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246 氷の微笑
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場所を館の食堂に移してサイルスさんや居残り組にミロンド砦の戦いを説明した。
「……魔王軍を打ち破るとはな……」
この世界で魔王軍がどれほどの脅威になっているかはわからないが、二、三千匹の軍勢は一領地にしたら完全無欠に脅威でしかない。畑を荒らされただけでも軽く滅ぶだろうよ。
「こちらの出費は大打撃を受けましたけどね」
戦争を経験しているサイルスさんなら戦争にかかる金が凄まじいものになるってわかっているだろうよ。
「軽く四百万円が消えましたよ」
こちらの金額にしたら……いくらだ? 計算できんが一領地には出せない金額になるだろうよ。
「……補填してやることはできんが、コラウスでセフティーブレットの立場をよくできるよう努力しよう」
「それを文章にして領主代理の名前を書いてください。二枚、書いてくださいね。そうすれば今回の働きはコラウス辺境伯にお譲りします」
それはなにより欲しいもの。四百万円以上の価値があるものだ。
「……お前は本当に厄介な男だよ。まさかおれが誘導されるとはな……」
別に誘導したつもりはない。そうなればいいな~と思っただけだ。
「できないと言うならそれでも構いませんよ」
「言えない場所で言わせておいてなにを言う。まったく、意地の悪いヤツだよ」
それは、素直に生きられる世界を創ったダメ女神に言ってください。
「ハァー。ミシャと相談したら書かせるようにする。ミシャも魔王軍を全滅させる者と対立はしたくないだろうからな」
それはオレも同じ。持ちつ持たれつ仲良くやっていきましょう、だ。
「簡易砦のほうでのゴブリン目撃は増えてますか?」
ミロイド砦のことが話し終われば簡易砦のことに話題を移した。
「少し減った感じだな。おそらくミロンド砦に移動したのかもしれない」
まあ、直線距離にしたら四十キロ。ゴブリンなら移動できない距離じゃない。あいつらなに気に長距離移動できるからな。
「それなら大駆除は冬に入って、ゴブリンのエサが減ってからにしましょう。その間、ミロイド砦で大駆除をやりましょうか」
ミロイド砦を去る前にゴブリンの気配は二百匹以上はあった。たぶん、あちらにいたゴブリンはミロンド砦には流れてないはずだ。
「そうだな。簡易砦維持に何人か残してミロイド砦に移すとするか」
その話はあっさり決まり、残す人選はサイルスさんに任せる。
「サイルスさん。シエイラ。別室で話しましょう」
なにをとは言わず、二人にそう告げた。
ここにはミサロもいる。見知らぬ者が、それも緑色の肌していれば嫌でも目立つ。話をしながらもミサロに目がいくのも仕方がないことだ。
二人も察したようで、なにも言わず別室へ移ってくれた。
別室にはオレ、ミサロ、ビシャ、サイルスさん、シエイラの五人。ホームから飲み物とお菓子を取り寄せた。
少しお菓子をつまみ、お茶を飲んで一息。あ、ミズホさんの手紙(羊皮紙)を預かってたんだっけ。
「これ、ミズホさんからです」
「ミズホは元気だったか?」
「ええ、元気でしたよ。羨ましく思えるほどにね」
オレも元気に五十代を迎えたいもんだ。
「それで、話とは?」
場が整ったところでサイルスさんが切り出してきた。
「彼女はミサロ。元魔王軍の幹部で、人間とゴブリンのハーフです」
オレの言葉にサイルスさんとシエイラは息を飲んだが、感情を露にすることはしなかった。
「ミサロと会ったのはゴブリンの王が立ったとき。サイルスさんが王と戦っているときです」
この二人には正直に話しておくべきだろう。でないと、オレたちの関係に不和を生む。まあ、話しても不和が生まれるときもあるだろうが、隠していたほうがより深く拗れる。ここは正直に言うべきだ。
「ミサロは自分を人間だと言い、オレは人間ならこちらにこいと言いました」
言ってしまった責任を果たさなければオレはクズになる。人間である姿をミサロに見せなければゴブリンのほうがマシだと言っているようなものだ。
「女神はミサロを救いたければミサロを縛る魔笛を壊せと教えてくれました」
ちょっと事実を変えさせてもらいます。
「あの場にいた魔王軍は皆殺しにしました。ミサロが死んだようにも偽装もしました。ミサロが元魔王軍の幹部だと知るのはこの場にいる者だけです。もちろん、このことはカインゼルさんたちにも話しますが」
言わないわけにはいかない。仲間にはな。
「領主代理とよく話し合ってください。オレはそれを受け入れますから」
「話し合いはする。だが、女神様が認めたなら受け入れる方向で話を進める。だから、朝になったらいなくなってましたは止めてくれ」
あはは。読まれてーら。
「苦労して築いた居場所をそう簡単に捨てられませんよ」
「覚悟を決めていたヤツがなにを言っても説得力がないんだよ。まったく、一本気なヤツは融通が利かなくて嫌になるよ……」
オレ、別に一本気でもないけどな?
「ミサロとか言ったな。お前はタカトの側にいたいのか?」
「いたいと望んで、いる努力はするわ」
と、なぜかビシャがオレとミサロの間に入ってきた。なによ、突然?
「ハァー。苦労が絶えないな」
なぜかシエイラを見てそんなことを言うサイルスさん。いや、苦労が絶えないのはオレのほうなんですけど。
「がんばってもらえばいいだけですよ」
なぜかオレに微笑を見せるシエイラ。いや、目が笑ってないんだけど! なんなのよ、いったい!?
「……魔王軍を打ち破るとはな……」
この世界で魔王軍がどれほどの脅威になっているかはわからないが、二、三千匹の軍勢は一領地にしたら完全無欠に脅威でしかない。畑を荒らされただけでも軽く滅ぶだろうよ。
「こちらの出費は大打撃を受けましたけどね」
戦争を経験しているサイルスさんなら戦争にかかる金が凄まじいものになるってわかっているだろうよ。
「軽く四百万円が消えましたよ」
こちらの金額にしたら……いくらだ? 計算できんが一領地には出せない金額になるだろうよ。
「……補填してやることはできんが、コラウスでセフティーブレットの立場をよくできるよう努力しよう」
「それを文章にして領主代理の名前を書いてください。二枚、書いてくださいね。そうすれば今回の働きはコラウス辺境伯にお譲りします」
それはなにより欲しいもの。四百万円以上の価値があるものだ。
「……お前は本当に厄介な男だよ。まさかおれが誘導されるとはな……」
別に誘導したつもりはない。そうなればいいな~と思っただけだ。
「できないと言うならそれでも構いませんよ」
「言えない場所で言わせておいてなにを言う。まったく、意地の悪いヤツだよ」
それは、素直に生きられる世界を創ったダメ女神に言ってください。
「ハァー。ミシャと相談したら書かせるようにする。ミシャも魔王軍を全滅させる者と対立はしたくないだろうからな」
それはオレも同じ。持ちつ持たれつ仲良くやっていきましょう、だ。
「簡易砦のほうでのゴブリン目撃は増えてますか?」
ミロイド砦のことが話し終われば簡易砦のことに話題を移した。
「少し減った感じだな。おそらくミロンド砦に移動したのかもしれない」
まあ、直線距離にしたら四十キロ。ゴブリンなら移動できない距離じゃない。あいつらなに気に長距離移動できるからな。
「それなら大駆除は冬に入って、ゴブリンのエサが減ってからにしましょう。その間、ミロイド砦で大駆除をやりましょうか」
ミロイド砦を去る前にゴブリンの気配は二百匹以上はあった。たぶん、あちらにいたゴブリンはミロンド砦には流れてないはずだ。
「そうだな。簡易砦維持に何人か残してミロイド砦に移すとするか」
その話はあっさり決まり、残す人選はサイルスさんに任せる。
「サイルスさん。シエイラ。別室で話しましょう」
なにをとは言わず、二人にそう告げた。
ここにはミサロもいる。見知らぬ者が、それも緑色の肌していれば嫌でも目立つ。話をしながらもミサロに目がいくのも仕方がないことだ。
二人も察したようで、なにも言わず別室へ移ってくれた。
別室にはオレ、ミサロ、ビシャ、サイルスさん、シエイラの五人。ホームから飲み物とお菓子を取り寄せた。
少しお菓子をつまみ、お茶を飲んで一息。あ、ミズホさんの手紙(羊皮紙)を預かってたんだっけ。
「これ、ミズホさんからです」
「ミズホは元気だったか?」
「ええ、元気でしたよ。羨ましく思えるほどにね」
オレも元気に五十代を迎えたいもんだ。
「それで、話とは?」
場が整ったところでサイルスさんが切り出してきた。
「彼女はミサロ。元魔王軍の幹部で、人間とゴブリンのハーフです」
オレの言葉にサイルスさんとシエイラは息を飲んだが、感情を露にすることはしなかった。
「ミサロと会ったのはゴブリンの王が立ったとき。サイルスさんが王と戦っているときです」
この二人には正直に話しておくべきだろう。でないと、オレたちの関係に不和を生む。まあ、話しても不和が生まれるときもあるだろうが、隠していたほうがより深く拗れる。ここは正直に言うべきだ。
「ミサロは自分を人間だと言い、オレは人間ならこちらにこいと言いました」
言ってしまった責任を果たさなければオレはクズになる。人間である姿をミサロに見せなければゴブリンのほうがマシだと言っているようなものだ。
「女神はミサロを救いたければミサロを縛る魔笛を壊せと教えてくれました」
ちょっと事実を変えさせてもらいます。
「あの場にいた魔王軍は皆殺しにしました。ミサロが死んだようにも偽装もしました。ミサロが元魔王軍の幹部だと知るのはこの場にいる者だけです。もちろん、このことはカインゼルさんたちにも話しますが」
言わないわけにはいかない。仲間にはな。
「領主代理とよく話し合ってください。オレはそれを受け入れますから」
「話し合いはする。だが、女神様が認めたなら受け入れる方向で話を進める。だから、朝になったらいなくなってましたは止めてくれ」
あはは。読まれてーら。
「苦労して築いた居場所をそう簡単に捨てられませんよ」
「覚悟を決めていたヤツがなにを言っても説得力がないんだよ。まったく、一本気なヤツは融通が利かなくて嫌になるよ……」
オレ、別に一本気でもないけどな?
「ミサロとか言ったな。お前はタカトの側にいたいのか?」
「いたいと望んで、いる努力はするわ」
と、なぜかビシャがオレとミサロの間に入ってきた。なによ、突然?
「ハァー。苦労が絶えないな」
なぜかシエイラを見てそんなことを言うサイルスさん。いや、苦労が絶えないのはオレのほうなんですけど。
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