上 下
33 / 68

アラン2

しおりを挟む
「今は無理だ」

…こちらこそムリなんです。この暮らしが…。

「結婚とか、そういう話は無しにしてください。」

「わかった。」

さすが妥協婚、簡単におわった。

「…マアサ様に今の話の流れは一切しないでください。」

「するわけが無いだろう。何を言われるかわからない。」

「ではお互いの為に、秘密ということで。」

「ロレッソにもだ。」

ん?

「ロレッソ君にだって話しませんよ。」

どこからもれるか…こんな情報……。知れたら世継問題に一直線です!

「ぉ…アランは、街におりてきたら何をするんですか?」
「プライベートで街にくる事が少ない。ほぼいつもの散歩だ。」

趣味、散歩。
似合わない!

笑ってしまいそう。

「笑いたかったら笑っていいぞ。」

「……素敵だと思います。」

「そんな表情には見えないが…まぁいい。」

「散歩…。アランは私がいなくなったら1人で行く事になるんですね。やはり誰かお友達とか恋人とか、『散歩に行きたいな』…と思う人をつくるべきじゃないでしょうか」

「それがアリスなら、お前はずっと散歩に
付き合うのか?」

何を仰ってるのやら。

「私は城を出て仕事をします。王様の時間に合わす事は出来なくなります。身分というのは、そういう事でもあるのです。」

というか、行く必要性を感じません。

「俺が命令すれば、話は別だ。」

まさか、人生で王から散歩の命令がくだる時がくるとは…。

「私も私の暮らしがございますので…。仕事をして生活しないといけないんです。」

「それを俺の仕事にすればいい。」

「何故そこまで…。私とアラン以外でも王様と普通に話す人はいるはずです。」

「それは、遠回しに『嫌だ』という事か?」

しまった、これは王様の命令だった!

働かざる者食うべからず。

「…王様にお友達もしくは恋人ができるまで…。なら。」


「……買い食いとやらは気がすんだか。そろそろ帰るぞ。」

「はい!あ…」

「どうした?」

「いえ…。」

キャンディ買いたいけど、お金ないし…。

「…待っていろ。」

飴…買いに行ってくれた?とか?

「ほら。団子とトウモロコシはあの通りにはなかったから、これで我慢しろ。」

「…お金がないのです。」

「やる…。それが嫌なら来月の給金で払え。」

「貰えるなら頂きます!!」

王様、結構イイ人!
しおりを挟む

処理中です...