ごめんなさい。人間に化けてた嘘つき魔王と結婚なんてムリです!

シンさん

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仕返し2

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「招待…。俺とリディア、後は何人かの令嬢方だね。べつに行く必要もないんだけど。」
「…では、行かないでいいじゃないですか。」
「…だって『お父さん扱い』で、俺がどれだけ苦汁を飲んだか…。」
「『だって』じゃなくて、もう疑ってませんから止めておきましょう。」
「でもこういう輩は、同じ事をずっと繰り返すからね。俺がいない時にリディアに何かをするかもしれない。」
「やんすがいるし、力持ちの魔法もあるし大丈夫ですよ。」

メンフィス様の機嫌が悪くなる方が問題だよね。

「メンフィス様!!やっつけましょう。悪の芽は摘んでしまわないとっ!!」
「さすがだよ、やんす!」
「当然ですっ!どういう作戦で行きますか?」

予想以上にやんすが乗り気になるってるわ…。

「怠惰に手伝ってもらうよ。強欲のせいでリディアが危険な目にあったから、少しくらい償ってもらわないとね。」
「アーク様、動きますか?」
「動かないと怒る…って言ってある。」

「アーク様?」
また新しいお化けの名前が…。

「リディアはわからないか。強欲の仲間みたいなもの。傲慢スペルビアはサリー。強欲アワリティアはキラ、怠惰アケディアはアーク。俺の領土での名前。」
「『怠惰なリディア』になったりしませんか?すでに『少し強欲のリディア』になってしまってるんです。これ以上はイヤですよ。」

どんどんお化けに近づいて行くよね。

「大丈夫。アークは強欲みたいなのじゃないから。とても可愛いよ。」

可愛い…

「お化けとか悪魔って怖い顔はしてないんですね。人間ぽいし…。」

魔王様だけは未確認ですけどね。

「人間の世界にいて不都合がないからね、その方が。でもやんすのように人形ひとがたにならないのもいるし。色々かな。」

猫耳がついてたり犬人間だったり、何が違うんだろう。

「お化けの世界は複雑ですね。…そうだ、やんす、少しお買い物があるの。一緒に行ってくれる?」
「はい!」
「ありがとう。」

ん?

「……」

メンフィス様が私をジッと見てる…

「何ですか…?」
「俺も…」
「メンフィス様、仕事がたまってます!今日は邸から1歩も出しません!」
「…ゴマ、酷い。」
「いいえ!昨日は1日何もしていなかったんですから、その分を今日までに仕上げてください!」
「ゴマ、今日の夜にやるから!」
「ダメでございます!」
落ち込んでぐったりしているメンフィス様は犬人間ゴマに引きずられていった。

「ふふ、行こうか。」
「はい!すぐに用意しますので、待っていてください!」

私達は15分ほどして街へ出発した。




「俺がトカゲになればすぐなのに。」

馬車に乗りながらやんすがブツブツいっている。

「リディアさま、何を買いますか?ヘアアクセサリーも可愛いですよ。……どうかしましたか?」

「やんす、ごめんね。本当はお買い物じゃなくて聞きたい事があったの。歩きながら話そう。」
「何でも聞いてください!」

やんすはニッコリ笑ってくれた。

「やんす、メンフィス様は本当に暴走したらどうなるの?」

私に『止めるな』っていうんだから、前に街で暴走したのとは比にならない時があるって事だよね。
お城で魔力を吸い込みすぎて私は死にかけたんだし、きっとそんな事になるんじゃないかって心配してると思う。

「本当に怒ってる所を知ってる人は、誰もいないんです。」
「……」
「聞いた話ですが、今の領土はメンフィス様が壊したのを修復して作ったようです。だから、魔力が残っていて春夏秋冬どんな食べ物でも実るんです。育った物を食べても害はありません。王様が飲んでた薬のように、城のような魔を寄せ付けない力になります。」

「…何故そんな事になったの…?」
「わかりません。本にも言い伝えにもないんです。」

メンフィス様の力を抑える子供…それをみんな集める事は出来るのか聞いた時、泣きそうな顔をしてた…。
私には助けてあげられない…。どうして暴走したんだろう…。
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