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最終章 木こりと騎士は……
第571話(最終回) 全てを取り戻した宰相家令嬢は幸せを掴む
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「俺と結婚してください」
夜闇を照らす月明かりの下。
心地良い風が吹く花畑で、紺色に銀色の刺繡が施されたドレスに身を包んだ貴族令嬢は、目の前で跪いている貴族令息にプロポーズをされる。
淡い緑色の瞳を大きく見開いた令嬢は、真剣さを帯びた水色の瞳で見つめる令息に優しく微笑むと、月明かりを浴びて輝く長い銀髪を揺らして涙を流しながら小さく頷く。
「不束者でありますが、よろしくお願いします」
(お転婆で負けず嫌いで貴族令嬢として規格外な私ですが、ずっと……ずっと、あなたのことが好きでお慕いしています。これは、私自身が一生かけて譲れないもの)
長い時を経て、可愛らしい白い花々が咲き誇る秘密の場所で、2人は生涯を約束を交わす。
その瞬間、そっと立ち上がった騎士は、涙ぐむ令嬢をそっと抱き寄せると、永遠の愛を誓うような優しい口づけをした。
◇◇◇◇◇
ノルベルトが処刑されてから約1年半後。
国王の座がジルベールに継承されたことが、王都が毎日のようにお祭り騒ぎで慌ただしい中、王都の教会で一組のカップルの結婚式が執り行われた。
「フリージア、入っていい?」
「良いわよ」
花嫁がいる控室に来たカトレア達は、フリルがふんだんに使われた純白のドレスに身を包み、腰まで伸びた艶やかな銀色の髪を純白のベールで覆っているフリージアの美しさに思わず息を呑む。
「どうしたの、みんな?」
不思議そうに小首を傾げているフリージアに、純白のタキシードに身を包んだメストが甘く笑って答える。
「今日のフリージアが、女神のように美しいから皆、言葉を失っただけだ。まぁ、フリージアが美しくて可愛いのはいつものことなのだが」
「メスト様!」
ベール越しでも分かるくらい顔を真っ赤にするフリージアがあまりにも可愛すぎて、そっとフリージアに近づいたメストがベールを取って彼女の唇を奪わそうとした時、控室に来た男性神官が結婚式開始の合図が告げられる。
「はぁ、仕方ない。それではフリージア、また後で」
「は、はい……」
王子様スマイルのメストが控室を後して、フリージアが耳まで顔を真っ赤にしていると、カトレアがいきなりフリージアに抱き着く。
「カ、カトレア!?」
「あんた、絶対に幸せになるのよ! 今までたくさん頑張ったんだから、絶対に幸せになりなさいよ! そうじゃなきゃ……本当に許さないんだから!」
「カトレア……」
結婚式が始まる前から涙ぐむカトレアは、長い間、孤独に戦ってきた彼女の幸せを一番に願っていた。
だから、この1年、仕事をしながらティアーヌの共にフリージアとメストの結婚式の準備の手伝った。
半年後に控えている自分たちの結婚式をフリージアが手伝うことを条件で。
鼻を鳴らしながら抱きつくカトレアに、優しく微笑んだフリージアが親友の華奢な背中をさすると、不意にカトレアの肩を大きな手が乗った。
「カトレア、行くぞ」
「わ、分かっているわよ!」
ラピスに促されてフリージアから離れたカトレアは、部屋を出る前にフリージアに微笑むとラピス達と共に式場に向かった。
「では、参りましょう」
「はい」
案内役である女性神官と共にバージンロードに繋がる重厚な扉の前に来たフリージア。
そこには、燕尾服を着たレクシャがいた。
「フリージア、改めて結婚おめでとう」
「ありがとうございます、お父様」
「……こうして見ると、本当に大きくなって……貴族令嬢として、より一層美しくなったな。とても、木剣を振り回して悪ガキ達を懲らしめていた奴とは思えない」
「お父様……」
国王がジルベールに代わり、宰相の引継ぎで忙しいはずなのに、疲れた顔を一切見せないレクシャは、新たな門出を迎える娘の成長した美しいに、瞳を潤ませると嬉しそうに笑った。
すると、扉の奥から結婚式の開始を告げるオルガンの音が聞こえ、閉じられていた扉がゆっくりと開く。
「行こう」
「はい」
レクシャの腕に手を置いたフリージアは、これまでの人生を噛み締めるようにゆっくりとバージンロードを歩いて行く。
フリージアの晴れ姿に温かい拍手を送る参列者には、フリージアやメストの家族や友人だけでなく、サザランス公爵家とヴィルマン侯爵家にゆかりのある貴族達がいて、その中にはなんと、ペトロートの王族全員揃って2人の結婚式に参列していた。
(まさか、王族の皆様までいらっしゃるなんて!)
驚きのあまり言葉を失うフリージアに、バージンロードの真ん中で立ち止まったレクシャが優しい声で娘の名前を呼ぶ。
「フリージア」
「はい」
自分の腕から娘の手を離す直前、レクシャは涙を浮かべながら父としての願いを口にする。
「幸せになれよ」
大好きな父からの最大の祝辞に、フリージアの胸が熱くなった時、離されたフリージアの手が大きくて頼りがいのある腕に置かれる。
「フリージア」
「メスト様」
甘く微笑んだメストと共に、バージンロードを歩いたフリージアは祭壇の前に立つ。
(全てを奪われたあの日、私はこんな日が来るとは本気で思わなかった)
約束があるとはいえ、家族と再会することも、友人が自分のもとを訪れることも、大好きな人と添い遂げることも。
全てを奪われたの時のフリージアは、本当に思わなかった。
けれど今、全てを取り戻したフリージアは、たくさんの人に祝福されながら、大好きな人と新たな人生を歩もうとしている。
「フリージア」
「はい」
神父からのありがたい言葉を頂き、誓いのキスを促されたメストは、純白のベールをとるとフリージアの華奢な両肩に手を置いて囁く。
「一緒に幸せになろうな」
「はい!!」
満面の笑みを浮かべたフリージアとメストが一生を誓う口づけをした時、教会のベルが2人の新たな門出を祝うように高らかに鳴り響く。
こうして、不条理に全てを奪われた宰相家令嬢は大切なものを取り戻し、大好きな人と幸せな人生を送るのだった。
fin.
これにて、『木こりと騎士~不条理に奪われた元宰相家令嬢は、大切なものを守るために剣をとる~』を一先ず完結とさせていただきます。
物書きとしてまだまだ未熟ですが今の全力を出しました。
『貴族令嬢が男装して、運命に抗う』という非常にニッチなテーマでしたが、いかがでしたでしょうか?
1人でも多くの人に楽しんでいただけのでしたら、本作を生み出した作者としてこれ以上ない喜びです。
今後は、番外編として不定期で書こうと思っています。
その時は、是非とも読んでいただけると幸いです。
たくさん話したいことがありますが……それは、近況ボードの方で熱く語らせていただきます(笑)
一先ず、本作を最後まで読んでくださった皆様にこの場で深く感謝申し上げます。
フリージア、メスト、結婚おめでとう! 末永くお幸せに!
夜闇を照らす月明かりの下。
心地良い風が吹く花畑で、紺色に銀色の刺繡が施されたドレスに身を包んだ貴族令嬢は、目の前で跪いている貴族令息にプロポーズをされる。
淡い緑色の瞳を大きく見開いた令嬢は、真剣さを帯びた水色の瞳で見つめる令息に優しく微笑むと、月明かりを浴びて輝く長い銀髪を揺らして涙を流しながら小さく頷く。
「不束者でありますが、よろしくお願いします」
(お転婆で負けず嫌いで貴族令嬢として規格外な私ですが、ずっと……ずっと、あなたのことが好きでお慕いしています。これは、私自身が一生かけて譲れないもの)
長い時を経て、可愛らしい白い花々が咲き誇る秘密の場所で、2人は生涯を約束を交わす。
その瞬間、そっと立ち上がった騎士は、涙ぐむ令嬢をそっと抱き寄せると、永遠の愛を誓うような優しい口づけをした。
◇◇◇◇◇
ノルベルトが処刑されてから約1年半後。
国王の座がジルベールに継承されたことが、王都が毎日のようにお祭り騒ぎで慌ただしい中、王都の教会で一組のカップルの結婚式が執り行われた。
「フリージア、入っていい?」
「良いわよ」
花嫁がいる控室に来たカトレア達は、フリルがふんだんに使われた純白のドレスに身を包み、腰まで伸びた艶やかな銀色の髪を純白のベールで覆っているフリージアの美しさに思わず息を呑む。
「どうしたの、みんな?」
不思議そうに小首を傾げているフリージアに、純白のタキシードに身を包んだメストが甘く笑って答える。
「今日のフリージアが、女神のように美しいから皆、言葉を失っただけだ。まぁ、フリージアが美しくて可愛いのはいつものことなのだが」
「メスト様!」
ベール越しでも分かるくらい顔を真っ赤にするフリージアがあまりにも可愛すぎて、そっとフリージアに近づいたメストがベールを取って彼女の唇を奪わそうとした時、控室に来た男性神官が結婚式開始の合図が告げられる。
「はぁ、仕方ない。それではフリージア、また後で」
「は、はい……」
王子様スマイルのメストが控室を後して、フリージアが耳まで顔を真っ赤にしていると、カトレアがいきなりフリージアに抱き着く。
「カ、カトレア!?」
「あんた、絶対に幸せになるのよ! 今までたくさん頑張ったんだから、絶対に幸せになりなさいよ! そうじゃなきゃ……本当に許さないんだから!」
「カトレア……」
結婚式が始まる前から涙ぐむカトレアは、長い間、孤独に戦ってきた彼女の幸せを一番に願っていた。
だから、この1年、仕事をしながらティアーヌの共にフリージアとメストの結婚式の準備の手伝った。
半年後に控えている自分たちの結婚式をフリージアが手伝うことを条件で。
鼻を鳴らしながら抱きつくカトレアに、優しく微笑んだフリージアが親友の華奢な背中をさすると、不意にカトレアの肩を大きな手が乗った。
「カトレア、行くぞ」
「わ、分かっているわよ!」
ラピスに促されてフリージアから離れたカトレアは、部屋を出る前にフリージアに微笑むとラピス達と共に式場に向かった。
「では、参りましょう」
「はい」
案内役である女性神官と共にバージンロードに繋がる重厚な扉の前に来たフリージア。
そこには、燕尾服を着たレクシャがいた。
「フリージア、改めて結婚おめでとう」
「ありがとうございます、お父様」
「……こうして見ると、本当に大きくなって……貴族令嬢として、より一層美しくなったな。とても、木剣を振り回して悪ガキ達を懲らしめていた奴とは思えない」
「お父様……」
国王がジルベールに代わり、宰相の引継ぎで忙しいはずなのに、疲れた顔を一切見せないレクシャは、新たな門出を迎える娘の成長した美しいに、瞳を潤ませると嬉しそうに笑った。
すると、扉の奥から結婚式の開始を告げるオルガンの音が聞こえ、閉じられていた扉がゆっくりと開く。
「行こう」
「はい」
レクシャの腕に手を置いたフリージアは、これまでの人生を噛み締めるようにゆっくりとバージンロードを歩いて行く。
フリージアの晴れ姿に温かい拍手を送る参列者には、フリージアやメストの家族や友人だけでなく、サザランス公爵家とヴィルマン侯爵家にゆかりのある貴族達がいて、その中にはなんと、ペトロートの王族全員揃って2人の結婚式に参列していた。
(まさか、王族の皆様までいらっしゃるなんて!)
驚きのあまり言葉を失うフリージアに、バージンロードの真ん中で立ち止まったレクシャが優しい声で娘の名前を呼ぶ。
「フリージア」
「はい」
自分の腕から娘の手を離す直前、レクシャは涙を浮かべながら父としての願いを口にする。
「幸せになれよ」
大好きな父からの最大の祝辞に、フリージアの胸が熱くなった時、離されたフリージアの手が大きくて頼りがいのある腕に置かれる。
「フリージア」
「メスト様」
甘く微笑んだメストと共に、バージンロードを歩いたフリージアは祭壇の前に立つ。
(全てを奪われたあの日、私はこんな日が来るとは本気で思わなかった)
約束があるとはいえ、家族と再会することも、友人が自分のもとを訪れることも、大好きな人と添い遂げることも。
全てを奪われたの時のフリージアは、本当に思わなかった。
けれど今、全てを取り戻したフリージアは、たくさんの人に祝福されながら、大好きな人と新たな人生を歩もうとしている。
「フリージア」
「はい」
神父からのありがたい言葉を頂き、誓いのキスを促されたメストは、純白のベールをとるとフリージアの華奢な両肩に手を置いて囁く。
「一緒に幸せになろうな」
「はい!!」
満面の笑みを浮かべたフリージアとメストが一生を誓う口づけをした時、教会のベルが2人の新たな門出を祝うように高らかに鳴り響く。
こうして、不条理に全てを奪われた宰相家令嬢は大切なものを取り戻し、大好きな人と幸せな人生を送るのだった。
fin.
これにて、『木こりと騎士~不条理に奪われた元宰相家令嬢は、大切なものを守るために剣をとる~』を一先ず完結とさせていただきます。
物書きとしてまだまだ未熟ですが今の全力を出しました。
『貴族令嬢が男装して、運命に抗う』という非常にニッチなテーマでしたが、いかがでしたでしょうか?
1人でも多くの人に楽しんでいただけのでしたら、本作を生み出した作者としてこれ以上ない喜びです。
今後は、番外編として不定期で書こうと思っています。
その時は、是非とも読んでいただけると幸いです。
たくさん話したいことがありますが……それは、近況ボードの方で熱く語らせていただきます(笑)
一先ず、本作を最後まで読んでくださった皆様にこの場で深く感謝申し上げます。
フリージア、メスト、結婚おめでとう! 末永くお幸せに!
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