ダメ女神からゴブリンを駆除しろと命令されて異世界に転移させられたアラサーなオレ、がんばって生きていく!

AA1

文字の大きさ
226 / 459

226 賭け

しおりを挟む
 ドワーフの正しい姿なんてわからんが、身長が低く、ずんぐりむっくりな体。男は全員髭を生やしており、ドワーフと言われたらドワーフな姿をしていた。

 女も似たような体つきだが、なぜか巨乳だ。アンバランスすぎて色気はまったくない。夢も希望もない。あからさまな顔はしないけど。

 ドワーフの対応はルスルさんに任せ、オレらは夕飯の用意をする。いきなり十人以上増えたんだから急がないと間に合わない。ドワーフたちは痩せこけて、子供は今にも死にそうだ。

「ビシャとメビはシチューを頼む。オレはドワーフ用のを作るから」

 もう何日も食べてないのなら胃に優しいものにしないとダメだろう。

 お湯を沸かし、まずはぬるま湯を飲ませ、胃を動かしてやったら重湯を作り、塩を少しだけ振りかけて食わせてやった。

「いきなり食うんじゃないぞ。ゆっくり食え。明日の朝にはもうちょっと味の濃いものを食わせてやるから」

 餓死寸前の者にいきなり固形物は危険だとネットで見たことがある。真実かどうかはわからんが、安全のためにちょっとずつ食わせることにしよう。

「あ、あの、子供が熱を出してて、薬はないでしょうか?」

 若い(?)母親が赤ん坊を抱きなが泣きそうな顔で訊いてきた。

「ビシャ。オレたちのテントに連れてって回復薬を母親と子供に飲ませてやれ。体も拭いてやってオムツを買ってくれ」

 巨人にも赤ん坊がいてオムツを買っているところも見ていた。買い方はわかるはずだ。

「わかった。メビ。お湯を沸かして」

 そっちは二人に任せ、汚れに汚れて臭くなっている残りに体を洗わせた。ほんと、君たち獣より臭いよ。

「貴重な水をすまない」

 一人、ロースランと戦っていた男が土下座して感謝してきた。ドワーフの文化か? 武士か?

「気にする必要はない。まあ、ただではないがあんたたちに気前よく分け与えるくらいには安いものだ。礼はいらんから体を洗え。石鹸もあるから」

 この世界、石鹸が発明されている。まあ、こいつらが知っているかはわからんけど。

 安いタオルを人数分と三個で七十円の石鹸を渡して体を洗わせた。もっとしっかり洗えよ。風呂嫌いの子供か。

 着ていた服もただ臭いだけのボロ切れなので安い下着と安いジャージを買って着させた。

「今日はもう寝ろ。水はそこのを好きに飲んで構わない。用足しはあそこだ」

 百均のジョイントマットを買って敷いてやり、焚き火を起こして眠らせた。

「ミシニー。オレはミーティングにいってくるからあとを頼む」

「了解」

 任せてホームに入った。

 ラダリオンとミリエルも戻っていたのでドワーフのことを伝え、それぞれの状況を教えてもらった。

 カインゼルさんのほうはまだ時間がかかりそうで、ミリエルのほうは完成間近とか。三ヶ所同時に、とはいかないか。これは時間差をつけたほうがいいんだろうか?

 シャワーを浴びて着替えたら外に出た。

 ドワーフたちは眠ったようで、見張りは冒険者たちに任せてオレらは先に休ませてもらい、午前二時に交代した。

 何事もなく朝を迎え、皆が起きる前に朝飯の用意を始める。

 匂いに誘われてか、ドワーフたちが起き出してきた。

「気分の悪い者はいるか?」

「いや、大丈夫だ」

「そうか。じゃあ、顔を洗え。そしたら白湯を飲んで胃を目覚めさせろ」

 今は米に水を入れて五分粥を作っている。たぶん、五分粥になったら塩を振りかけ、溶いた卵を入れて軽くかき混ぜたら完成だ。

 器に盛ってやると、一心不乱に掻き込む野郎ども。安全を考えて食わせてんだからゆっくり食えよな。

「食ったらまた休め。無理に動こうとするな。あと、女たちにも食わせてやれ」

 女と子供はオレたちが使っていたテントで寝かせて、まだ起きてきてない。太陽は上がってきたし、そろそろ起きてくるだろうよ。

「タカトさん。おはようございます」

 料理当番のヤツらと冒険者用の朝飯を作っていたらルスルさんが起きてきた。

 インスタントミルクティーを淹れてやる。

「あなたも小まめですよね」

「オレは裏方が性に合っているんですよ」

 前面に立つとか疲れて仕方がないわ。

 朝飯を終えたらルスルさんと話し合いをする。

「オレらは昼前に出ますが、ドワーフたちはどうするので?」

「それはドワーフが決めることです。我々には面倒を見てやる義務はありませんから」

 社会保障がまるでないところはそんなもの。追い出さないだけマシか。

「……弱い者、無知な者は死ぬしかないか……」

 それが嫌なら強くなれ。なんて言える者はそうはいない。実行できる者はさらに少ない。そして、成し遂げた者は奇跡に近いだろうよ。

「コラウスがいらないと言うならオレがもらいます」

 この世界で生きてみてわかったことに種族には特性があるってこと。なら、人間やエルフにはないドワーフだけが持つ特性があるってことだ。誰もいらないってんならオレがもらってやるよ。

「……あなたは……」

「強い者は弱い者を守れ。弱い者は強い者を支えろ。理不尽に戦う人間の戦い方ですよ」

 人間の特性は集団になれること。纏められること、だと思う。

 それをオレにできるかはわからないが、今はそれができる状況だ。

 今のドワーフはなにも持っていない。食べるものも着るものも安らかに眠る場所もない。恩を売るなら最良の時。希望を持たせるなら今この時をもって他にないはずだ。

 ……いや、人間の最大の特性は、どこまでも汚くなれるってことだな……。

「あなたが先に動かないならオレが先に動きますよ」

 ドワーフは戦力となると信じてオレの未来をチップにして賭けてやるさ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

レベル1のフリはやめた。貸した力を全回収

ソラ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ち、ソラ。 彼はレベル1の無能として蔑まれ、魔王討伐を目前に「お前のようなゴミはいらない」と追放を言い渡される。 だが、傲慢な勇者たちは知らなかった。 自分たちが人間最高峰の力を維持できていたのは、すべてソラの規格外のステータスを『借りていた』からだということを。 「……わかった。貸していた力、すべて返してもらうよ」 契約解除。返還されたレベルは9999。 一瞬にして力を失い、ただの凡人へと転落しパニックに陥る勇者たち。 対するソラは、星を砕くほどの万能感を取り戻しながらも、淡々と宿を去る。 静かな隠居を望むソラだったが、路地裏で「才能なし」と虐げられていた少女ミィナを助けたことで、運命が変わり始める。 「借金の利息として、君を最強にしてあげよう」 これは、世界そのものにステータスを貸し付けていた最強の『貸与者』が、不条理な世界を再定義していく物語。 (本作品はAIを活用して構成・執筆しています)

リストラされた42歳、確率の向こう側へ。~なぜか俺の選択肢がすべて正解になる件~

RIU
ファンタジー
「君には今月いっぱいで席を空けてもらいたい」 42歳、独身、社畜。会社のために尽くしてきた柏木誠は、理不尽な理由でリストラされた。 絶望の中、雨の神社で野良猫を助けた彼は、不思議な光と共に【確率固定】という異能――「無意識に正解を選び続ける豪運」を手に入れる。 試しに買った宝くじは10億円当選。 復讐心に燃える元上司を袖にし、元天才投資家の美女をパートナーに迎えた柏木は、その豪運で現代社会を無双していく。 「俺の選択に間違いはない。なぜなら、確率の方が俺に合わせるからだ」 枯れたおじさんが資産と余裕を手に入れ、美女たちに頼られながら、第2の人生を謳歌する痛快サクセスストーリー!

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

ウルティメイド〜クビになった『元』究極メイドは、素材があれば何でも作れるクラフト系スキルで魔物の大陸を生き抜いていく〜

西館亮太
ファンタジー
「お前は今日でクビだ。」 主に突然そう宣告された究極と称されるメイドの『アミナ』。 生まれてこの方、主人の世話しかした事の無かった彼女はクビを言い渡された後、自分を陥れたメイドに魔物の巣食う島に転送されてしまう。 その大陸は、街の外に出れば魔物に襲われる危険性を伴う非常に危険な土地だった。 だがそのまま死ぬ訳にもいかず、彼女は己の必要のないスキルだと思い込んでいた、素材と知識とイメージがあればどんな物でも作れる『究極創造』を使い、『物作り屋』として冒険者や街の住人相手に商売することにした。 しかし街に到着するなり、外の世界を知らない彼女のコミュ障が露呈したり、意外と知らない事もあったりと、悩みながら自身は究極なんかでは無かったと自覚する。 そこから始まる、依頼者達とのいざこざや、素材収集の中で起こる騒動に彼女は次々と巻き込まれていく事になる。 これは、彼女が本当の究極になるまでのお話である。 ※かなり冗長です。 説明口調も多いのでそれを加味した上でお楽しみ頂けたら幸いです

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

魔法が使えない落ちこぼれ貴族の三男は、天才錬金術師のたまごでした

茜カナコ
ファンタジー
魔法使いよりも錬金術士の方が少ない世界。 貴族は生まれつき魔力を持っていることが多いが錬金術を使えるものは、ほとんどいない。 母も魔力が弱く、父から「できそこないの妻」と馬鹿にされ、こき使われている。 バレット男爵家の三男として生まれた僕は、魔力がなく、家でおちこぼれとしてぞんざいに扱われている。 しかし、僕には錬金術の才能があることに気づき、この家を出ると決めた。

処理中です...