修羅の道

おくん血•タケル

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第一話「衛兵狩りの少年」

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乾いた大地を踏みしめる足音が響く。
鍛え上げた身体を包むは、薄汚れた革の装束。
少年――**武流(タケル)**は今日も剣を握っていた。

標的は、衛兵。

罪もない一般市民を取り締まるはずの彼らは、いつの間にか腐敗し、力無き者たちに暴力を振るう存在へと成り下がっていた。

「……これで、今日も一歩、強くなれる。」

武流は、戦いに意味など求めていなかった。
彼にとって戦うことは呼吸のようなものだった。
修行。それが彼の全て。

目の前に立ちふさがる衛兵が、冷たい声で叫ぶ。
「またお前か、クソガキが……今日こそ捕らえてやる!」

武流は剣を静かに構え、そして一瞬で間合いを詰めた。

――ズバッ。

一閃。
返す刀で、もう一人の衛兵も倒れる。

戦いは、ほんの数秒で終わった。

「……これじゃ、足りない。」

自分よりも弱い敵に勝っても、心は満たされない。
もっと強くなりたい。もっと、高みを目指したい。

武流は誰に教えられるでもなく、本能的に修羅の道を歩んでいた。

その時だった。

「ふふ……面白い子ね。」

不意に、艶やかな声が耳を撫でた。
振り返ると、そこに一人の女が立っていた。

漆黒の衣。
切れ長の紅い瞳。
戦いの余韻が残る中でも、彼女はまるで舞踏会にいるかのように優雅だった。

「……誰だ?」

警戒心を露わにする武流に、女は微笑む。

「私はユリシア。漆黒連の者よ。」

その名に、武流は聞き覚えがあった。
裏社会で噂される、暗殺と破壊を生業とする闇の組織――漆黒連。

「君の戦い方、嫌いじゃないわ。もし興味があれば、私たちと一緒に来ない?」

武流は即座に首を振った。

「……興味ない。俺は俺のやり方で強くなる。」

「ふふ……じゃあ、もっと強くなったら、また声をかけるわ。」

ユリシアはその場を立ち去ろうとし、ふと振り返った。

「でもね――一人で生きるのって、案外退屈よ。」

武流は答えなかった。

ただ、あの時のユリシアの紅い瞳が、心の奥に焼き付いて離れなかった。

彼はまだ知らない。
この出逢いが、自らの運命を大きく狂わせることを。

そして――
修羅の道を歩む者に、愛という感情が待ち受けていることを
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