修羅の道

おくん血•タケル

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第十二話『不死の影──ヴァンパイア討伐依頼』

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ギルドでリディアが新しい依頼書を手に入れたのは、朝のことだった。

「ねぇ、武流。今日はこれなんてどう?」

彼女が差し出したのは、一枚の討伐依頼書。

依頼内容には、こう記されていた。

『不死の者──夜ごと人を襲い、特に若い女性を好んで攫う。不死者の拠点と思われる古城の調査と討伐を要請する。』

「最近、この近くの村で失踪者が続出してるらしいの。」

リディアが真剣な表情で話し出す。

「生き残った人の話によると、黒いマントを羽織った美しい男が、夜の霧と共に現れるんだって。」

武流は依頼書をパッと奪い取って、目を走らせた。

「……特に、女が狙われてるのか。」

「そう。ファンクラブの子たちも、最近すごく怯えてて……」

ふと、街角を見ると、武流たちを慕うファンクラブの女の子たちが、不安そうに身を寄せ合っていた。

「あの人がまた来たらどうしよう……」「昨日、隣村の子が攫われたんだって……」

その声を聞いた瞬間、武流の眉がピクリと動いた。

「──ああ、こりゃ……ほっとけねぇな。」

リディアがにやっと笑った。

「やっぱり、そう来ると思った。」

「女を泣かせる奴は……オレが許さねぇ‼️」

武流はギュッと拳を握りしめる。

「ギスケ‼️ 出番だ‼️」

「え、ええっ⁉️ また強そうなヤツなんすかぁ⁉️」

ギスケはバタバタと羽ばたきながら、しかしどこか楽しそうだ。

「リディア‼️ 今回はお前のギルダーとしての腕も頼りにしてる‼️」

「ま、任せてよ。私は正式なギルドメンバーだし、依頼の手続きもバッチリ済ませておいたから。」

「よし、じゃあ……ヴァンパイア退治といこうぜ‼️‼️」

武流たちは、恐怖に怯える街の人々を背に、不死の者が棲むと噂される古城へと歩を進めた。

この戦いは──
ただの依頼じゃない。

武流の中に芽生えた「守りたい」という強い意志が、再び火を灯した戦いだった。

彼が選んだのは、己の信念と、大切な女たちの笑顔を守る道。

「絶対、泣かせねぇ──」



薄暗い森を抜け、武流たちは噂の古城に辿り着いた。

古びた石造りの城門は、錆びつき、蔦に覆われていたが、扉はわずかに開いている。

「……招かれてるってワケか。」

武流が剣を構え、静かに城内へと足を踏み入れる。

ギスケはビビりながらも、しっかりと武流の背中を追う。

「ここ……なんか、空気が……冷たいっす。」

リディアも慎重に歩を進めながら、周囲を警戒する。

城内には、生臭い血の匂いと、乾いたホコリが漂っていた。

奥へ進むと、ふいに響き渡る拍手の音。

「フフ……よく来たな。」

暗闇から現れたのは、一人のヴァンパイアだった。

長身で黒マントを羽織り、目元に妖しげな微笑みを浮かべている。

「お前が、最近騒がせてるヴァンパイアか。」

武流が低く問いかける。

「騒がせている? フン、私はただ……美しい血を求めていただけだ。」

「女たちを攫って、好き勝手しやがって……てめぇ、どんな理由があろうと……絶対に許さねぇ‼️‼️」

武流が一気に距離を詰めた。

ヴァンパイアもすかさず爪を伸ばし、鋭い一撃を繰り出す。

ギスケも叫びながらサポートに回り、リディアは火の魔法で援護を開始。

「武流‼️ あいつ、素早いわよ‼️ 気をつけて‼️」

だが、武流は焦らない。

「……へっ、遅ぇよ。」

バシィッ‼️

武流の剣がヴァンパイアの腕を叩き落とした。

「な、何故……!? 我が爪が……!」

「お前……自分がどれだけ強いと思ってたんだ?」

ズバァン‼️

武流の剣がヴァンパイアの胸を貫いた。

「……こんなモンかよ。」

ヴァンパイアは膝をつき、苦しげに呟いた。

「……我は……所詮、十鬼衆にも選ばれぬ……下級の不死者にすぎぬ……。」

「……十鬼衆……?」

武流の眉がピクリと動く。

「まだ……上がいるのかよ……」

ヴァンパイアは最後に、かすかに笑いながら崩れ落ちた。

リディアが顔をしかめる。

「十鬼衆……もし、あれが下級だって言うなら……その上の連中は、どれだけヤバいのよ……?」

「十鬼衆か……面白ぇ。」

武流がニヤリと笑った。

「いつか、そいつらも叩き潰してやるよ。」

ギスケが震えながらも、しっかり頷いた。

「む、無理すんなっすよ、武流……」

──その時。

リディアが部屋の隅で、古びた台座を見つけた。

「これ……魔法書?」

武流が覗き込む。

そこには封印されていた火の古代魔法書があった。

「へぇ……こんなとこにも、まだあるんだな。」

リディアはすぐに封印を解除し、中身を確認する。

「これ……凄い……火の精霊との契約をより強くする方法が書いてある……!」

「へぇ、いいじゃねぇか。」

武流は軽く肩をすくめた。

「これで、お前ももっと強くなれそうだな。」

リディアは、武流の言葉に少しだけ頬を染めた。

「……ふふ、アンタにも、感謝くらいはしてあげる。」

武流は、ふっと笑う。

「いいってことよ。……でも、十鬼衆……そいつらと戦うには、もっともっと強くならねぇとな。」

ファンクラブの女の子たちを守るため。

仲間たちを守るため。

そして、己の“楽しさ”のため。

武流たちは、また一歩、戦いの渦中へと足を踏み入れていくのだった──。
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