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王命2

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「何…?執務室ですよ、ここ。いや、場所の問題じゃないんですけどね!」

これは、まさかの夜伽問題!!
油断した!部屋以外でこれは無いと思ってたのに!今は昼だけども!いや、夜でも勘弁してください!

「逃げられるか?」
「へ?」

両手を掴まれればどうやっても動かない。でも逃げないと!
 世継は勘弁してください!

「う~っ!は~な~せぇ…」
「言っておくが、俺は大して力はいれてない。」

じたばたしてみるけど、どうにも出来ない。

「こんなの急に卑怯だぞ!!」
「…こうされれば逃げられない。これからは喧嘩じゃなくなる。」
「…一体なんなの急に。」

とくに私をどうこうしようと思ってる感じじゃなさそう。
そりゃ国王様なんだから、軽はずみな事は出来ないよね…たぶん。

「危ないと言ってるんだ。女として襲われる事もある」
「私の事を男だと思ってるのに、こんな事あるわけない。」
「女だと知られたら?」
「……」
「それが複数だったら?」
「…っ知らない!はなせっ!!」
「いつまでも子供の喧嘩ではすまない。女だと自覚しろ。気がついてないか?俺にアリスとして会った時からずっと、自分を男に見えるようにしてる事。」
「それは、王様に好きになられたら困るからです。」
「好きになられるかもしれない。それは自分の事を女だと思う男がいるかもしれないと解ってるからだ。」
「私は、王様が男色かもしれないから逃げてただけです。アランだったら夜伽とかあったら怖いから。」
「なら違うと解った時、今度は女として気に入られたら困ると思ったんだろう?」
「だから、王様と結婚させられるのが嫌だったからなだけ!今度は本当の意味で夜伽問題が発生したら怖いから逃げてたんだ!」

「少しでもアリスに好意を寄せる男がいたらどうする?」
「そんな人いない!私を好きになる男なんて!」
「…もしもの話だ。自分は男みたいだって言いはって、女のように扱われるのが怖いのか?」
「そんな事ない!私は女だ!女扱いしてないのはまわりだ!」
「そうか…」

王様は私を離した。

「もう辞めるっ!!帰るっ!!大嫌いっ!!」

私は荷物も持たずに城を出た。
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