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プロローグ……&第1話……いってみよー!

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やぁ、こんにちは!僕は佐藤凛。はっきり言おう、僕は普通だ。
だから、これからの物語にワクワクを求めちゃだめだよ!まぁ、そんなのは君の勝手だけどね。
さて、僕は楠木中学校に通っている、一年生だよ。そして、今日は夏休み前日のワクワクした日。そうそう!僕の物語よりも、こういうことにワクワクすべきだと僕は思うよ!(あと、今晩のおかずとかね!)
さてさて、読者の皆様が退屈しないうちに始めようか?
いざ開こう。日常と超常の狭間の物語ーーーーーー
 
 
 
 
準備はいいかな?
 
 
 
終業式が終わって家に帰る。そこで、30分ほどの暇をもて余した僕は、ゆっくり歩いて帰ることにした。ゆったりと歩くと、いつも見えないものがよく見える。電柱に止まるスズメの群れ。
最近ではめっきり見なくなってしまったものだが、それは、注意してみなかったからだ。スズメは、そこにいる。
いつもと同じ、家まで後1キロ程のところで、懐かしい雰囲気を残す古民家群に入る。
しかし、今では住む人もめっきり減ってしまって、「入居者募集」の看板が目立つ。
 
いつもと同じ角を曲がれば、ごみ置き場がある…………はずだった。
そこには、ツタを被った洋館があった。と言っても、二階建ての、生活感があるものだ。僕は、近寄ってみた。(こんなもの、あったっけ?)
微かに蔦が避けて、窓とドアがかろうじて無事だ。
もうすっかり蔦が多い尽くしてしまって、ほとんど見えないが、一階と二階の間に看板がある。
 
 
      「マロン」
 
僕は、ポケットをまさぐった。……30円……みたまえ!これがテストでいい点を取れない可愛そうな迷える子羊の小遣いだよ!
と、いってもなぁ。小遣いなんて、使う機会なかったもんなぁ。
まぁ、いいか!皿洗いでもするか!(なんてバカなんだ僕は……)
景気よくドアベルが鳴る。懐かしい感じだ……

「いらっしゃい。ようこそ、「マロン」へ。」
まず、びっくりした。小綺麗な丸テーブルが程よく並び、カウンターの奥には立派な白いフクロウの置物。そして、天井からつれ下がるシャンデリア。おぉ~きなのっぽの古時計ぃ~(失礼……)。そして、以外と多い客(おっと、失礼をば……)。
僕は、カウンターにいって、座った。隣は、中年のおじさんだ。カウンターの向こうには、優しそうに微笑むおじいさん。
「コーヒーでいいかな?」
「え?あの、すみません、僕、コーヒー飲めないです」
「いいから、飲んでみて。ブラックでね。」
エェー……これがウワサのごり押しと言うやつか?このおじいさん、優しそうな顔してやり手だな?この僕から30円をもぎ取ろうと言うわけか、面白い……
思わず顔がにやけてしまう。妄想は得意な方だ。コーヒーは、僕が妄想している間に来た。
「はい……どうぞ」
コーヒーなんて、飲んだこともない僕だが、いい香りだ……。でも……。
「あの、僕、お金……」
「いいから。お代は、もらってるよ」
どう言うことだ?ここに来ることは誰にもいってない。不確定な未来だ。誰が払うと言うのだ?それとも……ハッ!既に30円は頂いたと言うことか!?
僕は大急ぎでポケットに手を突っ込んだ。……ある。ジャラジャラと品のない音がでた。
いつまでも妄想しているわけにもいかないので、湯気をたてるコーヒー
を格好つけて持つと、音をたてずにすすった。
「おぉ!?ンまい!」
失礼だとは思った。(大声だったしね)でも、本心だったし、おじいさんは満足そうに微笑んでるし、お客さんたちはニヤニヤと、だろ?という顔でこっちを見てきたし、いいか!って思った。
「あの、それすごい置物ですね!」
カウンターの奥のシロフクロウの置物を指差す。すると、おじいさんが笑いだした。……狂ったか?(おおっと!失礼!)
「だってよ。ノワール君」
すると、シロフクロウの置物(のはず)が、不機嫌そうに鳴いた。えぇー!それ、本物~!?僕が驚いていると、隣のおじさんがシロフクロウを撫でて言った。
「機嫌直せよノワール君。ほれ、ビスケットあげる」
シロフクロウはそれをペロリと平らげた。
「いやぁ、すみませんねぇ辰さん。」
「いやぁ。この子達見てると癒されるよ。」
この子達?まだいるのか!?と、今度はおじいさんがカウンターの下を見て微笑んでいる。……狂っ(だぁぁぁあ!)
「マロンちゃん。いつの間にいたんだい?辰さん来てるよ」
「おやぁ、マロンちゃんもいるのかい?」
カウンターの裏から出てきたのは、クロネコ。赤い首輪で、スラリと美しいネコだ。鼻がピンクだ。珍しい……。(よし、鼻がピンクだから、ハナピ○クと呼ぼう!勝手に!)そのマロンと呼ばれたネコは辰さんと呼ばれたおじさんの手にすり寄った。
「おや、ビスケット食べるかい?」
クロネコは、ンニャァーと鳴いて、ビスケットをせがんだ。
「そうかそうか、ほれ。」
そのネコも、ペロリと平らげてしまった。
と、時計を見ると、20分ほどここにいる。そろそろ帰らないと、ばぁちゃんとじいちゃんが心配する。
僕は、席をたった。
「あの、コーヒー美味しかったです。ありがとうございました。また来ます。」
「また来ます……か、」←辰さん
「え?どうかしたんですか?」
「なんでもないよ。またおいで。」←おじいさん
なんだか、おじいさんの口調は慌ててて、僕をなぜだか不安にさせた。
またカランカランと鈴を鳴らして、僕は店を出た。
そして、角を曲がると、いっさいがっさいを忘れてしまった。
 

 
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