」
「大丈夫ですって…!」
よほど苦手なのか、顔をふせてしまった智登。
「秋花様はどうなんですか?」
「球技大会の事?…バレーなら得意よ。」
秋花は中学の頃はバレー部に入っていて、無理難題なボールをも拾う最強守備だったらしい。
「じゃぁ流卵は?」
「私ですか…?」
秋花は流卵に話をふった。
「私はバスケですかねー」
「へぇ…!意外ね。」
流卵は、部活には入っていないものの、中学の体育で行われたバスケの授業で驚きの才能を発揮した。
小さい体から放たれる、高いジャンプシュートは、ほぼ全て入った。
特技がバスケ、これには秋花も驚いた。
しかし、困ったことがある。
「でも…バスケは入っていないんですよねー…」
「あー…そうね。残念。」
球技体育の競技は、
男子 ベースボール 卓球 ドッジボール。
女子 バレー バドミントン ドッジボール。
である。
秋花はもうバレーのメンバーに入っているが、流卵はまだ決まっていない。
「どれも苦手なんですよねー」
全部苦手な流卵はまだ決めていなかった。
「じゃぁバレー来る?歓迎するわ。」
「本当ですか!挑戦したいです!」
秋花に誘われて、流卵もバレーをすることになった。
「…で?扶蓮はどうすんの?」
「…今ベースボール。」
智登は適当に話を流していたらいつのまにかベースボールになっていた。
しかし、ベースボールは苦手らしい。
「はぁ…もう店が閉まるから、ちょっと練習しましょ、二人共。」
そういって秋花は自分の荷物がある部屋へ戻っていった。
「まだ1年だし…別にいいんじゃのーて…」
全く乗り気では無い智登だが、仕方なくすることにした。
「ベースボールね…一回ボール投げてみて。」
「あー」
秋花は智登にボールを渡した。
軽いおもちゃのボールだが。
「いくぞー」
智登は秋花に向かってボールを投げる。
ビュンッ…
「っ…!?」
ボールは姿を消し、風を切るように秋花の横を通った。
「ぎゃぁぁっ!?」
そのボールは勢い良く流卵に当たった。
智登は何食わぬ顔でガッツポーズを決めた。
「何でガッツポーズ…?」
「人に当たったら嬉しいじゃん。」
「ただのデッドボールじゃないの…」
智登に呆れる秋花、
二人は何かを忘れそうになった。
「こっひはひっとも嬉しくにゃいでしゅよーっ!」
当たった部分を押さえる流卵が大声を出した。
良く見る半泣きの顔だった。
「じゃ、やってみ、嬉しいよ。」
余裕そうな智登は煽りをいれた。
「ふふふ…私も出来ますよ…?」
それに対し乗り気の流卵。
流卵は勢い良くボールを投げた。
智登と同じように消え、風を切るボールはまた秋花の隣を走った。
バス…ッ!
「だが、残念。」
智登はグローブも何もしていない手で速球の流卵のボールを止めた。
「なかなかやりますねご主人様…!」
悔しそうな顔を浮かべる流卵。
「ははは…」
「ふふふ…」
「何なのこれ?」
二人からなぞの威圧を感じ、奇妙に思う秋花であった…
その後、バットを使ってみたが…
「何で早いボールは取れるのにバットに当たらないのよ…」
「知らん。」
智登に向かうボールはちっともバットに当たらなかった。
「はぁ…扶蓮、明日頼んでドッジボールに代えなさい。」
「あっハイ。」
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