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どちらをご所望ですか?

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わたくし

アリス
アラン
アリア

今日は城下の祭なのである。

私も行きたい!!トウモロコシ食べたい!!

が……護衛です。護衛。

しかも、姫ではなく王の……
姫の者は王の者とか思ってるだろ!雇用主は王様じゃないぞ!


で、護衛であるとすれば『アリア』は除外。

アリスかアランになってくる訳なんですが…

今日はアリスをご所望デス。

これは謎計画のせいですね。

姫には男のアランお兄様をつけた方が安心。

王には残りもの。

残りものが本体だ。と言う事に気がついてほしい。


王様は男色と噂をされてはいても、格好いいのは確かなので、女性がキャーキャー言っている。

歩いてメイン通りを過ぎる。それが終わると城に帰るのは馬車で。馬車から手をふる
王様。
その馬車の横を歩いてついていくのが
私の役目。だったはずだが、王の馬車に一緒に乗っている。

「なぜ私が馬車にいるのでしょうか?本来なら兵士長がのるはずだったのでは…」

「しらん。俺だって今初めて聞いた事だ。」

これは確実に姫の策略……。


馬車の窓に友達がいるのが見えた。

「アリスー!カッコいーー!」
「アリスー!ステキー!」

と、黄色い声がとんでくる。

よかったーっ!今はアリスで…。アランの時に王様といたら怪しまれてた!!

私は女の子に人気がある!!これは、自慢と取っていただこう!男にモテないなら、せめて女の子からカッコいいと言われたい!
(意地)

「お前は女に人気があるんだな」

王様もびっくり。

「…そうでしょうか…」


若い娘達よ…今は私ではなく、王様に目を向けなさい。この国を統べる、アクマノ城の城主、この国の王に!

「格好いいとは思わないが…」

「……」

むかつく。


馬車の窓から沢山の屋台が見える。

トウモロコシ ガ タベタカッタ…

「何を見ている?」

「え…あの、トウモロコシが食べたいな…と、思っただけで…」

まさか質問されると思わなかった!

「そういえば、アランは買い食いが好きだと言っていたが、アリス、お前もなのか?」

「はい。お祭りの時は友達と
焼きトウモロコシというのを食べるんです。」

アランの本体はアリスだから、買い食いしますとも!

お城で凄い高そうなご飯たべてる人は、この買い食いというスタイルが出来ないという、可哀想な人達!

毒見、毒見、そんな事してたら買い食いできないですから。

「俺は『買い食い』というのをした事はない…」

「そりゃそうでしょ……っ」

って普通に返してしまった!

「大変失礼致しました。これからは言葉使いには気を付けます!」

「お前達兄妹は度胸があると言われないか?」

怒ってない?っぽい?

「何故でしょうか…?」

「俺と二人で馬車に乗って、聞きたい事をきくし、言いたい事を言う。他の奴等は大概俺のご機嫌とりをしようとしかしない。」

そりゃ私はうっかり口にしてしまっただけです。私も右向け右です。

「アリス、アリアという女をしっているか?」

「ええ…姫のご友人だと伺っております。」

ここでアリアの事を話す事になるとは…

「あれは女か?」

「は?………ってすみません!またしても!!ただ、何故かそのような質問をされるのか、予想していなかったものですから。」

「女だったのならかまわない。」

………かまわないって何?
…もしや男だったら好きになる対象だったとかですか?

やはり男の人が好きなんだ…

今日ここで『アラン』が危険だと判明しました!

夜伽問題、全力回避します!

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