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「私も執務室に行く…怖い…。」
ここにハーブの奴がいるかもしれないって、丸眼鏡が言ってた。…そいつが来たらまた捕まる。
「わかった。なら一緒に行くぞ。」
そう言って、王様が手を差し出してくれた。
「はいっ!」
私はその手をぎゅっと握って、王様と一緒に部屋を出た。もちろん警備も護衛も沢山いる。王様の部屋が隣なんだから、それはそうなんだけど…。この中にハーブの奴がいるかもしれない…。考えたらきりがない。
「どうした?」
「…何でもない、です。」
怖いから、出来るだけ王様の近くにいよう。
執務室に入って思った。
いつもより荒れてる気がする…。
「お仕事、多かったんですか?」
私は書類整理とか雑務をするだけだし、その仕事が出来ていないとしても、それをバラバラに置くような人ではないと思うんだけど…。
「アリスがいなくなってから、仕事もなかなか進まなかった。」
「そうですよね…。あんな別れかたしたんですから、気になりますよね。王様が助けに来たのは罪悪感があったからなのですね…。」
「違う、そうじゃない。」
「いいですよ、それでも。助けてくれるのが王様でよかったと思ってますから。」
そう、私はそれでも嬉しかったんですよ。王様。
「さて、どこから始めますか?」
「……」
「…?ファビアン王様?」
「何故、俺がよかったんだ?」
「え?何で…って…?」
何、その質問。
「…べつに、何故といわれても。」
「理由はないのに、俺なのか?」
「別に大した理由ではないですが、何だか安心したからです。」
「安心って、助けてもらったら誰でも…」
「安心はしても、その後2人で馬車に乗れるかと聞かれれば『無理』です。お姫様抱っこも嫌です。王様であればいいです。」
「……そうか。」
「そうです。アメも買って貰いましたし、買い食いも一緒にしましたから。」
「そうか。」
「そうです。では仕事をしましょう!」
「アリスは休んでいていい。」
「でも、この部屋にいるし…」
「この部屋に居てくれるだけでいい。」
「………」
「……何を変な顔してるんだ。」
「王様が優しすぎるので…。」
「俺が優しいのはおかしいのか?」
「いえ、そうではありません。ありがたくお休みさせて頂きますっ!」
「そうしろ。」
王様…凄い勢いで仕事を…。書類整理くらいなら出来るんだけど、休んでろって言われたし。何だかな体がポカポカして…眠くなってきた。ダメだ、王様は仕事してる…のに……。
「…寝たか。」
自分のもとにアリスがいないと聞いてから、仕事も手につかなかった。本当に見つかってよかった。
俺は気付いる、というか気がついていないふりをしていた。
自分がアリスを好きなんだという事を。
帰りたい…と思っているのは顔を見ればすぐわかったし、アリスという存在をアランの代わりに残す必要など全くなかった。
デートを仕事だと持ってこられた時に、突っぱねる事も簡単に出来た。俺は結婚するつもりは無いと言ってたんだから、しなくていい事だ。なのに一緒に出掛けて、手を繋ごうとまでしていた。
2人でお忍びで出掛けた時、後ろに護衛がいるのは何となく気が付いていた。でもアリスが楽しければいいと思った
心の弱ってるアリスには言えないし、断られるのは解ってる。
『ずっと一緒にいて欲しい。』
マアサの計画通り進んでるのはどうかと思うが、結局俺は頑張るしかないのか。
・・・・
アリスとファビアンが出ていった後、マアサが医師に言った。
「ねぇ、今アリスは男が怖いと言っていなかったかしら?」
「…言ってました。」
「お兄様だと大丈夫という事?」
「…そのようですね。」
「お兄様も当たり前のようにアリスに手を差し出していたわ。そしてアリスはしっかり握って出ていったわ。」
「…もしかして、王様もアリス様も無意識の行動なのではないでしょうか?」
「これは、本当に『お姉様』になるように、私達は頑張ってもいいかしら。今は絶対にアリスを外には出せないし。」
「計画通り進むかもしれませんね。ファビアン王がアリス様に好きになってもらえるように頑張る…。」
「…やはり、お兄様はアリスを気に入ってるわよね。気に入ってるを通りこしてるわ。婚約者でもないのにアリスを自ら助けにいくんですもの。」
「もう彼女しかいませんね。」
「そうね、アリスしかいないわ。私のお姉様になるのは。」
ここにハーブの奴がいるかもしれないって、丸眼鏡が言ってた。…そいつが来たらまた捕まる。
「わかった。なら一緒に行くぞ。」
そう言って、王様が手を差し出してくれた。
「はいっ!」
私はその手をぎゅっと握って、王様と一緒に部屋を出た。もちろん警備も護衛も沢山いる。王様の部屋が隣なんだから、それはそうなんだけど…。この中にハーブの奴がいるかもしれない…。考えたらきりがない。
「どうした?」
「…何でもない、です。」
怖いから、出来るだけ王様の近くにいよう。
執務室に入って思った。
いつもより荒れてる気がする…。
「お仕事、多かったんですか?」
私は書類整理とか雑務をするだけだし、その仕事が出来ていないとしても、それをバラバラに置くような人ではないと思うんだけど…。
「アリスがいなくなってから、仕事もなかなか進まなかった。」
「そうですよね…。あんな別れかたしたんですから、気になりますよね。王様が助けに来たのは罪悪感があったからなのですね…。」
「違う、そうじゃない。」
「いいですよ、それでも。助けてくれるのが王様でよかったと思ってますから。」
そう、私はそれでも嬉しかったんですよ。王様。
「さて、どこから始めますか?」
「……」
「…?ファビアン王様?」
「何故、俺がよかったんだ?」
「え?何で…って…?」
何、その質問。
「…べつに、何故といわれても。」
「理由はないのに、俺なのか?」
「別に大した理由ではないですが、何だか安心したからです。」
「安心って、助けてもらったら誰でも…」
「安心はしても、その後2人で馬車に乗れるかと聞かれれば『無理』です。お姫様抱っこも嫌です。王様であればいいです。」
「……そうか。」
「そうです。アメも買って貰いましたし、買い食いも一緒にしましたから。」
「そうか。」
「そうです。では仕事をしましょう!」
「アリスは休んでいていい。」
「でも、この部屋にいるし…」
「この部屋に居てくれるだけでいい。」
「………」
「……何を変な顔してるんだ。」
「王様が優しすぎるので…。」
「俺が優しいのはおかしいのか?」
「いえ、そうではありません。ありがたくお休みさせて頂きますっ!」
「そうしろ。」
王様…凄い勢いで仕事を…。書類整理くらいなら出来るんだけど、休んでろって言われたし。何だかな体がポカポカして…眠くなってきた。ダメだ、王様は仕事してる…のに……。
「…寝たか。」
自分のもとにアリスがいないと聞いてから、仕事も手につかなかった。本当に見つかってよかった。
俺は気付いる、というか気がついていないふりをしていた。
自分がアリスを好きなんだという事を。
帰りたい…と思っているのは顔を見ればすぐわかったし、アリスという存在をアランの代わりに残す必要など全くなかった。
デートを仕事だと持ってこられた時に、突っぱねる事も簡単に出来た。俺は結婚するつもりは無いと言ってたんだから、しなくていい事だ。なのに一緒に出掛けて、手を繋ごうとまでしていた。
2人でお忍びで出掛けた時、後ろに護衛がいるのは何となく気が付いていた。でもアリスが楽しければいいと思った
心の弱ってるアリスには言えないし、断られるのは解ってる。
『ずっと一緒にいて欲しい。』
マアサの計画通り進んでるのはどうかと思うが、結局俺は頑張るしかないのか。
・・・・
アリスとファビアンが出ていった後、マアサが医師に言った。
「ねぇ、今アリスは男が怖いと言っていなかったかしら?」
「…言ってました。」
「お兄様だと大丈夫という事?」
「…そのようですね。」
「お兄様も当たり前のようにアリスに手を差し出していたわ。そしてアリスはしっかり握って出ていったわ。」
「…もしかして、王様もアリス様も無意識の行動なのではないでしょうか?」
「これは、本当に『お姉様』になるように、私達は頑張ってもいいかしら。今は絶対にアリスを外には出せないし。」
「計画通り進むかもしれませんね。ファビアン王がアリス様に好きになってもらえるように頑張る…。」
「…やはり、お兄様はアリスを気に入ってるわよね。気に入ってるを通りこしてるわ。婚約者でもないのにアリスを自ら助けにいくんですもの。」
「もう彼女しかいませんね。」
「そうね、アリスしかいないわ。私のお姉様になるのは。」
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