上 下
35 / 68

本日晴天

しおりを挟む
逆さまてるてる坊主、雨降り坊主まで作ったけど、天は私に味方しなかった…。

晴天、快晴。

「デートする前の心得」

①手を繋ぎましょう。

②名前で呼びましょう(王様と絶対言わない事)

③おしゃれをしましょう

妥協婚で好感度アップ要員アリス、本日王様と『でぇと』という、未知なる世界を体験します。

「ファビアン様、悲しい事におしゃれをしても女装にしか見えないです。…と言う事で、デートは行けませんね。めでたし、めでたしです。」
「それでいい。」
「良くないでしょ!女装女と歩くなんて、王様は恥をかきますよ。というか、私の自尊心は崩壊します。」

自分で言ったけど、女装女って何…

「なら着替えてこい。いつもの服でいい。この間もそうだったんだからな。」
「…この前とは違うんです!男と手を繋いでるように見えてしまいます!男色疑惑肯定ですよ!」
「お前は女だろう。人の目など気にして生きるな。」
「王様のように、鋼の心臓ではありませんので。」
「王様?」

そう呼んだだけで、睨まれた…。

「じゃないですね!ファビアン様!」
「『様』をつけるな。」

またしても!

「はい…」
「さっきから何を1人でオタオタしてるのか知らんが、付き合うなら対等だろう。」

そんな畏れ多い…

「因みに、今のお前は女に見えなくもない。」

けなされているようにしか聞こえない…。

「おい、デートに行っても無いのに、既に30分たっている。さっさと行くぞ。」

そう言って、王様は私の左手をギュッと掴んだ。

「まだ城中なので繋がなくてもよいのではないでしょうか?」
「アリス、自分で言った事を憶えてないのか?」
「何か言いましたか?」
「『王様が私に好きになって貰えるように頑張って下さい』と言ってたから、俺はその通りに行動しているだけだ。」

強引に結婚させられるかと思ったら、あれを真に受けるなんて。
私が好きにならないという事を考えなかったんだろうか…。

…私がずっと好きにならなかった場合、いつになれば家に帰れるの…?

恐ろしい…。
しおりを挟む

処理中です...