23 / 24
22.精霊の本気
しおりを挟む*22.精霊の本気
「貴方がこの国を亡ぼす魔の物の手下ね!! アタシ、知ってるんだから!!」
シシェルにいつものごとく着飾られ、否、いつもの倍近い情熱というか執念を感じられた。
貴族が着るキラキラの礼服に袖や襟はヒラヒラしたフリルがあしらわれていて、装飾の宝石はシシェルの瞳の色と同じだ。金色は王家の色だから、躊躇いはあったけど満足そうに頷くシシェルに文句なんて言える筈もなく大人しく着付けられた。
それが失敗だと気づいたのは、馬車が王城に着いてからだ。
僕、今、金色の宝石を付けてるんだけど、それで城に行って大丈夫なの?!
そりゃ、シシェルにはプロポーズをされたけど僕の格好はマナー的にどうなの?
シシェルが居たならすぐにでも尋ねられたのに、彼は一足先に馬車で出て行ってしまった。僕は騎士たちに連れられ城にやってきた。騎士たちはニコニコしているが、その笑顔が逆に怖くて僕は終始下を見つめていた。
建物の中を歩くこと二十分程だろうか。奥へ奥へと連れられ、前世の記憶が繋がり始める。
この先は、所見の間があり、陛下がおわす場所である。
ぐ、と息が詰まる。ああ、ダメだ。この先はダメだ。
逃げようと思ったけど、両脇を固められているので上手く動けない。
「貴方に逃げられてしまうと、私たちも無事では済まされない。お判りですよね?」
ニコニコとしている騎士の一人がそう告げる。
きっとその言葉はシシェル直伝なのだろう。一気に大人しくなる僕に騎士たちは更に笑みを深め、所見の間へと僕を案内する。
両開きの大きな扉の前に居た近衛兵が扉を開けてくれた。
騎士たちが足を進めるから僕も中に仕方なく入ったのだけど、目の前には僕と同じように四方を騎士に囲まれた魔術師団長が居て、親近感がわいてしまった。僕だけじゃないって安心だね。
ホッと一息ついた僕を見て、その場に居た騎士たちが可哀そうな生暖かい目線を呉れていたことに僕は気づかなかった。
玉座に陛下と王妃が居て、脇には立太子。早々たるメンバーにキョドった視線があちこち浮遊して、見知った人物を見つけた。
ルウォンとシシェル、そしてその間に救世主の少女だ。
あまりの恐怖に身体が戦慄く。知っているんだ、あの光景を前世の僕は見た。婚約者であったシシェルが僕を突き放し、彼女の手を取った。
ああ、一緒だ。あの時と一緒。
ザワリと僕の魔力が揺れる。
僕を心配してついてきた精霊も僕の“記憶”に連動して震えている。
あの少女がなにかを言っているけど、僕には聞こえない。
シシェルも何事か言っているようだけど、僕には必要がない。
また、だ。
信じてしまった僕が悪いのだけど、まさかここで大どんでん返しが始まるなんて思ってもいなかった。
嫌だ。
悲しい。
苦しい。
精霊は僕を傷つけないように、あちらの世界に僕を逃したのだと言う。その結果がこれだ。
裏切られた。
違う、これが元々あるべき形なのかもしれない。
僕が居るから、シシェルは彼女の手を取れないのかもしれない。
僕が、精霊に愛されているから。
でも、シシェルは僕を選んでくれた。
違う、これはいつだ?
前世? 今世?
もしかしたら、ここは前世かもしれない。
僕を選んでくれたシシェルじゃないのかもしれない。
ハッ、と呼吸が乱れる。
僕の無尽蔵な魔力が所見の間で暴走しているのは誰の目にも明らかだ。
僕の暴走を止めようと精霊たちが慌てふためいているけれど、もう、いいんじゃないかな。
二度目だ。
あちらの世界に帰ることができないのなら、もう、いいんじゃないかな。
そう思った瞬間、ドン! と僕の前面に強い衝撃が走った。
視界が塞がれ、最近嗅ぎなれたシシェルのにおいに力を抜いたら、次に鉄錆のにおいが鼻についた。
「え?」
ズルリとシシェルの身体が力なく落ちていく。
シシェルの身体は大きくて、彼の身体と一緒に僕も床に転がってしまう。僕が居る場所は、真っ赤に染まっている。
「アイツがシシェル様を殺そうとしているのよ! 早く、アイツを始末してよ!!」
少女がカン高い声を上げて叫んでいる。
僕がシシェルを?
ぐったりと横たわっているシシェルは裂傷からとめどなく血を流し、ピクリとも動かない。
「そいつを捕まえるんだ! 魔封じの道具ならここにある、ほら、これを使うんだ!!」
自身の腕から魔封じのブレスレットを取るように魔術師団長が叫ぶ。
これは、僕が?
シシェルが、死んじゃう…。
ヒッと喉がなり、どんどんと涙が零れてくる。僕が、シシェルを傷つけてしまったんだ。
「ダメ…シシェルさま、僕…僕…なんてことを…! ねぇ、起きて、ごめんなさいっシシェルさまっ、」
ボロボロと泣く僕に精霊たちがどんどんと光だす。
大丈夫だと言わんばかりに頭を撫でられる。
「僕は、どうなってもいいんだっ! お願いっ、シシェルさまを助けてっ………!!」
裏切られたと、前世の僕が叫ぶ。
でも、僕は今世を生きている春波 湯江だ。あんなに僕に愛情を注いでくれたシシェルを疑うなんて莫迦なことをしてしまった。
しかし、目の前が真っ赤に染まったあの感情は前世の僕にはないものだった。僕はシシェルに相当な執着をしてしまっている。
「シシェル、さま?」
あちこちに居た精霊が僕のために集まって、シシェルを囲みクルクルと楽しそうに笑う。
そして、僕に大丈夫だと頭を撫でてくる。
シシェルの服は破れたままだが、傷はあらかた塞がっていた。
パチリと彼の目が開いた。
「ユエ、無事だったか…?」
なんてことないように、シシェルが起き上がり僕はたまらず彼に抱き着いてしまった。
「魔物よ…! 早くそいつをシシェル様から離してよ!! 今度こそ、シシェル様が殺されてしまうわ!!」
その言葉に今自分がしたことを思い出してしまい、慌ててシシェルから離れようとしたが、シシェルに抱き着かれ立たされ離れることは敵わなかった。
「陛下、ユエの…“精霊の愛し子”の力をご覧になられましたでしょうか? 勿論、今のは私の不徳の致すところで魔力の暴走は今後なくなりましょう。この王都からノアトルの地、そしてヒディル森の浄化及び精霊の覚醒とその活躍は上げだしたら枚挙にいとまがありません」
「お前は少々、無鉄砲すぎる。嫌われるような行動は慎め」
「兄様が愛想をつかされても、私がお慰めして差し上げます。兄様嫌われろー!」
救世主の少女を拘束してそう野次を飛ばすルウォンはニコニコと機嫌よさそうに笑っている。
「は、離しなさいよ! 痛いってば! こんなことして、ただじゃ済まさないわよ!!」
「お転婆だなぁ。さすが平民育ち。カナトリアの農村の子だったけ? この間の視察で君のことを探している子を見つけたよ」
カナトリアの言葉で少女と魔術師団長が大仰に身体を揺らした。
「ドアモール卿の領地の子だったらしいじゃないか。君と将来を誓い合ったっていう男の子が…エッジ…だったかなぁ、その子が君を見て間違いがないって言っているんだよ。それに、君の母親もこの世界で見つかった。おかしいよね、だって君は異世界から来た筈なのに、ねぇ?」
「アタシは精霊を目覚めさせることができるのに、バカなこと言わないで!! アタシを怒らせたら、王族だろうと許さないわよ!!」
少女が八つ当たりのように怒鳴り散らすが、誰もが相手にしていない。
どうしたんだろう?
気付けば、魔術師団長は騎士に地面につけられ抵抗できないように拘束されている。
「シシェル、さま…」
「不安は全部拭い去ってやる。安心しろ。私はお前を裏切ることはない。お前は私の名を呼び、私に愛されていればいいのだから」
シシェルの金色の瞳が優しく僕を見つめている。
「前世の私は随分とお前に罪深いことをしていたようだ。しかし、私は違う。よって、ルウォン、お前は選ばれない!」
「兄様振られろーーーーーっ!!」
王子二人が好き勝手に言い合っているが、誰も口を挟まない。さっきの殺伐とした雰囲気は一掃されている。
「お前たち二人は邪悪すぎて、精霊も避けている。城のお前たちが居る所だけ、精霊が寄り付かん」
「それに、精霊たちが目覚め始めて穢れが浄化されてる関係もあって、君、もう先見の能力使えないでしょ?」
「なに言ってんのよ! アタシは選ばれたのよ!」
ルウォンに拘束されていてい少女が騎士に手渡され、厳重に縛られている。喚き散らすから、猿轡まで噛まされている。
「おかしいと思った。ユエに仇なすお前たちに精霊が能力を授けるわけがない。だったらその力は邪悪なものだ。穢れであり、国家の反逆者でもある」
静かになった広間に凛としたシシェルの声が響き渡る。
少女はまだなにかを喚いているが、叫べば叫ぶほど拘束がキツくなるのに気付いたのか、悔しそうに呻いて僕を睨みつけてきた。
「救世主の名を語った罪、国家反逆罪に等しい。此度の騒動については追って沙汰を下す。下がらせろ」
国王陛下の厳かな声に騎士の礼を取り、騎士たちが少女と魔術師団長を連れていく。
魔術師団長は終始黙ったままだった。視線もうつむきがちで、青白い顔からは生気が抜けているようだった。
「あれは邪悪な力で成り立っていた魔力が浄化されたことで、虚ろになっているだけだ」
もう余計な企てをする力も残っていないと、シシェルが言う。
「さぁ、こちらへおいで。ここでは肩が凝って仕方がない。ユエ殿をエスコートしておくれ。お茶にしようか」
陛下が玉座から立ち上がり、幕の向こうへと王妃と一緒に消えていった。
「行こうか、ユエ」
シシェルに腰を抱かれるようにエスコートをされたが、広間を出る前にルウォンに止められた。
「兄様。着替えくらいはした方がいいよ。ボロボロだもの」
「…そうか。しかし、陛下が待っておられる」
「僕がエスコートするから、大丈夫ですよ!」
「それが一番選びたくない選択肢だ」
眉間に皺を寄せたシシェルだったが、着替えを持ってきたという騎士に連れられ広間を渋々出て行った。
「兄様は置いておいて、行こうか! 父上たちが今か今かと待ってる筈!」
そっとルウォンに手を引かれ、広間を出て少し歩いたところで外へ出た。
広い庭を抜けると多種多様の見るも鮮やかな花たちに囲まれた四阿が見えた。そこに陛下と王妃の姿も見え、僕は思わず身構えてしまった。
423
あなたにおすすめの小説
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
無能と追放された宮廷神官、実は動物を癒やすだけのスキル【聖癒】で、呪われた騎士団長を浄化し、もふもふ達と辺境で幸せな第二の人生を始めます
水凪しおん
BL
「君はもう、必要ない」
宮廷神官のルカは、動物を癒やすだけの地味なスキル【聖癒】を「無能」と蔑まれ、一方的に追放されてしまう。
前世で獣医だった彼にとって、祈りと権力争いに明け暮れる宮廷は息苦しい場所でしかなく、むしろ解放された気分で当てもない旅に出る。
やがてたどり着いたのは、"黒銀の鬼"が守るという辺境の森。そこでルカは、瘴気に苦しむ一匹の魔狼を癒やす。
その出会いが、彼の運命を大きく変えることになった。
魔狼を救ったルカの前に現れたのは、噂に聞く"黒銀の鬼"、騎士団長のギルベルトその人だった。呪いの鎧をその身に纏い、常に死の瘴気を放つ彼は、しかしルカの力を目の当たりにすると、意外な依頼を持ちかける。
「この者たちを、救ってやってはくれまいか」
彼に案内された砦の奥には、彼の放つ瘴気に当てられ、弱りきった動物たちが保護されていた。
"黒銀の鬼"の仮面の下に隠された、深い優しさ。
ルカの温かい【聖癒】は、動物たちだけでなく、ギルベルトの永い孤独と呪いさえも癒やし始める。
追放された癒し手と、呪われた騎士。もふもふ達に囲まれて、二つの孤独な魂がゆっくりと惹かれ合っていく――。
心温まる、もふもふ癒やしファンタジー!
「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。
キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ!
あらすじ
「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」
貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。
冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。
彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。
「旦那様は俺に無関心」
そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。
バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!?
「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」
怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。
えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの?
実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった!
「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」
「過保護すぎて冒険になりません!!」
Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。
すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。
追放されたので路地裏で工房を開いたら、お忍びの皇帝陛下に懐かれてしまい、溺愛されています
水凪しおん
BL
「お前は役立たずだ」――。
王立錬金術師工房を理不尽に追放された青年フィオ。彼に残されたのは、物の真の価値を見抜くユニークスキル【神眼鑑定】と、前世で培ったアンティークの修復技術だけだった。
絶望の淵で、彼は王都の片隅に小さな修理屋『時の忘れもの』を開く。忘れられたガラクタに再び命を吹き込む穏やかな日々。そんな彼の前に、ある日、氷のように美しい一人の青年が現れる。
「これを、直してほしい」
レオと名乗る彼が持ち込む品は、なぜか歴史を揺るがすほどの“国宝級”のガラクタばかり。壊れた「物」を通して、少しずつ心を通わせていく二人。しかし、レオが隠し続けたその正体は、フィオの運命を、そして国をも揺るがす、あまりにも大きな秘密だった――。
『君を幸せにする』と毎日プロポーズしてくるチート宮廷魔術師に、飽きられるためにOKしたら、なぜか溺愛が止まらない。
春凪アラシ
BL
「君を一生幸せにする」――その言葉が、これほど厄介だなんて思わなかった。
チート宮廷魔術師×うさぎ獣人の道具屋。
毎朝押しかけてプロポーズしてくる天才宮廷魔術師・シグに、うんざりしながらも返事をしてしまったうさぎ獣人の道具屋である俺・トア。
でもこれは恋人になるためじゃない、“一目惚れの幻想を崩し、幻滅させて諦めさせる作戦”のはずだった。
……なのに、なんでコイツ、飽きることなく俺の元に来るんだよ?
“うさぎ獣人らしくない俺”に、どうしてそんな真っ直ぐな目を向けるんだ――?
見た目も性格も不釣り合いなふたりが織りなす、ちょっと不器用な異種族BL。
同じ世界観の「「世界一美しい僕が、初恋の一目惚れ軍人に振られました」僕の辞書に諦めはないので全力で振り向かせます」を投稿してます!トアも出てくるので良かったらご覧ください✨
不幸体質っすけど、大好きなボス達とずっと一緒にいられるよう頑張るっす!
タッター
BL
ボスは悲しく一人閉じ込められていた俺を助け、たくさんの仲間達に出会わせてくれた俺の大切な人だ。
自分だけでなく、他者にまでその不幸を撒き散らすような体質を持つ厄病神な俺を、みんな側に置いてくれて仲間だと笑顔を向けてくれる。とても毎日が楽しい。ずっとずっとみんなと一緒にいたい。
――だから俺はそれ以上を求めない。不幸は幸せが好きだから。この幸せが崩れてしまわないためにも。
そうやって俺は今日も仲間達――家族達の、そして大好きなボスの役に立てるように――
「頑張るっす!! ……から置いてかないで下さいっす!! 寂しいっすよ!!」
「無理。邪魔」
「ガーン!」
とした日常の中で俺達は美少年君を助けた。
「……その子、生きてるっすか?」
「……ああ」
◆◆◆
溺愛攻め
×
明るいが不幸体質を持つが故に想いを受け入れることが怖く、役に立てなければ捨てられるかもと内心怯えている受け
公爵家の五男坊はあきらめない
三矢由巳
BL
ローテンエルデ王国のレームブルック公爵の妾腹の五男グスタフは公爵領で領民と交流し、気ままに日々を過ごしていた。
生母と生き別れ、父に放任されて育った彼は誰にも期待なんかしない、将来のことはあきらめていると乳兄弟のエルンストに語っていた。
冬至の祭の夜に暴漢に襲われ二人の運命は急変する。
負傷し意識のないエルンストの枕元でグスタフは叫ぶ。
「俺はおまえなしでは生きていけないんだ」
都では次の王位をめぐる政争が繰り広げられていた。
知らぬ間に巻き込まれていたことを知るグスタフ。
生き延びるため、グスタフはエルンストとともに都へ向かう。
あきらめたら待つのは死のみ。
無能の騎士~退職させられたいので典型的な無能で最低最悪な騎士を演じます~
紫鶴
BL
早く退職させられたい!!
俺は労働が嫌いだ。玉の輿で稼ぎの良い婚約者をゲットできたのに、家族に俺には勿体なさ過ぎる!というので騎士団に入団させられて働いている。くそう、ヴィがいるから楽できると思ったのになんでだよ!!でも家族の圧力が怖いから自主退職できない!
はっ!そうだ!退職させた方が良いと思わせればいいんだ!!
なので俺は無能で最悪最低な悪徳貴族(騎士)を演じることにした。
「ベルちゃん、大好き」
「まっ!準備してないから!!ちょっとヴィ!服脱がせないでよ!!」
でろでろに主人公を溺愛している婚約者と早く退職させられたい主人公のらぶあまな話。
ーーー
ムーンライトノベルズでも連載中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる