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90 いい肥やし
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雨は四日降り続け、五日目になって止んでくれた。
梅雨の中休みたいなもんだが、カインゼルさんの話では大雨が続いたらまた同じくらい晴れが続き、これが交互に数回続くそうだ。
なんとも面倒な季節ではあるが、自然に文句を言っても仕方がない。この晴れ間を活かしてゴブリン駆除に勤しむとしようではないか。
「雨上がりはゴブリンが増えるんでよろしく頼むよ」
村長のところに挨拶にいったらそんなことを言われた。
ゴブリンも雨のときはエサ探しができないようで、村の近くまで現れたり鶏などの小型の家畜を襲ったりするそうだ。
なるほど。道理で村の周りにちらほらといるわけだ。
「なるべく殺したゴブリンは道に出すようにしますが、畑の奥にいるようなのは村の方々で片付けてもらえると助かります」
「ああ。ゴブリンが減ってくれるなら喜んで片付けるよ。あいつらにはほとほと困らされておるからのぉ」
領主、仕事しろ! とか言えたらいくぶんかは溜飲も下がるだろうが、ここは王国で貴族が領地を支配している。不敬罪で首が飛ぶところ(イメージです)。下手なことは言えんだろうよ。
「ご期待に添えるようがんばって駆除してきますよ」
そう村長に伝え、村の外に向かった。
「師匠! 早くいこう!」
今日はラザニア村が所有している畑を中心に回るので、マルグも連れていくことにしたのだ。
「わかってるよ。まずは作戦会議だ」
あるていど話はしているが、大事なことは二度言うべき。地面にラザニア村の周辺の概略図をマチェットで描いた。
「今日はカインゼルさんに稼がせるためにゴブリンを駆除する。ラダリオンは北東からゴブリンを追いやる。オレとマルグは西から。カインゼルはこの休耕地で迎い撃ってください」
二人を見ると、了解とばかりに頷いた。マルグは「ふんふん」と雰囲気に頷いている。
「無線機のスイッチを入れてください」
各自が持つ交互通信ができる業務用無線機のスイッチをオンにさせた。
元の世界なら免許が必要だが、ここではそんなもの気にする必要もない。まあ、変な電波を流しているヤツはいるかもしれないが、無線機で受信できるわけではないのだから問題はないのだ。
三十年の人生でオモチャのトランシーバーくらいしか使ったことなくて使い方に苦労したが、四日もあればなんとか使えるようになれた。
少し離れ、二人と試験通信。問題ないのでそれぞれの配置場所へと向かった。
「マルグ。駆除に出たらお前を子供扱いはしない。一人前の男として扱う。泣き言は聞かないからな」
「うん、わかった! 泣いたりしない!」
元の世界なら六歳なんて甘ったれな年頃だろうが、弱肉強食な時代で育った子供は危険に敏感で、大人になるのが早かった。
初めて会った頃の洟垂れ小僧ではなくなり、表情が引き締まった男の顔に──とまではいかないが、二、三歳成長したかのような顔つきとなっていた。
所定の場所に到着するまでゴブリンの気配はあったが、気づいてない振りをして通りすぎる。
「こちら00。配置についた」
親機になるオレが00になり、ラダリオンは01。カインゼルさんが02だ。
「01。あたしも配置についた」
「02。わしも配置についた」
「では、作戦開始します」
レーザーポインターを取り出し、ゴブリンが隠れている場所を差した。
「マルグ。あそこに泥玉を撃ち込め」
「わかった!」
スリングショットを構えて草むらに泥玉(泥の玉を丸めて火で焼いて固めたもの)を撃ち込んだ。
当たったら人間でも昇天しそうな威力だが、今回は追いやるのが目的。外すようにレーザーを当ててます。
さらに撃たせてゴブリンを追いやっていく。
「マルグ、いくぞ」
巨人が住む村が所有する畑なだけに主要な道は巨人が通れるくらいの幅がある。なのでマルグに蹴飛ばされない距離を保ちながらゴブリンを追いやっていく。
「こちら00。二十匹以上を追いやった」
「01。かなりの数を追いやった」
「02了解」
ラダリオンと連絡を取り合いながらカインゼルがいる休耕地へと追いやっていく。
「こちら02。ゴブリンの熱を捕らえた。数、不明。密集しすぎてわからない」
ゴブリンがそれだけいることことにも驚きだが、それだけの胃を満たすエサがいることにも驚く。これ、ゴブリンがいなくなったら不味いことが起きるでしょう!
「こちら02、射程に入った。攻撃に入る」
「00了解。01、02の射程に入るなよ」
「01了解」
カインゼルさんにはMINIMIを持たせ、撃ち尽くしたらスコーピオンに持ち換えるように指示してある。
すぐに銃撃音がし、報酬が入ってくる。
「02。人が近寄らないようにしろ」
「02了解」
「マルグ! 人がきたら近づかないように叫べよ!」
「わかった!」
畑に出ないよう村長には言ってあるが、どこにも話を聞かないヤツはいるもの。邪魔だと言って撃ち殺すわけにもいかないんだから配慮しなくちゃならないのだ。
「こちら01。こちらにゴブリンが逃げてきた」
「02に当たらないよう駆除しろ」
「01了解」
ラダリオンがいるほうは森だ。そちらに逃げるだろうと思ってベネリM4を持たせ、撃ち漏らしを駆除してもらう。
MINIMIの銃声からスコーピオンの銃声に変わったので休耕地に近づいた。
「マルグ! ゴブリンの足を狙え!」
こちらにも逃げてきたのでマルグに足を狙わせ、オレもカインゼルさんに殺させるために足を狙っていった。
すべてを駆除はできなかったが、三十万円以上は倒したようだ。
「マルグ。ゴブリンを集めてくれ」
「わかった!」
直接触るのは嫌だろうと火バサミを渡してある。ラダリオンサイズになってるから一・二メートルくらいのゴブリンを挟むことは問題ない。
ギャーギャー騒ぐゴブリンが火バサミで挟み、約二十匹くらい集まった。
「よくやった、マルグ。昼は特別に美味いものを食わせてやるぞ」
「やったー!」
そこはまだまだ子供である。でも、近くで飛び跳ねないで。怖いから。
カインゼルさんを呼び、スコーピオンで止めを刺してもらった。
入った報酬から百五十匹は倒した感じか。経費を差し引いても午前中の稼ぎとしてはまずまずだろう。
「昼までゴブリンを片付けますか」
休耕地のいい肥やしになるだろうよ。
梅雨の中休みたいなもんだが、カインゼルさんの話では大雨が続いたらまた同じくらい晴れが続き、これが交互に数回続くそうだ。
なんとも面倒な季節ではあるが、自然に文句を言っても仕方がない。この晴れ間を活かしてゴブリン駆除に勤しむとしようではないか。
「雨上がりはゴブリンが増えるんでよろしく頼むよ」
村長のところに挨拶にいったらそんなことを言われた。
ゴブリンも雨のときはエサ探しができないようで、村の近くまで現れたり鶏などの小型の家畜を襲ったりするそうだ。
なるほど。道理で村の周りにちらほらといるわけだ。
「なるべく殺したゴブリンは道に出すようにしますが、畑の奥にいるようなのは村の方々で片付けてもらえると助かります」
「ああ。ゴブリンが減ってくれるなら喜んで片付けるよ。あいつらにはほとほと困らされておるからのぉ」
領主、仕事しろ! とか言えたらいくぶんかは溜飲も下がるだろうが、ここは王国で貴族が領地を支配している。不敬罪で首が飛ぶところ(イメージです)。下手なことは言えんだろうよ。
「ご期待に添えるようがんばって駆除してきますよ」
そう村長に伝え、村の外に向かった。
「師匠! 早くいこう!」
今日はラザニア村が所有している畑を中心に回るので、マルグも連れていくことにしたのだ。
「わかってるよ。まずは作戦会議だ」
あるていど話はしているが、大事なことは二度言うべき。地面にラザニア村の周辺の概略図をマチェットで描いた。
「今日はカインゼルさんに稼がせるためにゴブリンを駆除する。ラダリオンは北東からゴブリンを追いやる。オレとマルグは西から。カインゼルはこの休耕地で迎い撃ってください」
二人を見ると、了解とばかりに頷いた。マルグは「ふんふん」と雰囲気に頷いている。
「無線機のスイッチを入れてください」
各自が持つ交互通信ができる業務用無線機のスイッチをオンにさせた。
元の世界なら免許が必要だが、ここではそんなもの気にする必要もない。まあ、変な電波を流しているヤツはいるかもしれないが、無線機で受信できるわけではないのだから問題はないのだ。
三十年の人生でオモチャのトランシーバーくらいしか使ったことなくて使い方に苦労したが、四日もあればなんとか使えるようになれた。
少し離れ、二人と試験通信。問題ないのでそれぞれの配置場所へと向かった。
「マルグ。駆除に出たらお前を子供扱いはしない。一人前の男として扱う。泣き言は聞かないからな」
「うん、わかった! 泣いたりしない!」
元の世界なら六歳なんて甘ったれな年頃だろうが、弱肉強食な時代で育った子供は危険に敏感で、大人になるのが早かった。
初めて会った頃の洟垂れ小僧ではなくなり、表情が引き締まった男の顔に──とまではいかないが、二、三歳成長したかのような顔つきとなっていた。
所定の場所に到着するまでゴブリンの気配はあったが、気づいてない振りをして通りすぎる。
「こちら00。配置についた」
親機になるオレが00になり、ラダリオンは01。カインゼルさんが02だ。
「01。あたしも配置についた」
「02。わしも配置についた」
「では、作戦開始します」
レーザーポインターを取り出し、ゴブリンが隠れている場所を差した。
「マルグ。あそこに泥玉を撃ち込め」
「わかった!」
スリングショットを構えて草むらに泥玉(泥の玉を丸めて火で焼いて固めたもの)を撃ち込んだ。
当たったら人間でも昇天しそうな威力だが、今回は追いやるのが目的。外すようにレーザーを当ててます。
さらに撃たせてゴブリンを追いやっていく。
「マルグ、いくぞ」
巨人が住む村が所有する畑なだけに主要な道は巨人が通れるくらいの幅がある。なのでマルグに蹴飛ばされない距離を保ちながらゴブリンを追いやっていく。
「こちら00。二十匹以上を追いやった」
「01。かなりの数を追いやった」
「02了解」
ラダリオンと連絡を取り合いながらカインゼルがいる休耕地へと追いやっていく。
「こちら02。ゴブリンの熱を捕らえた。数、不明。密集しすぎてわからない」
ゴブリンがそれだけいることことにも驚きだが、それだけの胃を満たすエサがいることにも驚く。これ、ゴブリンがいなくなったら不味いことが起きるでしょう!
「こちら02、射程に入った。攻撃に入る」
「00了解。01、02の射程に入るなよ」
「01了解」
カインゼルさんにはMINIMIを持たせ、撃ち尽くしたらスコーピオンに持ち換えるように指示してある。
すぐに銃撃音がし、報酬が入ってくる。
「02。人が近寄らないようにしろ」
「02了解」
「マルグ! 人がきたら近づかないように叫べよ!」
「わかった!」
畑に出ないよう村長には言ってあるが、どこにも話を聞かないヤツはいるもの。邪魔だと言って撃ち殺すわけにもいかないんだから配慮しなくちゃならないのだ。
「こちら01。こちらにゴブリンが逃げてきた」
「02に当たらないよう駆除しろ」
「01了解」
ラダリオンがいるほうは森だ。そちらに逃げるだろうと思ってベネリM4を持たせ、撃ち漏らしを駆除してもらう。
MINIMIの銃声からスコーピオンの銃声に変わったので休耕地に近づいた。
「マルグ! ゴブリンの足を狙え!」
こちらにも逃げてきたのでマルグに足を狙わせ、オレもカインゼルさんに殺させるために足を狙っていった。
すべてを駆除はできなかったが、三十万円以上は倒したようだ。
「マルグ。ゴブリンを集めてくれ」
「わかった!」
直接触るのは嫌だろうと火バサミを渡してある。ラダリオンサイズになってるから一・二メートルくらいのゴブリンを挟むことは問題ない。
ギャーギャー騒ぐゴブリンが火バサミで挟み、約二十匹くらい集まった。
「よくやった、マルグ。昼は特別に美味いものを食わせてやるぞ」
「やったー!」
そこはまだまだ子供である。でも、近くで飛び跳ねないで。怖いから。
カインゼルさんを呼び、スコーピオンで止めを刺してもらった。
入った報酬から百五十匹は倒した感じか。経費を差し引いても午前中の稼ぎとしてはまずまずだろう。
「昼までゴブリンを片付けますか」
休耕地のいい肥やしになるだろうよ。
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