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第3章 木こりは距離を縮め、宮廷魔法師は陥れられる
第161話 闇夜に紛れる黒幕
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カトレア達の様子を双眼鏡で見ていたリアンは、カトレアの隣にいるメストへ目を向ける。
「そもそも、この場所には何の因果かお前の婚約者もいるだろうが。初対面の奴をお持ち帰りするより、そっちを構った方が良いんじゃないのか?」
(一応、お前の婚約者なんだから)
「あぁ、メスト様?」
すると、ダリアがあからさまに嫌そうな顔でそっぽを向く。
「嫌よ。だって、今のメスト様、魔物の血で穢れていて近づきたくない」
「そうなのかもしれないけどさぁ」
双眼鏡を外したリアンは、後ろで綺麗に整えられた爪を眺めているダリアに呆れた目を向ける。
「お前、かれこれ半年も婚約者を放置しているだろう。そんなことをしたら、いつしか婚約破棄されるんじゃないのか?」
「大丈夫よ。なんたって、あっちは侯爵家でこっちは公爵家。婚約破棄なんて早々されないわ」
「まぁ、そうなんだが」
(それでも、親父から『『王国の剣』であるヴィルマン侯爵家の嫡男の心を掴んでおけ』って言われているだろうが)
『父親の言うこともまともに聞けないのか?』と内心呆れたリアンを見て、膨れっ面をしたダリアが兄に見下すような目を向ける。
「そういうお兄様こそ、一応婚約者である第一王女様と上手くやっているの? 私や両親と違って、闇魔法が現れなかったインベック家の落ちこぼれのくせに」
「っ!? 俺のことは良いんだよ! 俺のことは!」
痛いところを突かれたリアンは思わず声を荒げる。
インベック家の長男であるリアンは、インベック家では珍しく闇魔法が発現しなかった。
そのため、妹や両親は事あるごとにリアンのことを『インベック家の落ちこぼれ』として軽視したり見下したりしていた。
そんな彼は現在、父親であるノルベルトの命令で第一王女の婚約者として、彼女の心を繋ぎ留めておくように厳命されている。
(チッ! ここ最近、王女が変なことを言い出して思うように進展してねぇんだよ!)
『私の知っているリアン様は、もっと騎士のように逞しくて頼りになる方でしたよね?』
小首を傾げる婚約者のことを思い出し、悔しさで顔を歪めるリアン。
そんな兄に蔑んだ目を向けたダリアは、つまらなさそうに小さく鼻を鳴らす。
「フッ、まぁ良いわ。飽きられて捨てられないよう、せいぜい頑張ることね」
「くっ!……だが、それはお前にも言えることだろうが」
(俺と同じく、いつ愛想がつかれてもおかしくない状況だろうが)
バカにしたように笑う兄に、僅かに眉が釣り上がったダリアだったがすぐさま口角が上がる。
「それは違うわ。『私が飽きられて捨てられる』じゃなくて『私が飽きて捨てる』のよ」
そう言って、数多の男を自分のものにしたダリアが妖艶な笑みを浮かべると、一瞬見惚れたリアンは呆れたように小さく溜息をつく。
(そうだった。うちの妹は、母親譲りの可愛い美人顔立ちだが、性格は野心家しかいないインベック家らしい我儘でプライドが高く、傲慢で自由奔放な性格だ)
特に、見目麗しい男性を見つけたら相手が婚約者持ちや既婚者だろうと関係なく、自分のものにしようと何の躊躇いも無く魅了魔法を使い、飽きたらあっさりと捨ててしまう。
そんな面食いの妹は現在、婚約者をほったらかしにして毎夜、上級貴族しか行けない女性専用の高級娼館へ遊びに行ったり、王城や王都で見つけた貴族令息達と高級宿に泊まったりして、婚約者以外の男性と濃厚で熱い夜を楽しんでいる。
「さてと、私がお持ち帰りしたい殿方はどこに行ったのかしら? あの方には、私たちの代わりに魔物討伐をしてくれたし」
「そうだったな。とは言え、お前が魅了魔法を使って俺たちの代わりに魔物討伐をしてくれた宮廷魔法師は、あの男だけではなかったはずだが」
「ウフフッ、そうだったかしら?」
満足そうに笑うダリアが己の欲求を満たすために魅了魔法を使う様を見て、思わず目を背けたリアンは酷く顔を歪ませると顔で小さく拳を握る。
(俺にも、ダリアや両親のような闇魔法があれば、歴代最高の頭脳を持つこの俺がこの国の王になってやるのに!)
叶わない願望を心の中で零したリアンは、気持ちを落ち着かせるように深呼吸すると、ギラギラとした目で本日の獲物……もとい、本日のお相手を見つけるダリアに声をかける。
「おい、そろそろ転移陣の方に行くぞ。宮廷魔法師達が引き上げ準備にかかっている」
「は~い♪」
王都に戻った後のお楽しみにニヤニヤが止まらないダリアは、行きと同じくフードを被ると転移陣のある方に向かって意気揚々と歩き出す。
そんなご機嫌な妹に肩を竦めたリアンは、そっとカトレア達のいる方に目を向けると、不意に火球が消えた後、森の中に入っていった平民を思い出す。
(そう言えば、分不相応なレイピアを持った身の程知らずの下民、あの2人と別れた時に俺たちがいる方を見ていたな)
「まさか、遥か遠くにいる俺たちのことが見えて……」
「お兄様、早く行くわよ!」
「あ、あぁ! 分かった」
(いや、そんなことあるはずないか。なにせ、貴族にも劣っている下民だから)
まさか、本当に平民がリアン達を見ていたとは知らず、妹に急かされたリアンは、フードを深く被ると妹と共に魔石回収で忙しい宮廷魔法師達の中に紛れる。
※インベック家にまともな奴は誰もいません。
全員他人を見下すことに喜びを得ていて、『誰もよりも一番自分が優れている!』と本気で思っている自己中で傲慢な最低な奴らです。
(まぁ、そう仕向けたのはインベック家当主の闇魔法なのですが)
「そもそも、この場所には何の因果かお前の婚約者もいるだろうが。初対面の奴をお持ち帰りするより、そっちを構った方が良いんじゃないのか?」
(一応、お前の婚約者なんだから)
「あぁ、メスト様?」
すると、ダリアがあからさまに嫌そうな顔でそっぽを向く。
「嫌よ。だって、今のメスト様、魔物の血で穢れていて近づきたくない」
「そうなのかもしれないけどさぁ」
双眼鏡を外したリアンは、後ろで綺麗に整えられた爪を眺めているダリアに呆れた目を向ける。
「お前、かれこれ半年も婚約者を放置しているだろう。そんなことをしたら、いつしか婚約破棄されるんじゃないのか?」
「大丈夫よ。なんたって、あっちは侯爵家でこっちは公爵家。婚約破棄なんて早々されないわ」
「まぁ、そうなんだが」
(それでも、親父から『『王国の剣』であるヴィルマン侯爵家の嫡男の心を掴んでおけ』って言われているだろうが)
『父親の言うこともまともに聞けないのか?』と内心呆れたリアンを見て、膨れっ面をしたダリアが兄に見下すような目を向ける。
「そういうお兄様こそ、一応婚約者である第一王女様と上手くやっているの? 私や両親と違って、闇魔法が現れなかったインベック家の落ちこぼれのくせに」
「っ!? 俺のことは良いんだよ! 俺のことは!」
痛いところを突かれたリアンは思わず声を荒げる。
インベック家の長男であるリアンは、インベック家では珍しく闇魔法が発現しなかった。
そのため、妹や両親は事あるごとにリアンのことを『インベック家の落ちこぼれ』として軽視したり見下したりしていた。
そんな彼は現在、父親であるノルベルトの命令で第一王女の婚約者として、彼女の心を繋ぎ留めておくように厳命されている。
(チッ! ここ最近、王女が変なことを言い出して思うように進展してねぇんだよ!)
『私の知っているリアン様は、もっと騎士のように逞しくて頼りになる方でしたよね?』
小首を傾げる婚約者のことを思い出し、悔しさで顔を歪めるリアン。
そんな兄に蔑んだ目を向けたダリアは、つまらなさそうに小さく鼻を鳴らす。
「フッ、まぁ良いわ。飽きられて捨てられないよう、せいぜい頑張ることね」
「くっ!……だが、それはお前にも言えることだろうが」
(俺と同じく、いつ愛想がつかれてもおかしくない状況だろうが)
バカにしたように笑う兄に、僅かに眉が釣り上がったダリアだったがすぐさま口角が上がる。
「それは違うわ。『私が飽きられて捨てられる』じゃなくて『私が飽きて捨てる』のよ」
そう言って、数多の男を自分のものにしたダリアが妖艶な笑みを浮かべると、一瞬見惚れたリアンは呆れたように小さく溜息をつく。
(そうだった。うちの妹は、母親譲りの可愛い美人顔立ちだが、性格は野心家しかいないインベック家らしい我儘でプライドが高く、傲慢で自由奔放な性格だ)
特に、見目麗しい男性を見つけたら相手が婚約者持ちや既婚者だろうと関係なく、自分のものにしようと何の躊躇いも無く魅了魔法を使い、飽きたらあっさりと捨ててしまう。
そんな面食いの妹は現在、婚約者をほったらかしにして毎夜、上級貴族しか行けない女性専用の高級娼館へ遊びに行ったり、王城や王都で見つけた貴族令息達と高級宿に泊まったりして、婚約者以外の男性と濃厚で熱い夜を楽しんでいる。
「さてと、私がお持ち帰りしたい殿方はどこに行ったのかしら? あの方には、私たちの代わりに魔物討伐をしてくれたし」
「そうだったな。とは言え、お前が魅了魔法を使って俺たちの代わりに魔物討伐をしてくれた宮廷魔法師は、あの男だけではなかったはずだが」
「ウフフッ、そうだったかしら?」
満足そうに笑うダリアが己の欲求を満たすために魅了魔法を使う様を見て、思わず目を背けたリアンは酷く顔を歪ませると顔で小さく拳を握る。
(俺にも、ダリアや両親のような闇魔法があれば、歴代最高の頭脳を持つこの俺がこの国の王になってやるのに!)
叶わない願望を心の中で零したリアンは、気持ちを落ち着かせるように深呼吸すると、ギラギラとした目で本日の獲物……もとい、本日のお相手を見つけるダリアに声をかける。
「おい、そろそろ転移陣の方に行くぞ。宮廷魔法師達が引き上げ準備にかかっている」
「は~い♪」
王都に戻った後のお楽しみにニヤニヤが止まらないダリアは、行きと同じくフードを被ると転移陣のある方に向かって意気揚々と歩き出す。
そんなご機嫌な妹に肩を竦めたリアンは、そっとカトレア達のいる方に目を向けると、不意に火球が消えた後、森の中に入っていった平民を思い出す。
(そう言えば、分不相応なレイピアを持った身の程知らずの下民、あの2人と別れた時に俺たちがいる方を見ていたな)
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「お兄様、早く行くわよ!」
「あ、あぁ! 分かった」
(いや、そんなことあるはずないか。なにせ、貴族にも劣っている下民だから)
まさか、本当に平民がリアン達を見ていたとは知らず、妹に急かされたリアンは、フードを深く被ると妹と共に魔石回収で忙しい宮廷魔法師達の中に紛れる。
※インベック家にまともな奴は誰もいません。
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