木こりと騎士〜不条理に全てを奪われた元宰相家令嬢は、大切なものを守るために剣をとる〜

温故知新

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第6章 待ち望んだ再会と星降る夜の語らい

第378話 落とし前の行方

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「さて、これで分かったと思うが、うちの優秀な部下で『天才魔法師』であるカトレア・ティブリーは平民を殺していない。つまり、半年前に流れた噂が全くのガセであったことが証明された」


 ノルベルトから視線を逸らさないまま、持っていた水晶をマジックバックに戻したルベルは、真剣な表情でカトレアの無実を声高らかに宣言する。
 それを聞いたノルベルトは、苦々しい表情で口を開く。


「確かに貴様の言う通り、天才魔法師殿は崇高な魔法で平民を殺していなかった」
「あぁ、そうだ。ちなみに、このことは本人に伝えている。加えて、不条理な処罰を下してしまったことに対しての謝罪も本人に直接した」


 カトレアが帝国から帰ってきた翌日、ルベルは彼女を呼び出して事の真相を話した上で、宮廷魔法師団団長として深々と謝罪をした。
 もちろん、処罰があくまでカトレアを守るためのカモフラージュだったことを事前にルベル本人から教えてもらっていたカトレアは、団長からの謝罪を受け入れた。

 そうして、カトレアの噂が半分ガセだったことを証明したルベルは、宮廷魔法師団団長として高らかに宣言する。


「我ら、宮廷魔法師の魔法は、この国の脅威となるものを屠るものであり、私欲を満たすために何の罪もない人間を甚振る……ましては、我らと共に魔物を屠った人間に向けるものではない!」


 ルベルは宮廷魔法師団団長として言いたかったのは、カトレアは決して魔法で人を傷つけていないということ。

 それは、魔法に携わる者としてどうしても明白にしたかったことだった。

 謁見の間にいる者達全てに聞こえるように、声を荒げたルベルの言葉は、前宮廷魔法師団長であり、若きルベルに魔法を教えた師匠の言葉である。


『私に対して無礼を働いた『稀代の天才魔法師様』を操って、魔法を放ってみたかったのよ』


 脳裏に過ったダリアの言葉。
 下卑た笑みを浮かべながら口にした彼女の言葉に、悔しそうに顔を歪めたルベルはきつく拳を握ると大きく息を吐いて表情を真剣なものに戻した。


「従って、俺が宮廷魔法師団団長としてつける落とし前はこの場では一切ない!」


 (カトレア、お前の宮廷魔法師としての名誉を挽回してやったぞ)

 普段はダリアの影響なのか、平民を見下したような態度を取るカトレアだが、魔法に対してはとことん真摯に向き合って誠実であり続けた。

 まるで、ルベル以外の誰からか教えてもらったかのように。

 そんな彼女だからこそ、あの時に涙ながらに訴えた『違います!』『私はやっていません!』という言葉は本物だとルベルは信じられた。

 だからこそ、ルベルはカトレアを帝国に行かせ、その間に恥を忍んでわざわざフェビルに頼み込み、時魔法が使えるシトリンを貸してもらった。

 フェビル達の協力で見つけた証拠を突きつけたことで、先程までうるさかった謁見の間が、水を打ったような静けさに包まれ、ノルベルトの腰巾着達が揃って口を閉じる。

 その光景に満足し、小さく笑みを零したルベルはノルベルトに視線を戻す。


「話は終わりでいいか? だったら、さっさと出て行かせてもら……」
「いや」
「ん?」


 (ここまでやって、まだ反論する余地があるのか?)

 カトレアの噂がガセであることを完全証明した今、ルベルはノルベルトから引き留められることは無いと思っていた。
 だが、ルベルの予想を裏切るように否定の言葉を口にしたノルベルトは、ゆっくりと玉座から立ちあがる。
 その表情は、先程までの悔し気な表情ではなく、勝ち誇った笑みを浮かべていた。


「さっきも言ったが、貴様は天才魔法師の名誉を傷つけた。よって、貴様には天才魔法師の名誉を傷つけた落とし前として建国祭終了後、宮廷魔法師団長の座を降りてもらう」
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