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第二回家族会議
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「という事で、第二回家族会議を開きます。」
「という事でって何だよ。しかも家族じゃねぇし。てか、会議のペースが早い!」
「ひらしゃいんコタロー、喋らないでください。」
「……」
まだ平社員を覚えてたのか。
「まずバスティ、妹を紹介してください。トマスには後で私から説明します。」
「はい。」
俺の隣に座るバスティが、席を立った。
「俺の妹のセフィルです。今日は妹を助けてくれて、ありがとうございます。」
バスティが頭を下げた。
「ほらセフィル、挨拶」
バスティの隣にピッタリ椅子を寄せて座るセフィルが、俺とトマスをチラチラ見てる。
「……セフィルです。13才です……よろしくお願いします」
「俺はバスティの友達で、コタロー、17才。よろしく。」
「コタロー?……名前?」
「うん。あの、厳つい筋肉男がトマス。強いヤツだから、何かあったらトマスの所に隠れる事をおすすめする。」
熊人間が来た時とか。
「バスティ、家族はあと何人いるんだ?」
「あとは母さんだけ。」
「早く見つかるといいな。」
「うん」
俺はもう、どんなに頑張っても家族の所へ帰れないし会う事も出来ないから、正直羨ましい。
「では、自己紹介はこれで終わり。本題に入ります。」
絶対にさっきの喧嘩の事だよな。わざわざ家族会議にしなくてもいいのに!
「バスティ、さっきのぐるぐる巻きの覆面達は何者ですか?」
「ワルザス族という狩猟民族です。」
「普段から、人を襲うような民族なのですか?」
「いいえ、外部の人間とは一切関わりあう事がないくらい閉鎖的な民族です。俺も今日、始めて見ました。」
「では、あの場に現れたのは何か理由があると?」
「そうでなければ、向こうから接触してくる事はありません。ただ、何が理由なのかは解りません。」
「バスティ、覆面達と喋れますか?」
「無理です。」
それは言わないでくれ!!……って言っとくんだった!
「コタロー、貴方は何故喋れたのですか?」
「勉強…したから……」
「いつ、どこでですか?」
「……こっそり…家で」
「では、その本をここへ持ってきて下さい。」
「解った!持ってくる!待っててくれ!!」
俺は自分の部屋まで走った。
ここなら取説をだせる!これで意外と簡単に解決するかもしれない!
「ワルザス族の言語の取説」
出てきたのは、メモ用紙1枚
「ワルザス族に言葉はあるが、文字がないため説明不能……だと……?」
じゃ、どうやって勉強した事にすれば良いんだ……。
またしても、俺大ピンチ!!
のろのろと、皆のいる部屋に戻って一言。
「……本…持ってきてなかった……」
もう、これしか言うことが無い。
「本当に勉強したんですか?」
「……した」
「では、私にも教えてください。」
「嫌だ…」
「何故ですか?」
「……」
何で謝罪のギフトで追い詰められるんだ。おかしいだろ。
相手が何語を喋ってたって、俺には日本語にしか聞こえないから、使い分けるとか出来ない。だから、教えるなんて絶対ムリ。
「話し合いはいつになったんですか?」
「……らいげつ……」
「何日の何時ですか?」
「……」
どうしよう…
俺の選択1つで色々ややこしくなるし、でも1人で解決出来る気がしない。
「あとで、レイモンドにだけ言う。」
「ここで言えないわけでもあるのですか?」
「…シークレットだ。」
「まぁいいでしょう。では、家族会議を終了します。」
家族会議とか、そんなシステムを作るんじゃなかった。『第一回』とか言ったから、レイモンドが都合よく『第二回』を開いたんだし、これから何かある度に会議になるんじゃ……
もう何も考えたくねぇ!
その日は夕飯を食べて、ソッコー寝た。
昨日の夜、早く寝過ぎた…。
いつもトマスに起こされるのに、今日は自発的に起きてしまった。
まだ5時なのに明るい…。
ここって赤道に近いとこなのか?暑いしムシムシする。
てか、異世界に赤道とかあんの?
太陽があること自体おかしくないか?太陽系にあるなら、地球がどこかにある……のか?
あったとしても帰れねぇし、考えんのは止めよう。
庭でも散歩しようかな。今まで庭でさえ1人で出歩くのを禁止されてたし、バレないように窓から出よう。
「フーフーンフーン」
たまには1人がいい。
10分くらい歩いた所に大きな木があった。そこに腰かけてたら、いつの間にか寝ていたらしい。
「コタロー!!」
「うおっ!?なにっ!?」
真っ青な顔をしたトマスに起こされた。
「何があった?何故こんな所に!?」
「え……?散歩からの昼寝…」
「まだ、朝だが……?」
……トマスが敬語じゃなくなった。
これは、めっちゃ怒られるに違いない…。
「という事でって何だよ。しかも家族じゃねぇし。てか、会議のペースが早い!」
「ひらしゃいんコタロー、喋らないでください。」
「……」
まだ平社員を覚えてたのか。
「まずバスティ、妹を紹介してください。トマスには後で私から説明します。」
「はい。」
俺の隣に座るバスティが、席を立った。
「俺の妹のセフィルです。今日は妹を助けてくれて、ありがとうございます。」
バスティが頭を下げた。
「ほらセフィル、挨拶」
バスティの隣にピッタリ椅子を寄せて座るセフィルが、俺とトマスをチラチラ見てる。
「……セフィルです。13才です……よろしくお願いします」
「俺はバスティの友達で、コタロー、17才。よろしく。」
「コタロー?……名前?」
「うん。あの、厳つい筋肉男がトマス。強いヤツだから、何かあったらトマスの所に隠れる事をおすすめする。」
熊人間が来た時とか。
「バスティ、家族はあと何人いるんだ?」
「あとは母さんだけ。」
「早く見つかるといいな。」
「うん」
俺はもう、どんなに頑張っても家族の所へ帰れないし会う事も出来ないから、正直羨ましい。
「では、自己紹介はこれで終わり。本題に入ります。」
絶対にさっきの喧嘩の事だよな。わざわざ家族会議にしなくてもいいのに!
「バスティ、さっきのぐるぐる巻きの覆面達は何者ですか?」
「ワルザス族という狩猟民族です。」
「普段から、人を襲うような民族なのですか?」
「いいえ、外部の人間とは一切関わりあう事がないくらい閉鎖的な民族です。俺も今日、始めて見ました。」
「では、あの場に現れたのは何か理由があると?」
「そうでなければ、向こうから接触してくる事はありません。ただ、何が理由なのかは解りません。」
「バスティ、覆面達と喋れますか?」
「無理です。」
それは言わないでくれ!!……って言っとくんだった!
「コタロー、貴方は何故喋れたのですか?」
「勉強…したから……」
「いつ、どこでですか?」
「……こっそり…家で」
「では、その本をここへ持ってきて下さい。」
「解った!持ってくる!待っててくれ!!」
俺は自分の部屋まで走った。
ここなら取説をだせる!これで意外と簡単に解決するかもしれない!
「ワルザス族の言語の取説」
出てきたのは、メモ用紙1枚
「ワルザス族に言葉はあるが、文字がないため説明不能……だと……?」
じゃ、どうやって勉強した事にすれば良いんだ……。
またしても、俺大ピンチ!!
のろのろと、皆のいる部屋に戻って一言。
「……本…持ってきてなかった……」
もう、これしか言うことが無い。
「本当に勉強したんですか?」
「……した」
「では、私にも教えてください。」
「嫌だ…」
「何故ですか?」
「……」
何で謝罪のギフトで追い詰められるんだ。おかしいだろ。
相手が何語を喋ってたって、俺には日本語にしか聞こえないから、使い分けるとか出来ない。だから、教えるなんて絶対ムリ。
「話し合いはいつになったんですか?」
「……らいげつ……」
「何日の何時ですか?」
「……」
どうしよう…
俺の選択1つで色々ややこしくなるし、でも1人で解決出来る気がしない。
「あとで、レイモンドにだけ言う。」
「ここで言えないわけでもあるのですか?」
「…シークレットだ。」
「まぁいいでしょう。では、家族会議を終了します。」
家族会議とか、そんなシステムを作るんじゃなかった。『第一回』とか言ったから、レイモンドが都合よく『第二回』を開いたんだし、これから何かある度に会議になるんじゃ……
もう何も考えたくねぇ!
その日は夕飯を食べて、ソッコー寝た。
昨日の夜、早く寝過ぎた…。
いつもトマスに起こされるのに、今日は自発的に起きてしまった。
まだ5時なのに明るい…。
ここって赤道に近いとこなのか?暑いしムシムシする。
てか、異世界に赤道とかあんの?
太陽があること自体おかしくないか?太陽系にあるなら、地球がどこかにある……のか?
あったとしても帰れねぇし、考えんのは止めよう。
庭でも散歩しようかな。今まで庭でさえ1人で出歩くのを禁止されてたし、バレないように窓から出よう。
「フーフーンフーン」
たまには1人がいい。
10分くらい歩いた所に大きな木があった。そこに腰かけてたら、いつの間にか寝ていたらしい。
「コタロー!!」
「うおっ!?なにっ!?」
真っ青な顔をしたトマスに起こされた。
「何があった?何故こんな所に!?」
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