393 / 459
393 戦う翼
しおりを挟む
ほんと、お前らなに食って増えてんだよ! なんて叫びたいくらいバッフが奥から出てくる。
そう防御力もなく、魔力抵抗値も低いからMINIMIでもEARでも倒せるからまだいいが、ちょっと出てきやすぎませんかね? つーか、なんで魔物って集団になると死ぬまで向かってくるんだよ? 生きたいなら逃げろよな。
「まったく、一円の得にもならん虐殺だよ」
まあ、これだけ育っていれば魔石も取れるだろうが、バッフを解体する手間を考え──あ、イチゴにさせればいいのか! なんだかちょっとやる気が出てきた!
MINIMIからEARに持ち換え、バッフの波を押し返してやった。
「ふー。アルズライズとビシャは警戒を頼む。オレとメビ、イチゴは弾薬の補給をする」
その場でルンを取り寄せてEARに充填。アサルトライフルのマガジンを補給し、MINIMIを二丁と箱マガジンを八箱取り寄せた。
アルズライズたちと交代して全員の補給が終わればちょっと一休み。気を取り直したらチートタイムでバッフの血を集めて遠くに投げた。
「イチゴ。バッフを裂いて魔石を取り出せ。集めた魔石はこれに入れろな」
マチェットとバケツを取り寄せてイチゴに渡した。
「ラー」
嫌な顔(表情ないけどね)せずバッフを斬り裂いて魔石を取り出すイチゴさん。これだけで一千万円の価値があるぜ。
「アルズライズ。魔石を取り出したバッフを外に捨てるぞ。ビシャは奥の警戒。メビは外の警戒だ」
そう指示を出してバッフを発着場から投げ捨てる。
血がなくなったお陰で二十キロくらいになっている。三段階アップしたオレなら問題なく引きずって発着場から落とせた。
とは言え、十匹も落とせば汗だくだ。つーか、キリがないよ! バッフ、百匹以上いるんだぞ! 夜までやったって終わらねーよ!
「アルズライズ。作戦を変える」
いや、最初から人力でやろうとすんな、だ。
ホームからパレットを差したフォークリフトを持ってきてバッフを押して発着場から落とした。
雪が積もった日、フォークリフトを除雪機代わりにしてたのを思い出したのだ。
エルフ製のフォークリフトは馬力もありタイヤも床をしっかりとつかんでいる。発着場も風化せず、凹凸もないのでサクサクと進む。
昼にはなんとか片付け、千切れた脚はワイパーを買ってアルズライズに落としてもらった。
その日はそれで終了し、キャンプの用意に移った。
バッフの臭いがするのでキャンプには不向きな場所だが、これから移動するのも面倒だ。今日は我慢して一晩夜を明かし、次の日の朝からここの探索を始めた。
プランデットに情報がないので安全のために四人+イチゴで固まって探索することにする。
発着場の幅は約三十メートル。高さは十五メートルと言った感じで、奥行きは今のところ百メートルはあった。
なんのために造られたかさっぱりわからない。造りかけ、ってことか?
奥に進むと、シャッターが現れた。
何ヶ所かが風化して崩れており、なにか骨や蜘蛛の糸が張られていた。
「ビシャ。ヒートソードで蜘蛛の糸を焼いてくれ」
粘着力は高そうだが、どこぞの鬼蜘蛛みたいにサイコロにできる糸ではない。熱で溶けてくれるたんぱく質な糸、だと思う。
「なんの骨だ?」
床に敷き詰められたように骨が積み重なっている。そんなによくかかりにくるのか?
「おそらく、マルドラと呼ばれる鳥だな。死肉を漁ることから不吉な鳥とされている」
カラスみたいなものか?
「どこかに地上に繋がる穴でもあるのか?」
オレたちがここにきたように、マルドラだけが知る穴があっても不思議じゃない、のか? わざわざ穴を通ってきてバッフに食われてたんじゃ世話ないがな。
「女王蜘蛛がいなきゃいいんだがな」
自らフラグを立てたか? なんて心配もなく、奥は倉庫になっており、黒いマンダリンが十数台とマナックの倉庫。そして、弾薬庫があった。
「……軍事基地か……?」
よくよく黒いマンダリンを見れば戦闘仕様だと言うことがわかり、前方にEARの大口径が搭載しており、底に榴弾が発射できる筒があった。
「ミシニーを連れてくるんだったな」
ミサロに睨まれそうだが、これは見過ごせないだろう。戦闘仕様になっているならマナ・セーラも大出力なはず。まあ、燃費は悪いかもしれないが、それでも戦闘仕様のほうが丈夫で無茶もできるはずだ。
「アルズライズ。ビシャと一緒に地上にいってくれるか? ホームを通してラダリオンに出してもらう。ここにあるものをすべて持ち出したい」
これは、イチゴ以上の発見だ。全部いただくぞ。
「それほどのものなのか?」
「戦う翼を得たようなものだ」
ゴブリン駆除員には不要な翼だが、どうせまた狂乱化に遭遇するんだから空から絨毯爆撃っていう手段を持っておくのもいいはずだ。弾薬節約にも繋がるしな。
「……戦う翼か……」
「この狭い空間で練習するより地上の広いところで練習したほうが上達も早いはずだ」
プランデットを使いこなせたらそんなこともないんだが、エルフの文字を覚えるくらいなら手動で覚えたほうが早いはずだ。アルズライズのような感覚派ならな。
「わかった。地上に戻ろう」
「ビシャも頼むな」
「了解。メビ。タカトを守るんだからね」
十歳の女の子に守られるアラサーとか情けなさすぎるな~。
「わかってる。タカトはあたしが守るよ!」
「クク。頼もしいな」
そんなキャラじゃないんだからからかうなや。
まあ、なにはともあれミサロに説明するのが先だな……。
そう防御力もなく、魔力抵抗値も低いからMINIMIでもEARでも倒せるからまだいいが、ちょっと出てきやすぎませんかね? つーか、なんで魔物って集団になると死ぬまで向かってくるんだよ? 生きたいなら逃げろよな。
「まったく、一円の得にもならん虐殺だよ」
まあ、これだけ育っていれば魔石も取れるだろうが、バッフを解体する手間を考え──あ、イチゴにさせればいいのか! なんだかちょっとやる気が出てきた!
MINIMIからEARに持ち換え、バッフの波を押し返してやった。
「ふー。アルズライズとビシャは警戒を頼む。オレとメビ、イチゴは弾薬の補給をする」
その場でルンを取り寄せてEARに充填。アサルトライフルのマガジンを補給し、MINIMIを二丁と箱マガジンを八箱取り寄せた。
アルズライズたちと交代して全員の補給が終わればちょっと一休み。気を取り直したらチートタイムでバッフの血を集めて遠くに投げた。
「イチゴ。バッフを裂いて魔石を取り出せ。集めた魔石はこれに入れろな」
マチェットとバケツを取り寄せてイチゴに渡した。
「ラー」
嫌な顔(表情ないけどね)せずバッフを斬り裂いて魔石を取り出すイチゴさん。これだけで一千万円の価値があるぜ。
「アルズライズ。魔石を取り出したバッフを外に捨てるぞ。ビシャは奥の警戒。メビは外の警戒だ」
そう指示を出してバッフを発着場から投げ捨てる。
血がなくなったお陰で二十キロくらいになっている。三段階アップしたオレなら問題なく引きずって発着場から落とせた。
とは言え、十匹も落とせば汗だくだ。つーか、キリがないよ! バッフ、百匹以上いるんだぞ! 夜までやったって終わらねーよ!
「アルズライズ。作戦を変える」
いや、最初から人力でやろうとすんな、だ。
ホームからパレットを差したフォークリフトを持ってきてバッフを押して発着場から落とした。
雪が積もった日、フォークリフトを除雪機代わりにしてたのを思い出したのだ。
エルフ製のフォークリフトは馬力もありタイヤも床をしっかりとつかんでいる。発着場も風化せず、凹凸もないのでサクサクと進む。
昼にはなんとか片付け、千切れた脚はワイパーを買ってアルズライズに落としてもらった。
その日はそれで終了し、キャンプの用意に移った。
バッフの臭いがするのでキャンプには不向きな場所だが、これから移動するのも面倒だ。今日は我慢して一晩夜を明かし、次の日の朝からここの探索を始めた。
プランデットに情報がないので安全のために四人+イチゴで固まって探索することにする。
発着場の幅は約三十メートル。高さは十五メートルと言った感じで、奥行きは今のところ百メートルはあった。
なんのために造られたかさっぱりわからない。造りかけ、ってことか?
奥に進むと、シャッターが現れた。
何ヶ所かが風化して崩れており、なにか骨や蜘蛛の糸が張られていた。
「ビシャ。ヒートソードで蜘蛛の糸を焼いてくれ」
粘着力は高そうだが、どこぞの鬼蜘蛛みたいにサイコロにできる糸ではない。熱で溶けてくれるたんぱく質な糸、だと思う。
「なんの骨だ?」
床に敷き詰められたように骨が積み重なっている。そんなによくかかりにくるのか?
「おそらく、マルドラと呼ばれる鳥だな。死肉を漁ることから不吉な鳥とされている」
カラスみたいなものか?
「どこかに地上に繋がる穴でもあるのか?」
オレたちがここにきたように、マルドラだけが知る穴があっても不思議じゃない、のか? わざわざ穴を通ってきてバッフに食われてたんじゃ世話ないがな。
「女王蜘蛛がいなきゃいいんだがな」
自らフラグを立てたか? なんて心配もなく、奥は倉庫になっており、黒いマンダリンが十数台とマナックの倉庫。そして、弾薬庫があった。
「……軍事基地か……?」
よくよく黒いマンダリンを見れば戦闘仕様だと言うことがわかり、前方にEARの大口径が搭載しており、底に榴弾が発射できる筒があった。
「ミシニーを連れてくるんだったな」
ミサロに睨まれそうだが、これは見過ごせないだろう。戦闘仕様になっているならマナ・セーラも大出力なはず。まあ、燃費は悪いかもしれないが、それでも戦闘仕様のほうが丈夫で無茶もできるはずだ。
「アルズライズ。ビシャと一緒に地上にいってくれるか? ホームを通してラダリオンに出してもらう。ここにあるものをすべて持ち出したい」
これは、イチゴ以上の発見だ。全部いただくぞ。
「それほどのものなのか?」
「戦う翼を得たようなものだ」
ゴブリン駆除員には不要な翼だが、どうせまた狂乱化に遭遇するんだから空から絨毯爆撃っていう手段を持っておくのもいいはずだ。弾薬節約にも繋がるしな。
「……戦う翼か……」
「この狭い空間で練習するより地上の広いところで練習したほうが上達も早いはずだ」
プランデットを使いこなせたらそんなこともないんだが、エルフの文字を覚えるくらいなら手動で覚えたほうが早いはずだ。アルズライズのような感覚派ならな。
「わかった。地上に戻ろう」
「ビシャも頼むな」
「了解。メビ。タカトを守るんだからね」
十歳の女の子に守られるアラサーとか情けなさすぎるな~。
「わかってる。タカトはあたしが守るよ!」
「クク。頼もしいな」
そんなキャラじゃないんだからからかうなや。
まあ、なにはともあれミサロに説明するのが先だな……。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
32
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる