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元締
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「スネークの取説」
部屋にもどって、反乱軍とやらの取説を読んでみた。
【スネーク】
タマゴヤキ王国、アサフェルト王権に対する反乱分子の集団の事。
スネーク・コリマが統一し、一時期勢力を拡大させたが、トマス率いる王直属の騎士隊に制圧され、リーダーのスネークは処刑された。
【残党の利用方法】
残党はソーラー公爵の部下に連れられて、ミクニレニアで奴隷商人として使われている。スネークがいなくなり、ただの金で動くならず者に成り下がっている。忠誠心などはないため、下手に攻撃するよりも金で買収するのが一番。
「……もしかして、元締めの名前が書いてある…?」
ソーラー公爵って誰?
公爵って偉いやつなのか?公って字がついてるから、王様に近い存在なのかもしれない。
とりあえず、レイモンドに報告だ!!
「レイモンド!大ニュースだ!!」
夕食を作るレイモンドに報告するためにキッチンに入ると、俺の大声に驚いてコトが包丁を落とした。
「あ、ごめんっ!!怪我してないか?」
「大丈夫です。」
「よかった。」
「よくありません。コトや側で見ているセフィルの足に刺さっていたら、どうするんですか。」
『キッチンでは大きな声は禁止です』と、レイモンドに怒られて、俺は部屋に連れ戻された。
「それで、大ニュースとは何ですか?」
部屋のドアを閉めて、レイモンドが聞いてきた。
「奴隷商人の元締めがわかったかもしれない!」
「誰ですか?」
「ソーラー公爵って奴!」
「どうしてソーラー公爵が元締めだと解ったんですか?」
「……」
奴隷貿易の事を解決出来るかも!とか、テンション上がって、何も考えずレイモンドに言ってしまった……。
取説が役に立ったら、その反動なのか、必ず俺が窮地に陥るというこの悪循環……。
「ここに来る前『ミクニレニアで金儲けが出来る』って言ってたのを聞いたんだ。この島で金儲けなんて、奴隷貿易しか思い付かないから、そうかなと……」
「……」
やっぱり信用して貰えないか。
「レイモンドは、ソーラー公爵が誰か知ってる?」
それを聞いて、レイモンドが唖然としている。
「ソーラー公爵は……王妃の兄…コタローの叔父上ですよ」
なんてこった……。
知らなかったでは済まされないレベルの血縁関係だった!!
どうしよう。これは言い訳出来ないぞ。でも何かしら言い訳しないと……。
「……レイモンドが知っているかどうか試しただけで、知ってたからな。」
絶対に信じるはずないけど、これで押し通る!!
「そうですか。コタローの頭がそこまで悪いとは、私も予想外でした」
ん?意外とあっさり信じてもらえた?
ジークの頭が悪くて良かった!!
「元締めがソーラー公爵……。これが当たっていた場合、とんでもない事になりますね」
「犯人が解っても、奴隷貿易は止められそうにないか?」
「ええ。コタローの我儘で首を切り落とせる相手ではありませんからね。」
「え、首……?切り落とす……?」
聞き間違いだよな。
「何をキョトンとしているんですか?本土にいた頃は、気に食わない者は全員殺していたでしょう」
「……」
レイモンドが嘘を付いてるようには見えない。……って事は、ジークは人を殺してたのか?この体は、人を殺した事がある体……。
ジークの身体は、生成の神からのギフト。そこに忘却の神とやらのギフトが合わさって、俺は田中 小太郎の記憶を引き継いてる。ジークの記憶を消去して、上書きされてる。だから、ジークがどんな事をしていたか、全く知らない。
俺が人を殺した訳じゃないし、感覚なんて残ってない。
けど、自分が真っ黒な沼の中にいる感じがした。
「コタロー、どうしました?真っ青ですよ。」
「いや、ちょっと気分が悪くて……。俺、晩飯いらねぇから。」
「気分が悪いだけですか?頭痛は?今日の昼食は何を?」
「大丈夫。今日暑かったから、少し疲れただけ。寝たら治る。問題ない。」
レイモンドを無理矢理部屋から追い出して、俺は壁に掛けてある鏡を見た。
トマスやレイモンドが俺を嫌う理由が解った。
「ハハ……誰からも好かれなくて当然だよな」
鏡に写る顔が、酷く汚い物に見えた。
部屋にもどって、反乱軍とやらの取説を読んでみた。
【スネーク】
タマゴヤキ王国、アサフェルト王権に対する反乱分子の集団の事。
スネーク・コリマが統一し、一時期勢力を拡大させたが、トマス率いる王直属の騎士隊に制圧され、リーダーのスネークは処刑された。
【残党の利用方法】
残党はソーラー公爵の部下に連れられて、ミクニレニアで奴隷商人として使われている。スネークがいなくなり、ただの金で動くならず者に成り下がっている。忠誠心などはないため、下手に攻撃するよりも金で買収するのが一番。
「……もしかして、元締めの名前が書いてある…?」
ソーラー公爵って誰?
公爵って偉いやつなのか?公って字がついてるから、王様に近い存在なのかもしれない。
とりあえず、レイモンドに報告だ!!
「レイモンド!大ニュースだ!!」
夕食を作るレイモンドに報告するためにキッチンに入ると、俺の大声に驚いてコトが包丁を落とした。
「あ、ごめんっ!!怪我してないか?」
「大丈夫です。」
「よかった。」
「よくありません。コトや側で見ているセフィルの足に刺さっていたら、どうするんですか。」
『キッチンでは大きな声は禁止です』と、レイモンドに怒られて、俺は部屋に連れ戻された。
「それで、大ニュースとは何ですか?」
部屋のドアを閉めて、レイモンドが聞いてきた。
「奴隷商人の元締めがわかったかもしれない!」
「誰ですか?」
「ソーラー公爵って奴!」
「どうしてソーラー公爵が元締めだと解ったんですか?」
「……」
奴隷貿易の事を解決出来るかも!とか、テンション上がって、何も考えずレイモンドに言ってしまった……。
取説が役に立ったら、その反動なのか、必ず俺が窮地に陥るというこの悪循環……。
「ここに来る前『ミクニレニアで金儲けが出来る』って言ってたのを聞いたんだ。この島で金儲けなんて、奴隷貿易しか思い付かないから、そうかなと……」
「……」
やっぱり信用して貰えないか。
「レイモンドは、ソーラー公爵が誰か知ってる?」
それを聞いて、レイモンドが唖然としている。
「ソーラー公爵は……王妃の兄…コタローの叔父上ですよ」
なんてこった……。
知らなかったでは済まされないレベルの血縁関係だった!!
どうしよう。これは言い訳出来ないぞ。でも何かしら言い訳しないと……。
「……レイモンドが知っているかどうか試しただけで、知ってたからな。」
絶対に信じるはずないけど、これで押し通る!!
「そうですか。コタローの頭がそこまで悪いとは、私も予想外でした」
ん?意外とあっさり信じてもらえた?
ジークの頭が悪くて良かった!!
「元締めがソーラー公爵……。これが当たっていた場合、とんでもない事になりますね」
「犯人が解っても、奴隷貿易は止められそうにないか?」
「ええ。コタローの我儘で首を切り落とせる相手ではありませんからね。」
「え、首……?切り落とす……?」
聞き間違いだよな。
「何をキョトンとしているんですか?本土にいた頃は、気に食わない者は全員殺していたでしょう」
「……」
レイモンドが嘘を付いてるようには見えない。……って事は、ジークは人を殺してたのか?この体は、人を殺した事がある体……。
ジークの身体は、生成の神からのギフト。そこに忘却の神とやらのギフトが合わさって、俺は田中 小太郎の記憶を引き継いてる。ジークの記憶を消去して、上書きされてる。だから、ジークがどんな事をしていたか、全く知らない。
俺が人を殺した訳じゃないし、感覚なんて残ってない。
けど、自分が真っ黒な沼の中にいる感じがした。
「コタロー、どうしました?真っ青ですよ。」
「いや、ちょっと気分が悪くて……。俺、晩飯いらねぇから。」
「気分が悪いだけですか?頭痛は?今日の昼食は何を?」
「大丈夫。今日暑かったから、少し疲れただけ。寝たら治る。問題ない。」
レイモンドを無理矢理部屋から追い出して、俺は壁に掛けてある鏡を見た。
トマスやレイモンドが俺を嫌う理由が解った。
「ハハ……誰からも好かれなくて当然だよな」
鏡に写る顔が、酷く汚い物に見えた。
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