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再会2

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…ううん、そんなわけないわね。
悪魔なんているわけないし、ラマナには悪いけれど『悪魔殺しの修行』なんて馬鹿らしい…って思ってるもの。

だいたい、今まで何か魔法のようなものを使えた事はないしね。
そもそも、そんなものが使えるなら、私は貧乏していないわ。

「うーん…」

でも、今考えればちょっと思い当たる節もある。お婆ちゃんはどうやって収入を得ていたんだろうって…。
『薬草を売ってる』って言ってたのを鵜呑みにしていたけど、そんなものを売っただけで2人の生活がやっていけるはずないよね。
けれど、貧乏はしてなかったわ。

普通に服だって買えていたし、学校にも通わせてもらえた。
お肉だってよく食べさせてもらえた。
『猟師のお友達が、お肉を分けてくれる』って言ってたけれど、私はその人と会った事もないし、見た事もないのよね。

「まさか、おばあちゃんが狩ってた…なんて事ないわよね。」

って、そんな訳ないよね。馬鹿みたいな事考えてないで、用意しないと!!

結局、可愛いテーブルクロスなんて物はなくて、手にいれたのは汚いローブ1枚のみ。



コンコン

「ハイっ!!」
「ナタリア、俺だ、ラマナだ。」
「ちょっと待ってね!」

椅子の背もたれにローブをかけて、羊皮紙をポケットに突っ込んだ。

ドアを開ける前に1度鏡を見て、身だしなみを確認した。
うん、綺麗とは言えないけど、ボサボサではないわね。

「ラマナ!おかえりなさい!」
「……」

勢いよくラマナを出迎えたけれど、何故か返事がない。

「ラマナ…だよね?」
「…あぁ、そうだ。ただいまナタリア。元気そうで何よりだ。」
「ありがとう、どうぞ入って。」
「……」
「ラマナ、どうしたの?」

何故入ってこないのかしら?

「ミリア様は?」
「2ヶ月前に死んじゃったの…。ラマナに会えないのが寂しいって言ってたよ。」
「そうか…、残念だ。」
「うん、けど仕方がないよ。」

人は必ず死んでしまうものだし、悲しんでばかりでは生きていけない。

「ナタリアはここに1人で暮らしているのか?」
「ええ、ここしか行くところはないもの。
結婚でもすれば違うでしょうけど。」
「……」
「どうしたの?」

凄く難しい顔をしているけど、私何か気に障るような事言ったかしら…。

「俺は帰る。ここには2度と来ない。」
「え…っ、どういう事!?私待ってたんだよっ!」
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