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救出

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私たちは馬車に乗って邸からは出れたけど、追い付かれて捕まった。

「丸眼鏡たちはどこ?」

私1人だけ別の部屋に入れられて縛られた。
部屋には男が2人、見張りでいる。

コロコロは演技してただけだけど、ハーブは違うしな…。大ピンチ!!
…っていうか、何であんなに本格的に嫌み言ってたんだろ…。丸眼鏡、実は優しかったのに。真面目そうだし、手を抜けなかったのかな。

「おい!聞いてるのかっ!!」
「え?聞いてなかった。何?」

見張りの男の1人が私に話しかけてたけど、内容は右から左だった。

「お前はハーブに到着次第、ハーブ王と結婚する事になる。」
「ホントに冗談はよせ…。」
「冗談じゃねぇよ。そうだ、61才のよぼよぼのジジイの相手する前に、俺が相手してやるよ。」
「っ!?」

相手…て、何言ってんのコイツっ!!キモっ!!

「うわ…こんな男みたいなガキ、よく相手にするな…」
「女にはちげぇねえべさ。」

逃げないとっ!
縛られてるし手は使えない、体ごと窓ガラスに突っ込むしかないっ!
立って走ろうとしたけど捕まえられた。

「やめろっ!!はなせっっ!!死ねっ!デブっ!」

パチンッ
「うるせぇ、黙れ!」
「……」

私は平手で殴られて、押し倒された。
王様の言うとおりだった…。女だって知ったら、変な事される…。力だって敵わない。
怖い…声が出ない…っ

ドタドタドタ
「オイッ!!ここから離れるぞっ!」
「ああ?一体何があった。」
「場所がばれた!騎士が来るぞ!少なく見積もって30、王が自ら引き連れてる…、見つかったらその場で殺されるぞっ!」
「ファビアン王が…?」
「…っ悪いが俺は下りる。こんな事で死んでたまるかってんだ。」

私を拐ったゴロツキはどんどんいなくなって、建物から音がしなくなった。

「っ…」

外からギャーギャー声が聞こえる。きっと皆捕まったんだ。よかった…。


しばらく転がってた。縛られてるし、怖くて動けなかった。



バンッ
「アリスっ!!」
私が閉じ込められてる部屋に飛び込んで来たのは王様だった。
私のところまで走ってきて、青い顔をしてる。
王様は縄を切る前にシャツのボタンをとめてくれた。
「…っぅうう……」
「もう大丈夫だ。」

よく見てた顔が側にあって安心した。

「こっわ…た…ぅわああぁん、こわかったよぉーっ…」


どれくらいそうしてたかわからないけど、胸にすがって泣いてたから、王様のシャツを涙と鼻水で濡らしてしまった。

「ズズズっ…」

鼻水をすすってたら、ハンカチを貸してくれた。

「ほら、馬車まで行くから掴まってろ。」

そういって、王様が『お姫様だっこ』というのをしてくれた。

「……」
泣いたのも恥ずかしいし、これも恥ずかしい。

馬車の中は2人だったから安心した。泣いた顔は見られたくないし、今は父さんと王様以外の男の人に近づかれるのは嫌だ。

「大丈夫なんだな?」

それは、最後までされてないか…と言う事なんだろうけど、まぁズボンもはいてたしシャツの胸元だけボタンをはずされてただけだし、解ってるよね。

「大丈夫。」
「はぁ、よかった…。」
「助けてくれて、ありがとうございます。でもまさか王様がのりこんでくると思いませんでした。」
「……」
「王様?」
「…まだ何かあるかもしれない。暫く城へ。」
「…はい。」

さすがに怖いし、一緒にいてくれると安心するし、素直に従う事にした。

王様はすごいな。私みたいな庶民をわざわざ助けに来てくれるんだから。今まで逃げたりしなくても、普通に話してみればよかったかもしれない…。

……やっぱり無理。
計画か進む可能性をさけなければ。




王様と一緒に城に帰ると、マアサ様が城門で待っていた。

「マアサ様、無事帰還しました。」
「…アリス!ご免なさい…っ!私のせいで!!」
「別にマアサ様のせいじゃありませんよ。悪いのはハーブですから。」

それも全てはお兄様が始まりだけど、女が泣いてるところを見てしまうと弱いのです。

「マアサ、アリスは疲れてる。とりあえず城へ」

そういって、王様は私の部屋に向かってるんだけどさ…

「……あの、王様。」
「何だ?」

『なんだ?』じゃなくてっ!!

「お姫様抱っこは、もうしなくても大丈夫…ですので。」

まわりの反応がっ!
みんな固まってるから!!

「今更下ろすのも面倒だ。このまま部屋へ行く。マアサも来い。」

いや、面倒ではないと思う。そう思うけど、王様相手にそれ以上言えるわけもなく、結局そのまま私の部屋まで連れて行かれた。

そして部屋に着いたとたん、2人とも頭をさけっぱなし。

「すまん…。俺があの日、あんな事をしなければ出ていく事もなかった…」
「違うますわ、お兄様。私がアリスを連れてきたからこんな事に…」
ずっとそんな事を言い合ってるし!解決しないよ…。
王様と姫様に頭を下げられてしまう庶民の気持ちも考えてない下さいっ!!

「大丈夫ですので、もう争うのは止めてくださいっ!!」
「……」
「……わかった。」

私の訴えに、やっと謝るのを止めてくれた。

「暫くここにいて、安全だとわかったら帰らせてください。お兄様の約束も最初から3ヶ月でしたから、あと少しです。」

そう!これでまた買い食いライフをエンジョイできるというもの!
…でも、これからケンカ売られたらどうしよう。逃げていいのかな…。
もしハーブのジジィがずっと私の事を狙ってて、家にいる時にのりこまれたらどうしよう。

何をどうしても不安だ。

「…アリス、本当に大丈夫か?」
「大丈夫ですって。」
「そうか。…ついていてやりたいが仕事がある。ロレッソを護衛に…」
「っっ嫌だ!男は嫌だっ!!怖いっ!」


自分でもこんなに否定するくらい、男が怖いと思ってるなんて気がつかなかった。
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