ダメ女神からゴブリンを駆除しろと命令されて異世界に転移させられたアラサーなオレ、がんばって生きていく!

AA1

文字の大きさ
46 / 459

46 許可

しおりを挟む
 ゴルグの家は村でも大きいものだった。

 いや、巨人だからってことではなく、食堂兼居間の他に部屋が三つもあり、外には作業場まであるのだから大きいと言っても差し支えないだろう。

「おれら巨人は人間に重宝されるからな、そこそこ稼ぎはいいんだよ」

 確かに重機がないのだから巨人は必要とされるだろう。ちゃんと意志疎通できて指先も器用。戦いともなれば決戦兵器ともなる。頭が使える者からしたら多少金を払っても味方でいてもらいたいだろうよ。

「子供も三人いるし、人間とは仲良くやれてんだな」

 三人の子供が着ている服は上等、とまではいかなくても縫製がしっかりしたものだ。迫害されてたらとても着れたりしないだろうよ。

「そうだな。辺境だからこそおれたちは必要とされる。辺境伯様も話の通じるお方だからいい暮らしをさせてもらってるよ」

 よかった。傲慢な貴族じゃないようで。まあ、会うこともないだろうが、話の通じる貴族なら絡まれることもなかろうて。

「子供たちはまだ小さいんだな」

 見た感じ、六歳、四歳、赤ん坊だ。ちなみに男、女、男だと。

「まあ、村じゃ若夫婦に入るからな」

 確かに三十歳そこらなら若夫婦になるか。いや、この世界でそうなのかは知らんけど。

 と言うか、そのお子さんたちが興味津々に見てくるんですが。オモチャじゃないんだから扱いには注意してね。

「すまんな。村には人間もいるが、安全のため分けている。だから人間を近くで見るのは滅多にないんだよ」

 そりゃふんべつもつかん子供のところにいくとか、死ににくるようなものだ。六歳とは言え、オレの倍はある。確実に手足をもがれるわ。

 ……今はラダリオンに抱えられてるから安全は守られてますけどね……。

「やはり住むなら人間のほうがよさそうだな。うちだとガキどもに潰されそうだから」

「やはりそんなことがあるのか?」

「まーな。だから子供は八歳になるまで村の外には出れん決まりだ。出るとしても大人がついてないと罰せられる。人間が住むところには兵士がいるからな」

 それ監視じゃん。本当に上手くやれてんだよね?

「住むとこは村の外で構わないよ。ラダリオンもいるしな。その許可をもらえるようにお願いしてくれ」

「そうか。なら、挨拶ついでに村長に話をするか」

 挨拶は人と人とのコミュニケーション。引っ越し、ではないが、しばらく厄介になるんだから挨拶はしておくべきだろう。手土産とか必要か?

「村長は人間なんだ」

「ラザニア村のはな。こちらには長老が纏めている。じゃあ、いってみるか」

 ってことでゴルグ親子ともども人間の区間へと向かった。

 巨人の区間と人間の区間の間には人工的な川があり、巨人の子供には飛び越えろない幅があり、十メートルくらい高台となっていた。

 ……これ、やっぱり監視じゃん……。

 カランカランと鈴(鐘か?)を鳴らすと、兵士風の中年男が階段橋の端に現れた。

「ゴルグ、よく生きてたな!」

「ああ、こっちの二人に助けてもらった。村長はいるかい? ちょっと呼んできてくれ」

「ああ、わかった。あとで生還祝いに一杯やろう」

「おう。いい酒もらったから振る舞うよ」

 夜の晩酌用に渡したワインのことだろう。五、六本くらい渡したからな。

 兵士の男が下がり、一分くらいして白髪混じりの初老の男が何人かの男たちを連れてやってきた。

「ゴルグ。よく戻ってきたなのぉ。心配してたぞ」

「心配かけて申し訳ありません。ボロドの木を探していたらミドに噛まれまして、こっちの二人に助けてもらいました。その礼で二人をしばらく村に置いてくれませんか? 二人はゴブリンを狩るのを生業としてるので村としても助かると思うんで」

 随分下手に出るな。年齢による敬いか?

「ラダリオン。下ろしてくれ。さすがに上からは失礼だからな」

 皆さんに抱えられながらはさすがに恥ずかしいです。

「……わかった」

 しょうがなくと言った感じで下ろしてもらい、階段橋の中頃まで降りてきた村長の前まで上がっていった。

「初めまして。タカトと言います。あちらはわたしの相棒でラダリオン。ゴブリンを駆除する生業をしております」

 握手文化ではないので、日本人らしく四十五度のお辞儀をした。

「随分と礼儀正しいのぉ。外国の方か?」

「はい。ですが、ゴブリンを駆除する日々。東に西に動いているので故郷がどこかも忘れました。人と会うのも久しぶりです。もう二度と会えないかと思うほど山をさ迷ってました」

 ミシニーに会うまではそう思ってたよ。

「それは難儀したの。ゴブリンを狩ってくれるならこちらも歓迎だ。あいつらは本当に厄介だからのぉ」

「この辺もいるんですか?」

「ああ、うんざりするほどおるよ。十数年に一度は王が立つ。辺境伯様も苦労しておるよ」

 オレは十数年に一度に当たったようだ。クソ女神め、とんでもないところに転移させやがって!

「王ならここから数日歩いた先の廃村で倒しました。冒険者のミシニーと言うエルフと会いましたから聞いてもらえばわかるかと思いますよ」

「王を倒しただと!?」

「通常のゴブリンの三、四倍の体格をしていたから王だとは思いますよ」

 まあ、王だと名乗ったわけじゃないから本当かどうかは知らんけど。

「お主は勇者かなにかか?」

「わたしはしがないゴブリン駆除員。素手で戦ったらそこの兵士殿にも負けますよ。王を倒せたのは入念な準備をして罠を仕掛け、ラダリオンと協力したから倒せたことです。通常は五、六匹のを狙うのがやっとです」

 ちなみに今は銃はジャケットの下にグロック19とナイフくらいしか装備してません。ラダリオンに抱えられてたので。

「そ、そうか。それだけの者なら歓迎しよう。ゴルグ。あとでお前からも話を聞く。タカト殿のことは許可しよう。お前が面倒をみろ」

 と、階段橋を上がっていく村長さん。

 どうせミシニーからバレるだろうから王を倒したことは言ったが、面倒にならないといいな~。

 まっ、なるようになる。いつでも逃げられるようにしておこう。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

レベル1のフリはやめた。貸した力を全回収

ソラ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ち、ソラ。 彼はレベル1の無能として蔑まれ、魔王討伐を目前に「お前のようなゴミはいらない」と追放を言い渡される。 だが、傲慢な勇者たちは知らなかった。 自分たちが人間最高峰の力を維持できていたのは、すべてソラの規格外のステータスを『借りていた』からだということを。 「……わかった。貸していた力、すべて返してもらうよ」 契約解除。返還されたレベルは9999。 一瞬にして力を失い、ただの凡人へと転落しパニックに陥る勇者たち。 対するソラは、星を砕くほどの万能感を取り戻しながらも、淡々と宿を去る。 静かな隠居を望むソラだったが、路地裏で「才能なし」と虐げられていた少女ミィナを助けたことで、運命が変わり始める。 「借金の利息として、君を最強にしてあげよう」 これは、世界そのものにステータスを貸し付けていた最強の『貸与者』が、不条理な世界を再定義していく物語。 (本作品はAIを活用して構成・執筆しています)

リストラされた42歳、確率の向こう側へ。~なぜか俺の選択肢がすべて正解になる件~

RIU
ファンタジー
「君には今月いっぱいで席を空けてもらいたい」 42歳、独身、社畜。会社のために尽くしてきた柏木誠は、理不尽な理由でリストラされた。 絶望の中、雨の神社で野良猫を助けた彼は、不思議な光と共に【確率固定】という異能――「無意識に正解を選び続ける豪運」を手に入れる。 試しに買った宝くじは10億円当選。 復讐心に燃える元上司を袖にし、元天才投資家の美女をパートナーに迎えた柏木は、その豪運で現代社会を無双していく。 「俺の選択に間違いはない。なぜなら、確率の方が俺に合わせるからだ」 枯れたおじさんが資産と余裕を手に入れ、美女たちに頼られながら、第2の人生を謳歌する痛快サクセスストーリー!

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

ウルティメイド〜クビになった『元』究極メイドは、素材があれば何でも作れるクラフト系スキルで魔物の大陸を生き抜いていく〜

西館亮太
ファンタジー
「お前は今日でクビだ。」 主に突然そう宣告された究極と称されるメイドの『アミナ』。 生まれてこの方、主人の世話しかした事の無かった彼女はクビを言い渡された後、自分を陥れたメイドに魔物の巣食う島に転送されてしまう。 その大陸は、街の外に出れば魔物に襲われる危険性を伴う非常に危険な土地だった。 だがそのまま死ぬ訳にもいかず、彼女は己の必要のないスキルだと思い込んでいた、素材と知識とイメージがあればどんな物でも作れる『究極創造』を使い、『物作り屋』として冒険者や街の住人相手に商売することにした。 しかし街に到着するなり、外の世界を知らない彼女のコミュ障が露呈したり、意外と知らない事もあったりと、悩みながら自身は究極なんかでは無かったと自覚する。 そこから始まる、依頼者達とのいざこざや、素材収集の中で起こる騒動に彼女は次々と巻き込まれていく事になる。 これは、彼女が本当の究極になるまでのお話である。 ※かなり冗長です。 説明口調も多いのでそれを加味した上でお楽しみ頂けたら幸いです

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

魔法が使えない落ちこぼれ貴族の三男は、天才錬金術師のたまごでした

茜カナコ
ファンタジー
魔法使いよりも錬金術士の方が少ない世界。 貴族は生まれつき魔力を持っていることが多いが錬金術を使えるものは、ほとんどいない。 母も魔力が弱く、父から「できそこないの妻」と馬鹿にされ、こき使われている。 バレット男爵家の三男として生まれた僕は、魔力がなく、家でおちこぼれとしてぞんざいに扱われている。 しかし、僕には錬金術の才能があることに気づき、この家を出ると決めた。

処理中です...