木こりと騎士〜不条理に全てを奪われた元宰相家令嬢は、大切なものを守るために剣をとる〜

温故知新

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最終章 木こりと騎士は……

第540話 《直接干渉》!!

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 フリージアに魔力を託したリュシアンは、メストとアイコンタクトを交わすと王族護衛に戻る。

 それを見届けたメストはフリージアに視線を戻す。


「行こう、フリージア」
「はい!」


 (必ず、魔法陣を無効化してみせるわ!)

 大きく頷いたフリージアはロスペルとカトレアに視線を移す。


「ロスペル兄様、お願いします!」
「分かった。フリージア、無事に戻ってくるんだよ」
「はい!」


 (本当は無茶をさせたくないんだけど……1度決めたら余程のことが無い限り折れないフリージアだから、ここはフリージアの頑張りに任せよう)

 フリージアの決意の籠った返事を聞いて、少しだけ悲しそう笑みを浮かべたロスペルは、すぐさま笑みを潜めると杖を掲げる。


「させるかバ……」
「大人しくしていろ!」
「チッ!」


 再び斬りかかってきたノルベルトをディロイスが止めた隙に、ロスペルがカトレアと呼吸を合わせる。


「いきますよ、カトレア嬢」
「はい!!」
「「《フライ》!!」」


 2人が同時に飛行魔法を唱えた瞬間、フリージアとメストの体が一気にコロッセオの遥か上まで飛んだ。


「わわっ!」
「フリージア!」


 バランスを崩したフリージアをメストが慌てて抱きとめる。


「大丈夫か?」
「は、はい!     ありがとうございます、メスト様」


 その時、フリージアの視界の端に黒い魔法陣が映った。


「メスト様!    あそこ!」
「あぁ、あれがノルベルトが傀儡達に作らせた魔法陣か」
「そうみたいですね」


 (ここからかなり離れているはずなのに、凄まじい魔力を感じるわ)

 2人の視線の先には、国中のあちこちから魔力を集め、それをノルベルトに送っている漆黒に染まった巨大な魔法陣があった。

 (思った以上に大きいわね)


「私に、打ち消すことが出来るかしら?」


 (ロスペル兄様のように)

 巨大な魔法陣を目の当たりに、怖気付いたフリージアは、思わずレイピアの柄を両手で強く握り締める。

 すると、それを見たメストがフリージアを優しく抱き寄せた。


「メスト様?」
「大丈夫、俺がついている。だから、思いっきりやれ」
「っ!……はい!!」


 (そうよ、今の私にはメスト様が……そして、みんながいる!      だから、大丈夫よ!)

 メストの言葉に背中を押されたフリージアは、深く深呼吸をして気合いを入れると、魔法陣にレイピアを向けて魔力を練り上げる。


「本気でいきます」
「あぁ、行け」


 その瞬間、フリージアの周りに透明な魔力の渦が立ち上り、メストは思わず息を呑む。

 (これが、フリージアの本気)

 初めて見たフリージアの本気にメストが見惚れた時、フリージアの本気の魔法が飛んだ。


「《直接干渉》!!」


 ◇◇◇◇◇


「うぐっ!」
「フリージア!」


 漆黒に染まった魔法陣に無効化魔法を放った瞬間、フリージアの体から魔力がごっそり失われる。


「だ、大丈夫です!」


 心配そうに見つめるメストに気丈に振る舞ったフリージアだったが、顔には嫌な冷や汗が浮かんでいた。

 (歪とはいえ、古の魔法陣を元に作られたとあって、リュシアン兄様から貰った魔力と合わせても……)


「打ち、消せない!」


 (今の私とリュシアン兄様だけの魔力では、あの歪な魔法陣を打ち消すことが出来ない!)

 無効化魔法の影響で徐々に形を失う魔法陣を眼前に、魔力が底を尽きかけていることに危機感を覚えるフリージア。

 その時、フリージアの手を大きな手が包み込んだ。


「メスト様!?」
「言ったろ? 俺がついている。だから、思いっきりやれ」
「っ!」


 そう言うと、メストは自分の魔力をフリージアに分け与えた。

 (メスト様の冷たいのにどこか温かくて優しい魔力。これなら……!)

 メストから魔力を貰ったフリージアは、視線を魔法陣に戻すと最後の力を出し切る。


「はぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」


 (行っけぇぇぇぇぇ!!)


 その瞬間、黒に染まった歪な魔法陣は、透明な魔力により打ち消された。
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