32 / 52
4章
07 不意打ちの抱擁
しおりを挟む
6
「おはようございまーす」
ここ数日顔を出さなかった美喜が来店する。
「いらっしゃいませ~。あら、美喜ちゃんじゃない。久しぶりね」
食器を片した直後で、優美はお盆片手に美喜のもとへ赴く。
「前に言ってたネット友達とすっかり仲良くなっちゃてね。毎日遊んでたんだ」
毎日遊んでいたと言うわりには、疲労を感じさせない顔色と口調の美喜。
「そうなの。いい娘(こ)でよかったわね」
「だから」
「だから?」
美喜は口元を緩ませ、もったいつけて小さく笑っている。何も知るよしもない優美は、頭に疑問符を浮かべることしかできない。
「今日はいっしょに来たんだ」
「あら、うれしいわね」
そうは言ったものの、得体の知れない寒気が優美を襲った。
――おい、なんだか嫌な予感がする。今すぐ離れたほうがいい。
(私もそう思ってた……)
「外は寒いし、待たせるのもかわいそうだから呼ぶね?」
「うん。あ、私、飲み物とお手拭の準備をするね」
やや早足で立ち去る優美。美喜は少し疑問に思いながらも、ドアを開けて外で待っている友達を呼んだ。
「入ってきなよ」
「うん!」
「……」
カウンター席で飲み物とお手拭きの用意を終えた優美は、出入り口を黙って見守ることしかできなかった。
この場から逃げ出したいと思っても足がガクガク震え、もう思うように動けないのだ。
その一方で……。
「ねえねえ萌ちゃん、どんな人だろうねっ?」
成実は純粋にどんな人物が現れるのか楽しみで、期待に胸を膨らませている。
「想像はつかないですわね……でも、大丈夫だと思いますわ」
萌は美喜が連れてくる人物なら大丈夫だろうと、物腰柔らかく見守っている。
「……」
郷子は普段どおり、厨房の陰から射抜くような視線を出入り口に送っている。
「はい、どうぞ」
美喜はレジカウンターの近くで、ドアが閉まらないよう押さえて待っている。
「ありがとう」
女が美喜によって開けっ放しだったドアの近くから現れ、店内に入っていく。
豪篤にとって見慣れた白く、鼻筋の通った顔。かわいいというより、美人の顔立ちの――元恋人――杉江(すぎえ)渚(なぎさ)である。
――最悪だ。
「初めまして、杉江渚と言います」
一礼した渚が店内を見回す。
そして、優美と目が合った瞬間、渚の双眸(そうぼう)が限界まで見開かれた。
――おいおい、目が合っちまったぞ!
(わかってるわよっ。体が動かないの!)
――バレたら相当まずいことになる!
(それもわかってる! けど……あっ、来たわ)
渚があっという間に近づき、優美の視界は渚の姿しか捉えられなくなる。
依然として眉ひとつ動かさない渚は、顔を上げて優美を見つめている。
(こ、怖い……)
――何を考えてるんだ……?
正面を向いて固まっていた優美だったが、視線の暴力に耐え切れず、顔を下に向ける。
渚とばっちり目が合う。
――こんなに近くで見たのは、フラれた日以来だな……。
(しみじみしてないで、何か対応策を考えなさいよっ!)
不意に渚の口の両端が上がる。なんらかの表情が顔に表れるのかと思われたが、
「大好きっ!」
と言い放つと、抱きついた。それと同時に、優美が持っていたお盆が床に落ちた。
(痛い痛い痛いっ、何このバカ力っ?)
――運動系のサークルに入らない代わりに、体を鍛えているらしい。
(なんで鍛える必要があるのよっ!)
――暴漢対策だとさ。
(はあっ?)
両肩をつかまれ、力強く引き離される優美。
(つ、次はなんなのよ?)
おそるおそる視線を合わせると、渚は子どものように目を光らせ、頬を赤く染めていた。
(これってどういうこと……?)
――……考えたくないようなことを言われそうだな。
(え?)
――そして、考えたくもない事実かもしれん。
「優美さんっ」
優美の体が驚き跳ねる。
「は、はいっ?」
「あたし、優美さんを見てひと目惚れしてしまったの! 付き合うなんておこがましいことは言わないから、友達になってくれませんか!?」
(えええええ!? どどどど、どうしよう!?)
――「はい」って言うしかないだろ。この肩をつかんでる握力は、並の女じゃない。「嫌です」なんか言ってみろ。まずは、足元をすくわれてマウントポジションに持ってかれる。それから顔面にヘッドバットの応酬を喰らうかもしれん。
(そ、それは嫌ね。わかった!)
「嫌ですか?」
渚の目が捨てられた子犬のようなものになっていく。しかし、肩に込められる力はどんどん増していく。
――そんな見せたことない顔すんなよ、かわいいな。んでもって、そんな力込めんなよ、肩が砕けるだろ。
(代弁してないで何か打開策を考えなさいよ!)
――いやあ、思いつかんな。
(この役立たず!)
優美はあわてて取り繕った。
「いやいや、そんなことないわよ! こっちも渚さんみたいな美人な人と友達になれてうれしいわ!」
「やった! ありがとうございます! やっぱり、男なんかより、女性同士ですよね~」
女装した男なのだが、渚と美喜は知るよしもない。
「う、うん……そうよね」
――確定か。まあ、女受けしそうな格好をしてたが、まさか……。
(これ以上言わないで)
――すまん。にしても、なんで俺なんかと付き合ったんだろうか……?
(知らないわよっ!)
「元気ないい娘(こ)が来てくれてうれしいよー! ほら、渚ちゃんも美喜ちゃんも座って座って」
「あらあら、今の娘(こ)は積極的ねぇ」
成実と萌は、渚のことを好意的に捉えている様子だった。
「よかったね、渚」
「うん! 美喜さんのおかげだよ。ありがとう!」
「わたしのほうこそありがとう。いやあ、美少女同士の熱い抱擁が存分に撮れたからね」
渚は優美を解放し、渚と並んでカウンター前の席に腰を下ろす。
――美喜さんめ、いつの間に……はあーあ、これからどうなるんだか。
(本当、そうよね……あ、郷子さんが呼んでる)
優美は床に落ちたお盆を拾い、初来店記念のチョコレートパフェを厨房へ取りに行く。
すでに作業台の上には、できあがったチョコレートパフェが置いてあった。
「じゃ、持っていきますね」
「まあ、待て」
壁に寄りかかっていた郷子は、作業台をはさんで優美の対面に立つ。
「さっき抱きついてきた女が豪篤の元彼女か?」
「えっ?」
お盆に載せたチョコレートパフェを落としそうになるが、すんでのところで防いだ。
「どうしてそれを?」
「なんとなくだ」
郷子はこともなげに言う。
「それよりも、美喜は自制の利く人物だ。だけど、あいつ――渚は違う。あいつの目は狂信的なものを感じ取った」
思わず生唾を飲み込み、びくびくしながらおどけた調子で言ってみた。
「冗談はやめてくださいよ」
「残念。冗談では、ないな」
郷子がにべもなく断言し、優美の表情が凍りつく。
「何より、近くで見てたおまえがわかってるはずだ」
「は、はい……」
「なんらかの対策を講じないと、後々大変なことになるぞ」
キッとした目で優美をにらみ、郷子は警鐘を鳴らす。
「わ、わかりました……」
その夜。
自室に入った豪篤は照明を点け、座イスに腰かけた。ふう、と息を吐いて伸びをしていると、
――ど、どうしよう!
(なんだよいきなり)
――昼間の渚ちゃんのことよっ。私にベタベタじゃない! めちゃくちゃ話しかけられるし、仕事にならないじゃない!
(うれしくないのか)
――そりゃ、うれしくないと言えばうそになるわ。美人に好かれて悪い気はしないもの。けど、ものには限度があるの。バレる心配だってあるし……そうだ、何か対策とか考えてないの?
(それについてだけど、数日間は様子を見る。それから――)
豪篤は至って冷静に、渚の今後についての対応を語り始めた。
――うまくいくかしら……。
(さあな。やってみなきゃわからんさ)
またひとつ、不安の種が増えた豪篤と優美なのだった。
「おはようございまーす」
ここ数日顔を出さなかった美喜が来店する。
「いらっしゃいませ~。あら、美喜ちゃんじゃない。久しぶりね」
食器を片した直後で、優美はお盆片手に美喜のもとへ赴く。
「前に言ってたネット友達とすっかり仲良くなっちゃてね。毎日遊んでたんだ」
毎日遊んでいたと言うわりには、疲労を感じさせない顔色と口調の美喜。
「そうなの。いい娘(こ)でよかったわね」
「だから」
「だから?」
美喜は口元を緩ませ、もったいつけて小さく笑っている。何も知るよしもない優美は、頭に疑問符を浮かべることしかできない。
「今日はいっしょに来たんだ」
「あら、うれしいわね」
そうは言ったものの、得体の知れない寒気が優美を襲った。
――おい、なんだか嫌な予感がする。今すぐ離れたほうがいい。
(私もそう思ってた……)
「外は寒いし、待たせるのもかわいそうだから呼ぶね?」
「うん。あ、私、飲み物とお手拭の準備をするね」
やや早足で立ち去る優美。美喜は少し疑問に思いながらも、ドアを開けて外で待っている友達を呼んだ。
「入ってきなよ」
「うん!」
「……」
カウンター席で飲み物とお手拭きの用意を終えた優美は、出入り口を黙って見守ることしかできなかった。
この場から逃げ出したいと思っても足がガクガク震え、もう思うように動けないのだ。
その一方で……。
「ねえねえ萌ちゃん、どんな人だろうねっ?」
成実は純粋にどんな人物が現れるのか楽しみで、期待に胸を膨らませている。
「想像はつかないですわね……でも、大丈夫だと思いますわ」
萌は美喜が連れてくる人物なら大丈夫だろうと、物腰柔らかく見守っている。
「……」
郷子は普段どおり、厨房の陰から射抜くような視線を出入り口に送っている。
「はい、どうぞ」
美喜はレジカウンターの近くで、ドアが閉まらないよう押さえて待っている。
「ありがとう」
女が美喜によって開けっ放しだったドアの近くから現れ、店内に入っていく。
豪篤にとって見慣れた白く、鼻筋の通った顔。かわいいというより、美人の顔立ちの――元恋人――杉江(すぎえ)渚(なぎさ)である。
――最悪だ。
「初めまして、杉江渚と言います」
一礼した渚が店内を見回す。
そして、優美と目が合った瞬間、渚の双眸(そうぼう)が限界まで見開かれた。
――おいおい、目が合っちまったぞ!
(わかってるわよっ。体が動かないの!)
――バレたら相当まずいことになる!
(それもわかってる! けど……あっ、来たわ)
渚があっという間に近づき、優美の視界は渚の姿しか捉えられなくなる。
依然として眉ひとつ動かさない渚は、顔を上げて優美を見つめている。
(こ、怖い……)
――何を考えてるんだ……?
正面を向いて固まっていた優美だったが、視線の暴力に耐え切れず、顔を下に向ける。
渚とばっちり目が合う。
――こんなに近くで見たのは、フラれた日以来だな……。
(しみじみしてないで、何か対応策を考えなさいよっ!)
不意に渚の口の両端が上がる。なんらかの表情が顔に表れるのかと思われたが、
「大好きっ!」
と言い放つと、抱きついた。それと同時に、優美が持っていたお盆が床に落ちた。
(痛い痛い痛いっ、何このバカ力っ?)
――運動系のサークルに入らない代わりに、体を鍛えているらしい。
(なんで鍛える必要があるのよっ!)
――暴漢対策だとさ。
(はあっ?)
両肩をつかまれ、力強く引き離される優美。
(つ、次はなんなのよ?)
おそるおそる視線を合わせると、渚は子どものように目を光らせ、頬を赤く染めていた。
(これってどういうこと……?)
――……考えたくないようなことを言われそうだな。
(え?)
――そして、考えたくもない事実かもしれん。
「優美さんっ」
優美の体が驚き跳ねる。
「は、はいっ?」
「あたし、優美さんを見てひと目惚れしてしまったの! 付き合うなんておこがましいことは言わないから、友達になってくれませんか!?」
(えええええ!? どどどど、どうしよう!?)
――「はい」って言うしかないだろ。この肩をつかんでる握力は、並の女じゃない。「嫌です」なんか言ってみろ。まずは、足元をすくわれてマウントポジションに持ってかれる。それから顔面にヘッドバットの応酬を喰らうかもしれん。
(そ、それは嫌ね。わかった!)
「嫌ですか?」
渚の目が捨てられた子犬のようなものになっていく。しかし、肩に込められる力はどんどん増していく。
――そんな見せたことない顔すんなよ、かわいいな。んでもって、そんな力込めんなよ、肩が砕けるだろ。
(代弁してないで何か打開策を考えなさいよ!)
――いやあ、思いつかんな。
(この役立たず!)
優美はあわてて取り繕った。
「いやいや、そんなことないわよ! こっちも渚さんみたいな美人な人と友達になれてうれしいわ!」
「やった! ありがとうございます! やっぱり、男なんかより、女性同士ですよね~」
女装した男なのだが、渚と美喜は知るよしもない。
「う、うん……そうよね」
――確定か。まあ、女受けしそうな格好をしてたが、まさか……。
(これ以上言わないで)
――すまん。にしても、なんで俺なんかと付き合ったんだろうか……?
(知らないわよっ!)
「元気ないい娘(こ)が来てくれてうれしいよー! ほら、渚ちゃんも美喜ちゃんも座って座って」
「あらあら、今の娘(こ)は積極的ねぇ」
成実と萌は、渚のことを好意的に捉えている様子だった。
「よかったね、渚」
「うん! 美喜さんのおかげだよ。ありがとう!」
「わたしのほうこそありがとう。いやあ、美少女同士の熱い抱擁が存分に撮れたからね」
渚は優美を解放し、渚と並んでカウンター前の席に腰を下ろす。
――美喜さんめ、いつの間に……はあーあ、これからどうなるんだか。
(本当、そうよね……あ、郷子さんが呼んでる)
優美は床に落ちたお盆を拾い、初来店記念のチョコレートパフェを厨房へ取りに行く。
すでに作業台の上には、できあがったチョコレートパフェが置いてあった。
「じゃ、持っていきますね」
「まあ、待て」
壁に寄りかかっていた郷子は、作業台をはさんで優美の対面に立つ。
「さっき抱きついてきた女が豪篤の元彼女か?」
「えっ?」
お盆に載せたチョコレートパフェを落としそうになるが、すんでのところで防いだ。
「どうしてそれを?」
「なんとなくだ」
郷子はこともなげに言う。
「それよりも、美喜は自制の利く人物だ。だけど、あいつ――渚は違う。あいつの目は狂信的なものを感じ取った」
思わず生唾を飲み込み、びくびくしながらおどけた調子で言ってみた。
「冗談はやめてくださいよ」
「残念。冗談では、ないな」
郷子がにべもなく断言し、優美の表情が凍りつく。
「何より、近くで見てたおまえがわかってるはずだ」
「は、はい……」
「なんらかの対策を講じないと、後々大変なことになるぞ」
キッとした目で優美をにらみ、郷子は警鐘を鳴らす。
「わ、わかりました……」
その夜。
自室に入った豪篤は照明を点け、座イスに腰かけた。ふう、と息を吐いて伸びをしていると、
――ど、どうしよう!
(なんだよいきなり)
――昼間の渚ちゃんのことよっ。私にベタベタじゃない! めちゃくちゃ話しかけられるし、仕事にならないじゃない!
(うれしくないのか)
――そりゃ、うれしくないと言えばうそになるわ。美人に好かれて悪い気はしないもの。けど、ものには限度があるの。バレる心配だってあるし……そうだ、何か対策とか考えてないの?
(それについてだけど、数日間は様子を見る。それから――)
豪篤は至って冷静に、渚の今後についての対応を語り始めた。
――うまくいくかしら……。
(さあな。やってみなきゃわからんさ)
またひとつ、不安の種が増えた豪篤と優美なのだった。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる