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第1章
第5話 祝杯
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標高があるのか、三十分もしないで息切れしてきた。
「少し休むか」
無理してもいいことはない。逃げる体力を回復させておかないとな。
ペットボトルを出して半分くらい飲んで一息ついた。
「ゴブリンの気配は近いな」
周囲を警戒しながらゴブリンの気配を探る。なかなかどうして気を使うぜ。
ただ、探っていたお陰か、ゴブリンの気配が鮮明になってきている。サポート能力の中で一番優れてるんじゃないか?
「あっちに四。あっちに六。あっちに八。かかなり遠いところに複数固まっているのが感じるな」
気配との距離がわかってくれば気配感知範囲がわかるかもしれんぞ。
残りを飲み干し、一旦セフティーホームへ。水を補充してから一匹のところへと向かった。
進むこと五分。ゴブリンの形がわかるくらいの気配を感じた。
「……これ、ゴブリン相手にはチートじゃね……?」
相手の位置がわかるとか、ゴブリンが知ったら激おこプンプン丸になるぞ。
「いや、落ち着け。わかるってだけで倒せるなら苦労しない。殺す手段がなければ宝チートの持ち腐れだ」
今は体力と気配察知の強化だ。
「気配はしゃがんでいるな? また死肉漁りか?」
慎重に、周囲を警戒しながらゴブリンの背後から近づいていく。
……穴を掘っているのか……?
木の枝を地面に何度も突き刺し、周りの警戒などしていない。
深呼吸してバクバクする心臓を静め、マチェットを握る力を強くする。
距離は十メートルくらい。間に躓きそうなものはなし。ゴブリンはこちらに気づいてない。
──やるぞ、オレ!
木の陰から飛び出し、あとちょっとと言うところでゴブリンが振り返った。
「遅い!」
速度を緩めることなく通りすぎ様にフルスイング。肉を抉る感触がした。
そのまま走り抜け、三メートルくらいして振り返った。
マチェットはゴブリンの後頭部に当たったようで、うつ伏せになってピクピクと痙攣していた。
「止めを──」
罪悪感とグロ耐性がすぐに次の行動を教えてくれた。
マチェットを背中に刺す。さらに刺す。刺して刺して刺してやる。
やがてゴブリンの息の根が止まった。
「クソったれが! ゴブリンがなんぼのもんじゃい!」
乱れた息で叫んでやる。
なんてやっている場合じゃない。逃げなきゃ!
ここではセフティーホームには入れない。ゴブリンの気配から遠く離れたところじゃないとダメだ。
脇腹が痛くなりながら一キロくらい離れ、大きな岩の上でセフティーホームへと入った。
玄関に現れると、そのまま倒れてゼーゼーと息をついた。
「……へへ。一匹倒して五千円ゲットだぜ……」
命を賭けて五千円とは割りに合わない気もするが、倒せたことが嬉しかった。オレ、やるじゃん!
異世界に転移してゴブリンを倒した。アラサーなオレがだぜ? フフ。なんか狩猟魂に火がついた感じだぜ。
狩猟じゃなく駆除だろうって突っ込みは止めてくれ。今は勝利に酔わせてくれよな。アハハ!
──ぐぅ~。
緊張が解けたのか、腹の虫が鳴り出した。
「勝利を祝してダンダンの焼き肉弁当にビールをつけてもいいよな?」
しばらくカップラーメンとか言ってごめんなさい。昨日のオレよ、今日は焼き肉弁当とビールをいただくオレをお許しください。
ってことで、タブレットをつかんでダンダンの焼き肉弁当(買えるんかい!)と三五缶のビールを買った。
「あ~いい匂いだ」
なぜかできたてなのはご愛敬。まずはビールをいただき、焼き肉弁当を一気に食い尽くした。
残りのビールを飲み干し、一息つく。
「腹一杯食ってビールを飲むと、また明日がんばれると思うんだからやっすいよな、オレって」
しばし幸せな余韻に浸り、服を脱いで風呂に入った。
今日は十分くらいで上がり、三五缶をもう一缶買ってタブレットをつかんだ。
「やっば銃は必要だよな~」
今日は一匹で油断してたから勝てたようなもの。二匹以上ではまだ勝てる気にならないぜ。
「まだ五万円以上あるが、これは万が一のために使えないな。十万円貯めてから拳銃を買うか。今度は新品のをな」
拳銃の整備もよくわからない。まあ、火薬の煤を拭くくらいはできるが、他はどうしたらいいかちんぷんかんぷん。半年で交換したほうがいいのかもな。
「十万円か~」
二十匹殺せばいい計算だが、食費を考えたら三十匹は倒しておかないとダメだろうな。毎日ビール飲みたいし。
「いやいや、先走るな、オレ。しばらくは体力と気配察知の強化だろう」
堅実に、油断せず、命大事に、だ。
「しっかし、こうして探すと拳銃っていっぱいあるな~」
一つの拳銃でもいろんなバリエーションがあり、年代があり、新旧があり、安いのや高いのがある。
こっちとら素人なんだからゴブリンに適したものか書いておけよな。
「最新ので使いやすいのがいいよな。それがわかれば悩んでねーよ」
イカンな。一人暮らししてから一人言が多くなった。孤独でひねくれる前に現地の人と会わないとな。言葉はしゃべれてもコミュ症になったら寂しさで死ぬわ。
「ふわ~。眠っ」
拳銃の選択はまた明日だ。しっかり眠って明日もがんばろう。
歯ブラシと歯磨き粉、そしてコップを買ってユニットバスへ向かった。
この世界に歯医者などないんだろうから歯は大事にしないとな。
「少し休むか」
無理してもいいことはない。逃げる体力を回復させておかないとな。
ペットボトルを出して半分くらい飲んで一息ついた。
「ゴブリンの気配は近いな」
周囲を警戒しながらゴブリンの気配を探る。なかなかどうして気を使うぜ。
ただ、探っていたお陰か、ゴブリンの気配が鮮明になってきている。サポート能力の中で一番優れてるんじゃないか?
「あっちに四。あっちに六。あっちに八。かかなり遠いところに複数固まっているのが感じるな」
気配との距離がわかってくれば気配感知範囲がわかるかもしれんぞ。
残りを飲み干し、一旦セフティーホームへ。水を補充してから一匹のところへと向かった。
進むこと五分。ゴブリンの形がわかるくらいの気配を感じた。
「……これ、ゴブリン相手にはチートじゃね……?」
相手の位置がわかるとか、ゴブリンが知ったら激おこプンプン丸になるぞ。
「いや、落ち着け。わかるってだけで倒せるなら苦労しない。殺す手段がなければ宝チートの持ち腐れだ」
今は体力と気配察知の強化だ。
「気配はしゃがんでいるな? また死肉漁りか?」
慎重に、周囲を警戒しながらゴブリンの背後から近づいていく。
……穴を掘っているのか……?
木の枝を地面に何度も突き刺し、周りの警戒などしていない。
深呼吸してバクバクする心臓を静め、マチェットを握る力を強くする。
距離は十メートルくらい。間に躓きそうなものはなし。ゴブリンはこちらに気づいてない。
──やるぞ、オレ!
木の陰から飛び出し、あとちょっとと言うところでゴブリンが振り返った。
「遅い!」
速度を緩めることなく通りすぎ様にフルスイング。肉を抉る感触がした。
そのまま走り抜け、三メートルくらいして振り返った。
マチェットはゴブリンの後頭部に当たったようで、うつ伏せになってピクピクと痙攣していた。
「止めを──」
罪悪感とグロ耐性がすぐに次の行動を教えてくれた。
マチェットを背中に刺す。さらに刺す。刺して刺して刺してやる。
やがてゴブリンの息の根が止まった。
「クソったれが! ゴブリンがなんぼのもんじゃい!」
乱れた息で叫んでやる。
なんてやっている場合じゃない。逃げなきゃ!
ここではセフティーホームには入れない。ゴブリンの気配から遠く離れたところじゃないとダメだ。
脇腹が痛くなりながら一キロくらい離れ、大きな岩の上でセフティーホームへと入った。
玄関に現れると、そのまま倒れてゼーゼーと息をついた。
「……へへ。一匹倒して五千円ゲットだぜ……」
命を賭けて五千円とは割りに合わない気もするが、倒せたことが嬉しかった。オレ、やるじゃん!
異世界に転移してゴブリンを倒した。アラサーなオレがだぜ? フフ。なんか狩猟魂に火がついた感じだぜ。
狩猟じゃなく駆除だろうって突っ込みは止めてくれ。今は勝利に酔わせてくれよな。アハハ!
──ぐぅ~。
緊張が解けたのか、腹の虫が鳴り出した。
「勝利を祝してダンダンの焼き肉弁当にビールをつけてもいいよな?」
しばらくカップラーメンとか言ってごめんなさい。昨日のオレよ、今日は焼き肉弁当とビールをいただくオレをお許しください。
ってことで、タブレットをつかんでダンダンの焼き肉弁当(買えるんかい!)と三五缶のビールを買った。
「あ~いい匂いだ」
なぜかできたてなのはご愛敬。まずはビールをいただき、焼き肉弁当を一気に食い尽くした。
残りのビールを飲み干し、一息つく。
「腹一杯食ってビールを飲むと、また明日がんばれると思うんだからやっすいよな、オレって」
しばし幸せな余韻に浸り、服を脱いで風呂に入った。
今日は十分くらいで上がり、三五缶をもう一缶買ってタブレットをつかんだ。
「やっば銃は必要だよな~」
今日は一匹で油断してたから勝てたようなもの。二匹以上ではまだ勝てる気にならないぜ。
「まだ五万円以上あるが、これは万が一のために使えないな。十万円貯めてから拳銃を買うか。今度は新品のをな」
拳銃の整備もよくわからない。まあ、火薬の煤を拭くくらいはできるが、他はどうしたらいいかちんぷんかんぷん。半年で交換したほうがいいのかもな。
「十万円か~」
二十匹殺せばいい計算だが、食費を考えたら三十匹は倒しておかないとダメだろうな。毎日ビール飲みたいし。
「いやいや、先走るな、オレ。しばらくは体力と気配察知の強化だろう」
堅実に、油断せず、命大事に、だ。
「しっかし、こうして探すと拳銃っていっぱいあるな~」
一つの拳銃でもいろんなバリエーションがあり、年代があり、新旧があり、安いのや高いのがある。
こっちとら素人なんだからゴブリンに適したものか書いておけよな。
「最新ので使いやすいのがいいよな。それがわかれば悩んでねーよ」
イカンな。一人暮らししてから一人言が多くなった。孤独でひねくれる前に現地の人と会わないとな。言葉はしゃべれてもコミュ症になったら寂しさで死ぬわ。
「ふわ~。眠っ」
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この世界に歯医者などないんだろうから歯は大事にしないとな。
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