ダメ女神からゴブリンを駆除しろと命令されて異世界に転移させられたアラサーなオレ、がんばって生きていく!

AA1

文字の大きさ
417 / 459

417 弱者の強者

しおりを挟む
 ブラックリンを飛ばして洞窟の前に降ろした。

「マイズ。ロスキートをこちらに誘導する。全員で倒すぞ」

 グロゴールがロスキートを食うかもしれないが、うろちょろされて邪魔されたくない。サイルスさんたちが引きつけてくれている間に排除する。

 ブラックリンをホームに戻したらイチゴがいる場所に向かった。

 イチゴはロースランが巣くっていた洞窟の中に入ったようで、そこら辺にロスキートの動体反応が犇めき合っていた。

「マイズ。EARを持つ者で仕掛けろ。オレとメビは援護だ」

 EARなら四百発撃てる。畳みかけるなら最適の武器であり、ロスキートなら充分殺せる威力はあるからな。

 マイズたちエルフが前に出てロスキートの背後から襲いかかった。

 イチゴに集中しているからロスキートはオレたちに気づかないままにミンチにされていく。背後から襲うのクセになりそう!

「メビ。EARに交換して洞窟に入れ」
 
「わかった!」

 オレの持つEARとメビの持つリンクスと交換する。

「マイズ。メビに一人つけさせてくれ。残りはロスキートの魔石を取るぞ」

 せっかくの魔石。放り出してはいけんでしょう。

 洞窟に入っただろうロスキートはメビたちに任せ、オレたちはミンチの中から魔石を探った。

 ほとんどを集め終わったら洞窟からメビたちが出てきた。

「タカト、魔石いっぱい取れたよ」

「ご苦労さん。まずは場所を移すぞ」

 魔石が入った袋を受け取り、団地に向かう。ここは視界がいいからな。ゆっくりできる場所に移ってから休憩だ。

「イチゴ。洞窟にロースランはいたか?」

「いませんでした」

 場所を移したか? 変なところで遭遇しないといいんだがな。

 団地に入り、グロゴールが侵入されないよう地下に降りた。

 まずはルンの補給。アポートポーチからペットボトルを取り寄せて皆に配った。

 一息ついたら皆にグロゴールの説明と大まかな作戦を伝える。

「このメンバーは俊足ばかりだ。安全な場所からグロゴールに嫌がらせをしてくれ。怒らせて冷静な判断をさせないようにする」

 相手は強者。弱者を狩るのに考えて狩るなんてことはない。ただ一方的に狩るまでだ。仮に知恵があったとしても野生の生き物が怒りを制御できるとは思えない。理性より本能を優先するだろう。

 その見極めをするためにも嫌がらせは最適だろう。こちらは相手の位置がわかり、通信ができる。さらにあの巨体では建物の中に入ってはこれない。建物を壊すほどの力があるなら体力を削れるってものだ。
 
「ふふ。竜相手に嫌がらせですか。マスターはおもしろいことを考えますな」

「弱者はいつだって頭を使って生き残るしかないんだよ」

 グロゴールのように速く走れないし、鋭い爪もない。相手を知って勝てる道具を作って安全な場所から敵を弱らせ群れて止めを刺す。

「オレたちは弱者だ。だが、弱者だからって素直に狩られる立場にいると思うなよ。弱者には弱者の戦い方があるってことを教えてやる。最後に勝つのはオレたちだ」

 こんなところで死んでたまるか。ダメ女神の駒として死んでやるものか。オレは生きて老衰で死んでやるんだ。グロゴールなんかに食われてたまるかよ!

「メビ。ハンバーガーとおにぎり、水はたくさん買っておく。嫌がらせにはHスナイパーを使って弱そうなところを狙え。グロゴールは速くて視力がいい。見られたら即座に逃げろ」

「あたしも逃げ足は速いから大丈夫だよ」

 そうだったなとメビの頭を撫でた。

「オレとイチゴは遠くからグロゴールを観察して、皆に報告と指示を出す。いつでも畳みかけられるよう体調は万全にしておけよ」

 生き残れたらいい酒を飲ませるから、って言葉は飲み込んだ。完全に死亡フラグだからな。

「マイズ。あとは任せる。誰かのために死ぬなんて絶対にするな。仲間のために生き残れよ」

「安全第一、命大事に。確実に勝つ。セフティー・ブレットの名に恥じぬ一撃となりましょう」

 エルフたちがニヤリと笑った。

 戦士系のヤツらばかりだからノリが汗臭い。オレはスタイリッシュなスパイ系が好みなのにな。

 まあ、ノリは大切なのでニヤリと応えて外に向かって走り出した。はっずかしぃーっ!!

 ホームからブラックリンを出してきて操縦はイチゴに任せ、オレは後ろに跨がった。

 上空に飛び立ち、三次元マップを展開。動体反応センサーを重ねる。

「イチゴ。十時方向三キロ先にグロゴールがいる。天井ギリギリをゆっくり飛んで向かえ」

「ラー」

 ブラックリンを上昇させて、まさに天井ギリギリで飛ばすイチゴ。いや今かすったよ!

 頭を低くして三次元マップに集中する。

 グロゴールは一ヶ所に止まっているが、小刻みに動いている。隠れたカインゼルさんたちを掻き出そうとしてるのかな?

 アルズライズとビシャの反応は……あった。団地の屋上にいるな。

「イチゴ。背後から近づけ。いざとなったらホームに入る」

 二百キロでホームに入ったらガレージに突っ込んでしまう。事前に言っておけば対応してくれるだろう。頼むからね。

 ブラックリンを降下させ、速度を上げる。

 グロゴールはこちらに気づかないまま三百メートルまで近づけた。

 今ならRPG-7を撃てるが、それで倒せる確証はない。ブラックリン搭載のEARをぶっ放した。

 予想どおり背中の鱗に弾かれた。が、痛覚はあるようで掻き出そうとするのを止めてこちらに目を向けた。

 ……大洪水を起こしそうな眼力だぜ……。

「イチゴ、上空に逃げろ」

「ラー」

 凄まじい速度で追ってくるが、アルズライズが言ったように飛ぶのは苦手なようで飛んで追いかけてくることはなかった。

「イチゴ。三キロ離れろ」

「ラー」

 グロゴールは追ってこない。雑魚と思われているようだ。

「今のうちにナメておけ。強者の弱者め」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

レベル1のフリはやめた。貸した力を全回収

ソラ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ち、ソラ。 彼はレベル1の無能として蔑まれ、魔王討伐を目前に「お前のようなゴミはいらない」と追放を言い渡される。 だが、傲慢な勇者たちは知らなかった。 自分たちが人間最高峰の力を維持できていたのは、すべてソラの規格外のステータスを『借りていた』からだということを。 「……わかった。貸していた力、すべて返してもらうよ」 契約解除。返還されたレベルは9999。 一瞬にして力を失い、ただの凡人へと転落しパニックに陥る勇者たち。 対するソラは、星を砕くほどの万能感を取り戻しながらも、淡々と宿を去る。 静かな隠居を望むソラだったが、路地裏で「才能なし」と虐げられていた少女ミィナを助けたことで、運命が変わり始める。 「借金の利息として、君を最強にしてあげよう」 これは、世界そのものにステータスを貸し付けていた最強の『貸与者』が、不条理な世界を再定義していく物語。 (本作品はAIを活用して構成・執筆しています)

リストラされた42歳、確率の向こう側へ。~なぜか俺の選択肢がすべて正解になる件~

RIU
ファンタジー
「君には今月いっぱいで席を空けてもらいたい」 42歳、独身、社畜。会社のために尽くしてきた柏木誠は、理不尽な理由でリストラされた。 絶望の中、雨の神社で野良猫を助けた彼は、不思議な光と共に【確率固定】という異能――「無意識に正解を選び続ける豪運」を手に入れる。 試しに買った宝くじは10億円当選。 復讐心に燃える元上司を袖にし、元天才投資家の美女をパートナーに迎えた柏木は、その豪運で現代社会を無双していく。 「俺の選択に間違いはない。なぜなら、確率の方が俺に合わせるからだ」 枯れたおじさんが資産と余裕を手に入れ、美女たちに頼られながら、第2の人生を謳歌する痛快サクセスストーリー!

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

ウルティメイド〜クビになった『元』究極メイドは、素材があれば何でも作れるクラフト系スキルで魔物の大陸を生き抜いていく〜

西館亮太
ファンタジー
「お前は今日でクビだ。」 主に突然そう宣告された究極と称されるメイドの『アミナ』。 生まれてこの方、主人の世話しかした事の無かった彼女はクビを言い渡された後、自分を陥れたメイドに魔物の巣食う島に転送されてしまう。 その大陸は、街の外に出れば魔物に襲われる危険性を伴う非常に危険な土地だった。 だがそのまま死ぬ訳にもいかず、彼女は己の必要のないスキルだと思い込んでいた、素材と知識とイメージがあればどんな物でも作れる『究極創造』を使い、『物作り屋』として冒険者や街の住人相手に商売することにした。 しかし街に到着するなり、外の世界を知らない彼女のコミュ障が露呈したり、意外と知らない事もあったりと、悩みながら自身は究極なんかでは無かったと自覚する。 そこから始まる、依頼者達とのいざこざや、素材収集の中で起こる騒動に彼女は次々と巻き込まれていく事になる。 これは、彼女が本当の究極になるまでのお話である。 ※かなり冗長です。 説明口調も多いのでそれを加味した上でお楽しみ頂けたら幸いです

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

魔法が使えない落ちこぼれ貴族の三男は、天才錬金術師のたまごでした

茜カナコ
ファンタジー
魔法使いよりも錬金術士の方が少ない世界。 貴族は生まれつき魔力を持っていることが多いが錬金術を使えるものは、ほとんどいない。 母も魔力が弱く、父から「できそこないの妻」と馬鹿にされ、こき使われている。 バレット男爵家の三男として生まれた僕は、魔力がなく、家でおちこぼれとしてぞんざいに扱われている。 しかし、僕には錬金術の才能があることに気づき、この家を出ると決めた。

処理中です...