ダメ女神からゴブリンを駆除しろと命令されて異世界に転移させられたアラサーなオレ、がんばって生きていく!

AA1

文字の大きさ
182 / 459

182 命の水

しおりを挟む
「──タカト!」

 ビシャの叫びに神域から出てきたことを理解した。

 ダメ女神によるちょびっと移動は数百メートルはあるようで、村の近くの畑の中に立っていた。神の位置把握、GPSより劣るな。

「タカト!」

 ビシャが飛び込んできて押し倒されてしまった。が、あまり痛くない。ちょこっと身体能力が上がったお陰だろう。

 ……神の物差しは人間の物差しとは違うようだ……。

「タカト、無事だったか」

 泣きじゃくるビシャをあやしていたらミシニーもやってきた。

「ああ。偶然にも一万匹駆除した記念に大魔法使いに召喚されて岩の下敷きにならんで済んだよ」

「空間を操れる魔法使いとか何者だ? 転移系魔法は禁忌に近い技だぞ」

「それだけの魔法使いがゴブリン駆除員を束ねてるんだよ」

 歴代の、だけどな。

「かなり力のある組織だったんだな」

 まあ、女神が仕切ってるんだから力はあるわな。それこそ逆らえないくらいに、な。

「村の人たちはどうした?」

「あそこで呆然としてるよ」

 なんとかビシャを抱えながら起き上がり、ミシニーが指差す方向で村の方々が確かに呆然としていた。

「……説明が必要だろうか……?」

「まあ、してたほうがいいだろうな。またここにこようと思ってるなら」

 だよね~。うん。ちゃんと説明しておこう。

 ビシャをミシニーにお願いし、村の方々に説明しに向かった。

 なんだかんだと昼まで説明がかかり、吹き飛んだ洞窟にいってさらに説明し、村をあとにできたのは十六時を過ぎてしまった。ハァー。

「ちょっとパイオニアを出してくる。ちょっと待っててくれ」

 村から数百メートル離れ、歩いて帰りたくないからパイオニアで帰ることにした。初志貫徹できなくてすみません。

「──タカトさん!」

 玄関に現れるなり電動車椅子に曳かれてしまった。い、痛い……。

「す、すみません! すぐに回復させます!」

 温かい力が流れてきて痛みが消えてくれた。

「いったいどうしたんだ?」

「どうしたかじゃありません! タカトさんが神に呼ばれたとアナウンスされて、全然ホームに帰ってこないから心配で心配で。死んじゃったかと思いました……」

 アナウンス? 駆除員には伝わるようになってんのかい?

「そ、そうか。心配させてごめんな。タイミングよく一万匹になって無理矢理呼ばれたんだよ。だから大丈夫。心配することはない。オレらはこれから帰るから詳しくは夜に話すよ。ラダリオンがきたら大丈夫だと伝えてくれ」

 ミリエルを慰めてからパイオニアに乗って外に出た。

「とりあえず、領都に戻ろう」

 領都まで約二十キロ。飛ばせば日没までに帰れるはずだ。

 道は領都まで続いていると言うので道なりに走り、なんとか日没前には到着。宿へ向かった。

「タカト。わたしはマルジィーさんに報告してくる。あとでいくから」

 そう言うミシニーと宿の前で別れた。

「タカト!」

 部屋に入るなりラダリオンからのタックル。胃になにも入れてなくて助かった。入ってたらキラキラとした虹色の吐瀉物を吹き出しているところだ……。

「ラダリオン。それ以上はタカトが死ぬぞ。離してやれ」

 カインゼルさんが助けに入ってくれ、ラダリオンの締めつけから救ってくれた。感謝です。

 ハァー。今日は何回死にそうな目に合うのやら。運が良いのか悪いのか、だぜ。

 なんとか復活して夕飯の用意を始める。ダメ女神にラダリオンやミリエルにタブレットを使えるようにしてもらうんだった。

 ──ピローン! 

 電子音が頭の中に響き渡った。

 ──その願い、叶えてあげましょう。グッドラック、セフティーブレットの諸君!

「今の、女神か?」

 ギョッとするカインゼルさん。どうやらセフティーブレット全員にアナウンスされるようだ。てか、女神がグッドラックってなんだよ? お前が幸運を与える立場だろうが。

「ええ。オレをこの世界に連れてきた元凶です」

「まさか神に触れる日がくるとはな。ありがたいことだ」

 胸に手を当てて神に祈るカインゼルさん。まあ、祈るのは自由。信じるのも自由。どうせ会うこともないんだから夢を見させてあげるとしよう。

「夕飯は皆で摂ってください。オレはホームで休ませてもらいます。今日はもうビール飲んで早く寝たいので。ビシャ。カインゼルさんたちになにがあったか軽くでいいから教えてくれ。詳しいことはオレから話すから」

「……タカト、戻ってくるよね……」

 今にも泣きそうなビシャ。いい関係を築いていると思うが、ここまで心配されるような関わりはなかったと思うんだがな。でも、心配してくれるのは嬉しいものだな。

「大丈夫。戻ってくるよ。ゴブリン駆除しないといけないからな」

 頭を撫でて安心させてやり、ホームに戻った──瞬間に膝から崩れ落ちてしまった。もう限界だわ……。

 このまま眠りに落ちてしまいたいが、それ以上にビールが飲みたい。キンキンに冷えたビールが飲みたい。寝るのはそれからだ。

 必死で中央ルームに向かい、ミリエルに頼んでビールを持ってきてもらった。

「ハァァァ! 美味い。生きてる喜びを感じるぜ!」

 このために生きてると言っても過言ではない。ビールは命の水だ。ってあれ? 水魔法属性だから水分を摂ってたら力が漲ってたのか?

「ミリエル。ラダリオン。心配させて悪かったな」

 オレを心配そうに見る二人に謝った。

「そして、仲間になってくれてありがとな。二人がいてくれるからこうして美味いビールが飲め……」

 こてんと力が抜け、そのまま深い眠りへと落ちてしまった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

レベル1のフリはやめた。貸した力を全回収

ソラ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ち、ソラ。 彼はレベル1の無能として蔑まれ、魔王討伐を目前に「お前のようなゴミはいらない」と追放を言い渡される。 だが、傲慢な勇者たちは知らなかった。 自分たちが人間最高峰の力を維持できていたのは、すべてソラの規格外のステータスを『借りていた』からだということを。 「……わかった。貸していた力、すべて返してもらうよ」 契約解除。返還されたレベルは9999。 一瞬にして力を失い、ただの凡人へと転落しパニックに陥る勇者たち。 対するソラは、星を砕くほどの万能感を取り戻しながらも、淡々と宿を去る。 静かな隠居を望むソラだったが、路地裏で「才能なし」と虐げられていた少女ミィナを助けたことで、運命が変わり始める。 「借金の利息として、君を最強にしてあげよう」 これは、世界そのものにステータスを貸し付けていた最強の『貸与者』が、不条理な世界を再定義していく物語。 (本作品はAIを活用して構成・執筆しています)

リストラされた42歳、確率の向こう側へ。~なぜか俺の選択肢がすべて正解になる件~

RIU
ファンタジー
「君には今月いっぱいで席を空けてもらいたい」 42歳、独身、社畜。会社のために尽くしてきた柏木誠は、理不尽な理由でリストラされた。 絶望の中、雨の神社で野良猫を助けた彼は、不思議な光と共に【確率固定】という異能――「無意識に正解を選び続ける豪運」を手に入れる。 試しに買った宝くじは10億円当選。 復讐心に燃える元上司を袖にし、元天才投資家の美女をパートナーに迎えた柏木は、その豪運で現代社会を無双していく。 「俺の選択に間違いはない。なぜなら、確率の方が俺に合わせるからだ」 枯れたおじさんが資産と余裕を手に入れ、美女たちに頼られながら、第2の人生を謳歌する痛快サクセスストーリー!

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

ウルティメイド〜クビになった『元』究極メイドは、素材があれば何でも作れるクラフト系スキルで魔物の大陸を生き抜いていく〜

西館亮太
ファンタジー
「お前は今日でクビだ。」 主に突然そう宣告された究極と称されるメイドの『アミナ』。 生まれてこの方、主人の世話しかした事の無かった彼女はクビを言い渡された後、自分を陥れたメイドに魔物の巣食う島に転送されてしまう。 その大陸は、街の外に出れば魔物に襲われる危険性を伴う非常に危険な土地だった。 だがそのまま死ぬ訳にもいかず、彼女は己の必要のないスキルだと思い込んでいた、素材と知識とイメージがあればどんな物でも作れる『究極創造』を使い、『物作り屋』として冒険者や街の住人相手に商売することにした。 しかし街に到着するなり、外の世界を知らない彼女のコミュ障が露呈したり、意外と知らない事もあったりと、悩みながら自身は究極なんかでは無かったと自覚する。 そこから始まる、依頼者達とのいざこざや、素材収集の中で起こる騒動に彼女は次々と巻き込まれていく事になる。 これは、彼女が本当の究極になるまでのお話である。 ※かなり冗長です。 説明口調も多いのでそれを加味した上でお楽しみ頂けたら幸いです

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

魔法が使えない落ちこぼれ貴族の三男は、天才錬金術師のたまごでした

茜カナコ
ファンタジー
魔法使いよりも錬金術士の方が少ない世界。 貴族は生まれつき魔力を持っていることが多いが錬金術を使えるものは、ほとんどいない。 母も魔力が弱く、父から「できそこないの妻」と馬鹿にされ、こき使われている。 バレット男爵家の三男として生まれた僕は、魔力がなく、家でおちこぼれとしてぞんざいに扱われている。 しかし、僕には錬金術の才能があることに気づき、この家を出ると決めた。

処理中です...