ダメ女神からゴブリンを駆除しろと命令されて異世界に転移させられたアラサーなオレ、がんばって生きていく!

AA1

文字の大きさ
66 / 459

66 ジンギスカン

しおりを挟む
 その日は村長に会わず、村を出てしばらく歩いたらセフティーホームへと帰った。

 なにも考えないように過ごし、寝る前にサンドバッグを打ち、たっぷりかいた汗をシャワーで流してビールを一缶。気持ちよく眠りへとついた。

 目覚めたらモヤモヤは消えてくれており、今日の準備を整えた。

「ラダリオンは畑の見回りを頼む。オレも村長と話をしたら見回りにいくから」

「……大丈夫?」

「大丈夫だよ」

 心配そうな顔をするラダリオンに笑って答えた。気持ちを切り替えないと死ぬだけだからな。昨日のことは引きずらないさ。

 今日もベネリM4装備にしてリュックサックを背負い外に出た。

 道には誰も往来しておらず、ゴブリンの気配も一キロ内には感じ取れない。完全にオレたちを警戒してるな、これは。

 村に入ると、バイスさんがいた。この人、バズ村担当なんだろうか?

「タカトさん!」

 オレを見つけるなり駆け寄ってくるバイスさん。なによ?

「ありがとうございました! 娘を救ってくださって!」

 娘? じゃあ、昨日の子供はバイスの子供だったんだ。なんの偶然なんやら。

 泣きじゃくるバイスさんを宥め落ち着かせる。

「それで、村にいたゴブリンは狩れましたか? 今はいないようですが?」

「はい。村中探して殺しました。まさか村の中まで入り込まれるとは思いませんでしたよ」

 なんでも畑にはよく出るものの村に侵入されることはここ十年くらいなかったそうだ。

「あいつらは神出鬼没ですからね、どこにでも現れます」

「はい。村も油断してました。これから見回りするように決めました」

 それがいい。子供が被害に遭うのは心が痛むからな。

 村長さんのところに案内してもらい、昨日オレが帰ってからのことを聞き、畑からゴブリンがいなくなったことを話した。

「相当な数がいるとは思ってましたが、四百匹もいましたか」

「ええ。さすがにそれだけ駆除すると逃げられましたがね」

「まったく、厄介な魔物です。すぐ逃げるので我々もほとほと困っておりますよ」

 村長の口から出るのは愚痴ばかり。わからないではないが、相当鬱憤が溜まっているようだ。

「今日、畑を見回ってゴブリンの姿がないなら明日、マルスの町にいってみますよ」

「……そうですか。残念です」

 村長としてはオレに残って欲しいんだろうが、ゴブリンを駆除しなければ成り立たないことは伝わってるはず。体すべてを使って残念がるのみだった。

「では、畑を回って、ゴブリンを狩りながらマルスの町に向かいます」

 そう告げて村長さんの家をあとにした。

「コルスの町にはおれからも報告しておきますね」

「ええ、お願いします」

 子供のことを聞きたかったが、あえて触れずに村の裏から畑に下りてブルーベリーのようになる葡萄畑へと向かった。

 こちらは木が低く、雑草が生えてないからかゴブリンは丸でなし。しょうがないので畑を回ることなくはせず、農道っぽい細い道に出て北に向かってみた。

 ゴブリンはいないが他の魔物がいるかもしれないと周囲を警戒しながら歩いていると、冒険者らしい一団が道に生えている草を摘んでいた。

 これはあれか? 冒険者の定番クエスト、薬草集めか?

 あちらもオレに気がついたようで、草を摘むのを止めてこちらへと向いた。

「冒険者ギルドのギルドマスターからゴブリン退治を依頼された者だ。この辺でゴブリンを見たら教えてもらいたいんだが?」

 ギルドマスターと言ったことで警戒はなくなり、肩の力が落ちたのがわかった。

「ゴブリンならあの山にいるよ」

 冒険者が指を差した方向に目を向ける。

 標高は百メートルくらいだろうか? 広葉樹が多く生えている山だった。

「助かる。あんたらはなんの依頼だい?」

「コトルムの採取だよ」

 それがなんなのかわからないが、わかったような顔で頷き、気をつけてと言って別れた。

 山へと入る前からゴブリンが多くいることはわかっていたが、草木が生えすぎてて入るのが大変そうだ。これはマチェットを持ってきたほうがいいかもしれんな。

 どこから入れそうなところがないかと探してたら運よく獣道を発見。そこから入り、体が完全に隠れたらセフティーホームへと戻った──ら、ラダリオンも戻っていた。

「休憩か?」

「うん。ゴブリンがいなくて歩き疲れた」

「オレもだよ」

 二人で休憩しながらお手製の地図を開いてお互いの位置を確認し合う。

「合流してこの山を攻めてみるか」

 ラダリオンはまだ葡萄畑にいるみたいだが、位置からして一キロも離れてない感じだ。合流するのにそう時間はかからないだろうよ。

「わかった」

 ってことで名犬ラダリオンに合流してもらった。

「じゃあ、頼むよ」

 ラダリオンに元に戻ってもらい、マチェットで山を伐り拓いてもらった。

 ブンブンとマチェットを振り回すラダリオンのあとに続き、ゴブリンがいたら散弾を食らわせてやる。

 昼までに三十匹は駆除でき、昼を挟んで午後も三十匹は駆除できた。

「タカト。町が見えるよ」

 夕方になり、終了しようかと思ってたらラダリオンがオレをつかんで持ち上げた。

「たぶん、あれがマルスの町だな」

 そう高くない城壁に囲まれた町で、そこそこ大きさがあった。

 町の周りには山羊か羊だろうか? 白い生き物が点々と見える。畜産が盛んなところなのかな?

「今日はジンギスカンにするか」

 なんか見てたらジンギスカンが食べたくなってきたよ。

「ジンギスカン?」

「羊の肉を丸みの帯びた鉄板で焼く料理だよ。いい肉は美味いんだぞ」

 飲み会でいったジンギスカン屋、美味かったっけな~。

 ぐぅ~とラダリオンが腹の虫が鳴き出した。

「アハハ。じゃあ、帰るか」

「うん!」

 一旦下ろしてもらい、セフティーホームへと帰った。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

レベル1のフリはやめた。貸した力を全回収

ソラ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ち、ソラ。 彼はレベル1の無能として蔑まれ、魔王討伐を目前に「お前のようなゴミはいらない」と追放を言い渡される。 だが、傲慢な勇者たちは知らなかった。 自分たちが人間最高峰の力を維持できていたのは、すべてソラの規格外のステータスを『借りていた』からだということを。 「……わかった。貸していた力、すべて返してもらうよ」 契約解除。返還されたレベルは9999。 一瞬にして力を失い、ただの凡人へと転落しパニックに陥る勇者たち。 対するソラは、星を砕くほどの万能感を取り戻しながらも、淡々と宿を去る。 静かな隠居を望むソラだったが、路地裏で「才能なし」と虐げられていた少女ミィナを助けたことで、運命が変わり始める。 「借金の利息として、君を最強にしてあげよう」 これは、世界そのものにステータスを貸し付けていた最強の『貸与者』が、不条理な世界を再定義していく物語。 (本作品はAIを活用して構成・執筆しています)

リストラされた42歳、確率の向こう側へ。~なぜか俺の選択肢がすべて正解になる件~

RIU
ファンタジー
「君には今月いっぱいで席を空けてもらいたい」 42歳、独身、社畜。会社のために尽くしてきた柏木誠は、理不尽な理由でリストラされた。 絶望の中、雨の神社で野良猫を助けた彼は、不思議な光と共に【確率固定】という異能――「無意識に正解を選び続ける豪運」を手に入れる。 試しに買った宝くじは10億円当選。 復讐心に燃える元上司を袖にし、元天才投資家の美女をパートナーに迎えた柏木は、その豪運で現代社会を無双していく。 「俺の選択に間違いはない。なぜなら、確率の方が俺に合わせるからだ」 枯れたおじさんが資産と余裕を手に入れ、美女たちに頼られながら、第2の人生を謳歌する痛快サクセスストーリー!

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

ウルティメイド〜クビになった『元』究極メイドは、素材があれば何でも作れるクラフト系スキルで魔物の大陸を生き抜いていく〜

西館亮太
ファンタジー
「お前は今日でクビだ。」 主に突然そう宣告された究極と称されるメイドの『アミナ』。 生まれてこの方、主人の世話しかした事の無かった彼女はクビを言い渡された後、自分を陥れたメイドに魔物の巣食う島に転送されてしまう。 その大陸は、街の外に出れば魔物に襲われる危険性を伴う非常に危険な土地だった。 だがそのまま死ぬ訳にもいかず、彼女は己の必要のないスキルだと思い込んでいた、素材と知識とイメージがあればどんな物でも作れる『究極創造』を使い、『物作り屋』として冒険者や街の住人相手に商売することにした。 しかし街に到着するなり、外の世界を知らない彼女のコミュ障が露呈したり、意外と知らない事もあったりと、悩みながら自身は究極なんかでは無かったと自覚する。 そこから始まる、依頼者達とのいざこざや、素材収集の中で起こる騒動に彼女は次々と巻き込まれていく事になる。 これは、彼女が本当の究極になるまでのお話である。 ※かなり冗長です。 説明口調も多いのでそれを加味した上でお楽しみ頂けたら幸いです

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...