奇跡~君と紡ぐストーリー~

haru

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迫る病魔

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練習が終わり、彩と優実といつものように帰っていた。
部活が終わる時間が一緒なのはラッキーだった。
「やっぱり夢野は総体出るんだ。頑張って。」
彩はときどき優しい。
「私はさすがに無理だったけど来年頑張るの!」
優実は前向きでそういうところはいいところだと夢野も彩も思っている。


「え?」
そう呟き夢野は立ち止まった。
「夢野?」「どしたの?」

「ううん!なんでもない。」
夢野は自分の体に異変が起きていることに気づき始めていた。
「ねぇ、」
前を歩いていた優実と彩が同時に向き直る。
「なに?」
「いや、なんでもない。」

確かじゃない。大丈夫。と夢野は心に言い聞かせた。

だが、
その後毎日のように心臓が大きく波打つことがあるようになった。
まさかと思い夢野は母子手帳、保険証、家にあるすべての自分に関する情報を探った。
なぜかその全てが隠すように置かれていたのは謎である。


そこで、知りたくなかった事実を知るのであった。


6月。
いよいよ総体が近づき、まさにこの季節は運動部にとって追い詰め時。夢野も荒れ狂うように泳ぎ続けていた。

「夢野ー!ファイト!あと少し!」
というマネージャーの声と同時に私はゴールした。
「またタイム更新だよ!すごい!」

「よ、かった、、は、は、、」
なぜだろうか。いつもより息が乱れる。
水から上がるのにも苦労した。

その時
夢野の心臓が大きく波打った。
自分の息と心音しか聞こえない。目の前もぐにゃぐにゃと傾いている。

夢野は、倒れた。

総体は、一週間後。







気がついたら夢野は病院にいた。腕には大量の機械が繋がれている。
「え、?」
まだ焦点の合わない目を必死に開けて状況を認識しようとする。どこからか音が聞こえる。
「夢野?気がついたのね?」
そこには母の姿があった。どうやら倒れて運ばれたようだ。
病院の先生が現れる。
「私は桜井といいます。立川さん、今回倒れたのは疲労と貧血です。無理のしすぎは身体によくありません。」

ただの疲労と貧血?
じゃあこの数日間の動悸はなんだったのか。
これだけなどありえるはずがなかった。

「あの、先生。」
「なんでしょう?」
「いえ、、」
夢野は少し怖くなって言えなかった。
自分が知らなかったと言うことは母はこの事を隠していたと言うこと。言いたくかったのかもしれない。もしこの事を知っていると言うことが母に知られれば哀しませてしまうかもしれない。

「明日には退院できますから。」
桜井先生はそういうが本当に退院してもいいのだろうか。

だが総体が控えている。自分のためにも頑張らないといけない。


次の日退院した夢野は総体に向け練習に励むのであった。

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